すし初/湯島

グルメ仲間のお誕生日会。昨年はオッサンふたりで「THIERRY MARX(ティエリー マルクス)」でのお祝いでしたが、今年は「すし初に行ってみたい」とのリクエスト。
彼への名刺代わりにサバのリエットを最中に挟んだもの。ここのところ欧米系のレストランで最中を用いることが流行していますが、一周回ってようやく日本料理でも出てくるようになりました。強烈なサバの旨味がビールにガツンと合います。最中も上質。今日もいい日だ。
ホタルイカとうるいをウニのソースで和えたもの。ホタルイカとうるいに仄かな苦味が感じられ、大人の階段を駆け上がる味わいです。
オブセワイナリーが手掛けるドメーヌソガ90%磨き。趣味の領域を超越して実験にも近しい酒造り。まさに究極の大吟醸という味わいであり、思わず正座して飲みたくなりました。
まずは軽いお刺身セット。2種の鯛の味くらべがいいですね。小柱も小ぶりながら凝縮感に溢れており、チョイチョイつまみながらクイクイ飲んでまいります。
エチケットが可愛らしい福井のお酒。酸味が程よくクリアな味わい。ワイン好きには堪らない味わいです。
強い刺身に参りましょう。当店の美点は厚切りの刺身。ムシャムシャがぶがぶと口いっぱいに頬張る楽しさといったらない。肥満体なブリの脂、マッチョなカツオの鉄分、メタボ体質まっしぐらなマグロ。日本酒をギュっと飲む。
事前に「大切な友人のお誕生祝いだから」とプレッシャーをかけたのが功を奏してか、たへん希少なお酒をお出し頂けました。連れも「おお!これわ!」とブランデーを傾けるかのように大切に味わい、その表情は絵画のように微笑んでいました。
太刀魚。芸術的と言っても良いくらいパーフェクトな焼き加減です。脂のノリもよくポーションもばっちり。とにかく食べ応えがあり、酒が喜ぶ一品です。
ブドウっぽい香りがあり実に柔らかい味わい。余韻は中程度で上品な味覚です。フランス人好きそう。
先の太刀魚からは一転、強烈な味付けの銀鱈。表面はもちろんのこと身の数ミリ奥まで調味が行き届いており実に酒が進む魚でした。
4番サード而今。上品な甘さがあり、旨味と酸味のバランスが良くまとまりが良いお酒。「而今らしさが出ていますね」とは連れの談。すげえなあんたワインだけじゃなくて日本酒も詳しいんだ。
なめろう。店主は完全に我々を飲ませにかかっています。無造作で自然な調味ではありますがドンと来る旨さがあり、とにかくお酒が進む進む。自宅に常備して白ゴハンでも味わいたい素朴な美味しさ。
華やかな香りにほんのりとした熟成感。すっきりとした酸。後味も良い。
にぎりに入りましょう。まずは清澄なサヨリから。見た目以上に歯ごたえがあって、クリアながらも芯の通った味わいです。
私の大好きな日本酒のひとつである風の森。全ての味覚が極めて上品に配置されており、水のようにスイスイと飲めてしまう1杯でした。
大ぶりのエビ。先の刺身と同様にムシャムシャと頬張るサイズであり、エビ好きには堪らないにぎりです。
太刀魚のにぎりは珍しい。先の焼き魚に比べると凝縮感は一歩手前であり、実にキレイでおしとやかな味わいでした。
いちご大福ボディのホッキ貝に丁寧に包丁を入れ、たっぷりと調味します。これはもうガチヤバイ旨さでした。いわゆるホッキ貝とはまるで印象のことなる舌ざわりであり、海の風味が津波のように押し寄せてきます。
米の甘味ならびに膨らみの強いお酒。それでいてスッキリと旨い。名前の通り燗にしても良いお酒なのかもしれません。
貝、続く。赤貝らしい独特なクセを放つものの、酒と合わせるにはぴったりの複雑な味わい。
鮭は分厚く、脂も多く、旨味もたっぷり。実にコッテリとしたタネであり終盤にかけての満足度を一気に引き上げるにぎりでした。
元気いっぱいの米の味わいがグっとつまった酒。旨味の航続距離が実に長く、日本酒らしい日本酒です。
すじ抜き。個体とも液体ともつかないスジが丁寧に解きほぐされたメタボ体質のマグロ。舌にのせた瞬間にジュワジュワと溶けていき、この美味しさには毎度毎度参ってしまう。てんてこまいや。
終わりの始まり、穴子さん。厚手の個体でありホクホクとした食感に濃厚なツメが良く合う。ああ、この饗宴もじきに終演してしまうのかと悲しくなります。
追加でトロタク。やはりマグロのジュブジュブ感が半端なく、カリっとしたタクアンの食感にベストマッチ。連れの誕生日祝いのはずなのに、私が一番満足してしまったような気がします。
事前に「お金に糸目はつけずフルパワーで」とお願いしていただけあって、食事も酒もガチやばいラインナップでした。連れは西日本生まれ瀬戸内海育ち旨そうな魚は大体食べてきたタイプなので鮨にはうるさいほうなのですが、その彼も満足してもらえたようで何より。私は良いことをした。


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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。

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