カド/神楽坂

神楽坂でサク飲みしよう、という流れとなり、ひっそりとした裏路地にある小料理屋へ。「カド」と灯された提灯ならびに黒塗りの板塀に風格が感じられます。なんでも1949年に建てられた古民家を活用しているそうな。
時代を感じさせる引き戸を開けるとレトロな立ち飲みスペースが。オレンジ色の温かい照明が灯る5~6畳ほどの土間であり、カウンターからキャッシュオン形式で注文する仕組み。タバコOKなのが玉に瑕。
生ビールは400円でサイズはそれほど大きくないので、立ち飲みとしては高価格な部類でしょうか。しかしながら昭和の雰囲気に飲まれてしまうため、あまりお金のことなど気にならなくなる不思議な空気感があります。

おつまみのメニューは壁に直接チョークで書かれています。いずれも1皿300円という明朗会計であり、「鯖へしこ」「かにみそ」「うずら玉子醤油漬け」「糠イワシ」「長芋酢醤油漬け」「油揚げのネギ南蛮味噌焼き」など酒飲み垂涎の料理が百花繚乱。
おでんは部屋の隅に置かれた鍋からセルフで取り分けます。いずれも1品100円。八丁味噌ベースのタレ(?)がジャンクで旨い。
とりわさ。生肉原理主義の私にとって、このレア感は嬉しい限り。清澄な鶏の肉にたっぷりワサビを乗せて、品の良いタレに漬けて食べる。ううむ、この味この量で1皿300円というのは神楽坂の奇跡である。
わかさぎ南蛮漬け。下処理して揚げて漬けてと面倒な工程が続くため、自宅では中々ありつけない料理。それが当店なら1皿300円なのだから堪らない。ライスを持ち込んで勝手に定食化したくなるほどの心温まる味わいです。
2杯目はホッピー。カウンター下の冷蔵庫からセルフで取り出し、ナカ(焼酎)を店員さんからもらう仕組みです。こちらは500円と着席の居酒屋と変わらない価格設定ではありますが、まあ、雰囲気です雰囲気。
牛すじ煮込み。脂ギットギトの味噌仕立てというわけではなく、丁寧に下ごしらえされたすじ肉を、上品な出汁で丁寧に煮込んだ逸品。これで300円は凄いぞ。スープの1滴も余すことなく頂きました。
良いお店でした。神楽坂の路地裏の古民家の土間で立ち飲みというシチュエーションが最高ですね。外人連れてくるとめちゃんこ喜びそうです。加えて料理もしっかりと美味しいのが素晴らしい。本業が割烹・小料理屋たる所以ここにあり。お酒はチョイと割高なので、立ち飲み屋というよりも、立ち食い屋ぐらいのつもりで来ると良いかもしれません。また来ようっと。


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神楽坂に特化したグルメ本は以外と少ない。本書はモテたい人向けの飲食店情報が中心。高級店やバーなどの紹介が多く、神楽坂らしさが凝縮されています。グラビアの田中みな実の雰囲気が妙にマッチしてる。