壇太(だんた)/高輪台

高輪台駅から徒歩数分。「小泉元総理が行きつけの」という紹介のされ方が多い「壇太(だんた)」。しかしながら彼を見かけたという噂や口コミは聞いたことがないので、まあ、都市伝説みたいなものでしょう。
間口こそ狭いものの奥行きはかなりあり、座敷を含めれば50席近くあるのではなかろうか。かなりの人気店であり連日満員御礼。私は数週間前から予約を入れました。
由緒正しき中ジョッキ。あまり衛生的とは言えない店内ではありますが、サーバーのメンテナンスは中々のものです。メニューと店構えを見た時点では瓶ビールにしようかとも考えましたが、結局生ビールで最後まで通しました。
ちなみに今夜のパートナーは、ひょんなことから知り合った女医。高畑充希似の彼女はお肌がとにかくピカピカで、美容系のクリニックを経営する友人に紹介したいほどです(美容系は医者自身が美人でないと話にならない)。趣味は乗馬。海外生活が長く、百科事典の「才色兼備」のページの挿絵に載せたいほど。
「ガツねぎ」は250円。見て下さいこの山盛りのネギ。辛味は強くネギ臭が満開で250円という価格相応の味わいではありますが、量に勝る正義は無い。ガツもホルモンとは思えないほどクリアな味わいであり、思わず笑みがこぼれる1球目でした。
「砂肝スライス」。こちらも250円という破格の値付けなのですが、やはり値段相応の味わいです。コンビニのウインナーあたりに売られているパック入りのクオリティ。

「ここのところずっとオトコに恵まれていなくって。どこかに良い人、いないですかねえ?」目の前にいるじゃないか、君は充分恵まれているよ。彼女は訳がわからないといった顔をし、その後たっぷり1秒はその表情が続きました。話の腰を折ってすまない。私はひとつ咳払いをしてから頷き、話の続きを促す。
「地鶏のたたき」。どうでしょう、この貧相なプレゼンテーションは。先の「ガツねぎ」と同じ作者とは思えない作風の違いです。筋肉質で猛々しい味わいであり、質そのものは悪くないのですが、盛り付けについては再考の余地あり。

「ちょっと前に初デートで告られたんですけど、カレがあまりに忙しくって、その後LINEでフラれました。あたしの何を知って告白してきて、何が気に入らなくて別れていくの?」手すら繋いでいないのに、と苦悶の表情を浮かべる彼女。まるで中学生の恋愛である。
スペシャリテの餃子は1皿420円。一般的な形状とは異なり俵型に近く、いなり寿司を彷彿とさせる外観です。一口で食べると具材は野菜が支配的。火を通したサラダを食べているような感覚に近く、強いニンニクの風味が、そういえばこれは餃子だったと思い起させてくれます。普通に美味しいですが大騒ぎするほどのクオリティではありません。
壁に掲示された特別メニュー(?)の、鶏肉レア揚げ2種のソース。勝手にチキン南蛮的なものを想像していたのですが、あまり見慣れない料理が登場しました。「もと村」の牛カツのような外観であるものの、噛み応えのある逞しい肉質。噛みしめる程に肉の味わいを楽しむことができ、本日一番のお皿でした。

「その前のカレシも、あたしの仕事に全く理解が無くて秒で終わりました。当直とか、お手洗いにも行けないほど切羽詰まった状況とか、全然わかってもらえないの。目の前に死にかけの患者がいるってのに、いちいち『おやすみ💕』なんて返してられるか!」
〆の麺類が豊富なのですが、今回は「麻婆なすあんかけ焼きそば」をチョイス。これはまあ、普通のあんかけ焼きそばですね。場末の中華料理屋のランチで食べるそれと大差なし、というか当店も場末の餃子屋でした。

3時間近く居座り好きなだけ飲み食いしてひとりあたり4,000円程と、中々の費用対効果であり、連夜の満席にも納得。22:00を過ぎたあたりから空席が目立ち始め、フリーで訪れた二次会客を受け入れていたので、最初からそれ狙いも良いかもしれません。

そういえば、今夜は彼女との記念すべき初デートでした。告白すれば良かったなあ。


食べログ グルメブログランキング

関連記事
それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
1,300円としてはものすごい情報量のムック。中国料理を系統ごとに分類し、たっぷりの写真をベースに詳しく解説。家庭向けのレシピも豊富で、理論と実戦がリーズナブルに得られる良本です。