メゾン サンカントサンク(MAISON CINQUANTE CINQ)/代々木上原

代々木上原の地で「グリ」「ランタン」「ナインストーリーズ」「バーアヴァン メゾンサンカントサンク」などの話題のお店を連発するシェルシュグループ。今回はその旗艦店である「メゾン サンカントサンク(MAISON CINQUANTE CINQ)」へとお邪魔します。代々木上原駅の北口を出てすぐとアクセス至便。
食べログ上の公式情報には「1階はカジュアルなテーブル席、2階はワイワイ楽しめるカウンター席、3階は屋根裏部屋のような落ち着いた雰囲気のテーブル席です」とあり、我々は3階に案内されました。民家をリノベーションしたのか友達の家感に溢れている。屋根が低く、成人男子であれば頭を下げて通る必要があります。
ハートランドの小瓶は700円。コース料理が3,500円の割にバランスの悪い価格設定です。その後ワインなどもお願いし(殆どがビオ)、1杯1,000円前後と見た目は高くないのですが、量が100mlにも満たないので、総合するとあの安っぽいビオでその値段はないだろうという印象。

加えて店員が3階に常駐しておらず、チリンチリンと鐘を鳴らして呼び出す仕組みなのですが、鳴らしても鳴らしても一向にお迎えは来ず、ずっとチリンチリン鳴らしているプレイは相当恥ずかしいです。我慢できずに階段を降り下のフロアまで直接声をかけに行きました。
看板メニューは「前菜の盛り合わせ」。まさにビストロといったお惣菜が10種類ほど1皿に会します。1人前が1,000円で、写真は3人前で3,000円。インパクトのあるプレゼンテーションであり、それぞれの味も悪くないのですが、1人あたりの量って実は少ないのでは?お店の格を考えるとこれで3,000円は割高でしょう。
アンディーブ、ザクロ、イチゴ、ゴルゴンゾーラ、胡桃のサラダ。このお料理はセンスいいですねえ。赤系の食材がビビッドに映える外観であり、ドレッシングの酸味、トマトの酸味、ザクロの甘味、ゴルゴンゾーラの塩気など、見事なバランスが感じられる一皿でした。
パン代としてひとり500円が自動的に徴収されるのですが、ほんの1かけらしか出してもらえないので腹が減る。仕入れ先は池尻大橋の某店とのことですが、旨いパン屋が山ほどあるこの地において、何故あえて池尻大橋からの調達なのか。

ところで、チャージとして500円で、皆が必ず注文する前菜盛り合わせが1,000円の、ファーストドリンクが1,000円。入場するだけで2,500円を要することを考えると、実は割高なお店なような気がしてきました。
ヤリイカのソテー。旨味の強いヤリイカにコクのあるイカスミソース。すりおろしたチーズの塩気も華やかであり、酒が進む逸品です。

しかしここからが地獄。次の料理が来るまでに40分以上待たされました。最初にまとめて注文しているし、店のキャパは上限があるというのに何故こうなってしまうのか理解に苦しむ。「あ?もしもし?22:30~、3人で入れます?」と、当店に見切りをつけあっという間に次のお店を手配する彼女。人生は決断の連続である。
スペシャリテの「千葉県産 古白鶏 胸肉の低温ソテー」。2人前2,600円を1.5倍のポーションにしてもらいました。鶏特有のパサつき感はなくしっとりとした舌ざわりであり美味。火入れは筋肉食堂の鶏料理にベクトルが同じです。付け合わせの野菜やマッシュポテトもぬかりなし。でもこれ1皿が4,000円かあ。
「ご注文頂いたワインがあと半分量ぐらいしか残っていないので、半分の量で、半分の価格でいかがですか?」と我々に話を持ち掛ける店員。正論ではありますが、この対応はワインを飲むお店としては一般的ではありません。ボトルの底が見えてきたら調節を開始し、最後に飲む客にちょっと多めにサービスするのが慣習というもの。店員は皆バイト然とした雰囲気であり、そういうお店での経験に乏しいのかもしれません。料理人はまともですがサービスは全員素人という印象を受けました。
ところで、客層は最悪ですね。絶対価格が安いので(実は割高なのにそう感じさせない手腕には舌を巻く)、20代前半の大学生~新社会人の逆コナンが殆どであり、週末のショッピングモールのフードコートと変わらない騒がしさです。「3階は屋根裏部屋のような落ち着いた雰囲気のテーブル席です」との事前情報は何だったのか(写真は食べログ公式ページより)。

6~8人のグループ客は大声でゲラゲラと笑い手を叩き、挙句の果てには指笛まで吹き始めました。日本代表戦以外で指笛を聞いたのは生まれて初めてです。隣のテーブルの男女は大音量で動画を見始めました。そのような乱痴気騒ぎを目前にしても店員は特に注意するでもなく淡々と配膳をするだけなので、お店としてそのような行為を認めているということでしょう。

そういう意味では騒いだモン勝ち行儀良いモン負けの万人の万人に対する闘争であり、行くなら行くで気合いを入れて、1フロアを貸し切ってどんちゃん騒ぎする覚悟をもって訪れましょう。


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