店内はまさにビストロといった雰囲気。席の間隔が狭くBGMも大きいので、ゆったり過ごすという雰囲気ではありません。ちなみに店名は「大きなカウンター」という意味のはずですが、それほどカウンターは大きくなかった。
「おひさしぶりです」なんだかんだで半年近くぶりに会う美人女医(私の周りには美人女医が10人ぐらいいる)。しばらくの間に少し痩せ、長い手足はより長く伸び、少女から女性へと脱皮したような印象を受けました。
グラスのスパークリングワインで乾杯。値段や味は中くらいですが、量をたっぷり注いでくれるのは嬉しい。
「うーん、そう、ですかぁ?確かに前みたいにムチムチはしてないかも。でも、そういうふうに直接的に言われることは少なくて、間接的に、それとなくそういう対応をされることが多いかな?」
サラダは山盛りで満足感が大きい。キャロット・ラペと、もうひとつは何だろう。店員の説明が雑なのが難点ですね。これじゃあ料理人が可哀想だ。ピークタイムで忙しいのはわかりますが、もう少し愛情をもって料理に接して欲しいです。
ムチムチしないのかあ。夏場のキミのホットパンツ姿、すごく好きだったんだけど。「大丈夫、ホットパンツはまだまだ履くから、夏を楽しみにしててね」元気いっぱいに片目をつぶる彼女は運命的に可愛い。
スープはおそらく(店員からの説明はナシ)カボチャのポタージュ。悪くないのですがカボチャの甘味が峻烈であり、まるでお汁粉のようです。2,500円というそれなりの値段を取るコースの割にストーリーが無く、箱根の学連選抜のようなまとまりのなさを感じました。
そういや転職したんだっけ?と水を向けると「転職はしてませんよ(笑)。病院を変えただけです」なるほどこれはとても含蓄のある発言。一般的な日本人だと「所属組織を変える=転職」ですが、実際のところ職業は変わっていない場合がほとんど。彼女は医者としての職業意識が高いために先の発言が自然と出て来るのでしょう。転職とはダーマ神殿でするものでありゼロからの再出発。しかし賢者には転職しないとなれないのが人生の面白いところ。賢明に、そしてゆっくりと。速く走るやつは転ぶ。
メインの和牛ステーキプレート。お肉は希少部位である「カイノミ」です。今回お邪魔した中で唯一具体的な食材名を店員が述べたのは当カイノミなのですが、果たしてこの調理で食べるべきかは疑問。肉もソースも悪くないのですが、どちらも脂っこくて喧嘩両成敗な印象です。ハラミのほうが王道っぽくて良いと思うんだけどなあ。付け合わせの野菜はお見事。特にシイタケが良いですね。本日一番の一口でした。
デザートがあると伺っていたので期待していたのですが、ごくごく小さいパンナコッタ(?)が出されただけでした。これはまともなフランス料理店のミニャルディーズの規模である。味はまあまあですが、いかんせん迫力に欠ける皿でした。
「そう、慌てていいことなんて何ひとつ無いですよ」彼女は私に同意した。「仕事はもちろんそうだし、人間関係もそう。『○○ちゃん○○ちゃん!』ってグァって来られると、やっぱり一歩引いちゃいますもん」それはあたしを口説く場合もそう、と彼女は小さく付け加える。心を食い荒らす緊張感。その後われわれはたっぷり数秒間見つめ合った。
コーヒーや紅茶は淹れ置きを紙コップで飲み放題というシステム。なんとも風情に乏しいスタイルです。
ランチに2,500円のコース料理を食べるという意味では全然ダメなお店でした。一方で、調理や調味についてはセンスを感じたので、夜にアラカルトで居酒屋のように注文すると良さそうです。また普通のランチは1,000円を切って上記のコーヒーもつくので、それはそれでお買い得。注文戦略が論点となるお店でした。
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション ←最高の夜をありがとう
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン
- ナリサワ ←何度訪れても完璧
- ナベノイズム ←世界観がきちんとある
- ル・マンジュ・トゥー(Le Mange-Tout)/神楽坂 ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- SUGALABO ←料理だけなら一番好きかも
- エクアトゥール ←天才によって創られる唯一無二の料理
- ete(エテ) ←美食の行き着く先はお抱えの料理人
- レヴォ ←人里離れた場所にありながら、日本いや世界でもトップレベルのフランス料理店
- フロリレージュ ←間違いなく世界を狙える
- アサヒナガストロノーム/日本橋 ←そこらのフランス料理店とは格が違う。
- キャーヴ・ドゥ・ギャマン・エ・ハナレ ←世界を狙える日仏料理
- ティエリー マルクス ←料理の良さはもちろんのこと、ワインのペアリングが見事