チェックインを済ませラウンジへ。ファーストラウンジとビジネスラウンジで明確に分けられているわけではなく、ビジネスラウンジ内にファーストクラス客向けのダイニングがあるという仕組みです。
まずはビジネスラウンジの受付で手続き。「あなたはファーストクラスユーザーなので、ダイニングを利用できます。入り口でホステスにこのチケットを提示して下さい」と当たり前の指示がありそのようにすると、ダイニング入り口のホステスから「インビテーションがないと入れない」などと意味不明な足止めを食いました。結局は彼女の勘違いで私は問題なく入場することができたのですが、こんな当たり前の事務処理で手間取るとは、さすがは「最悪な航空会社ランキング」常連だと妙に納得しました。
1人客は大きな窓に面した席、グループ客はコンパートメント席に案内されます。サービスをしてくれるのは先ほどやりあったばかりのホステスであり、実にぎこちない関係。
ワインリストを見て驚き、シャンパーニュはクリュッグでした。「シャンパンの帝王」と尊称され、数あるシャンパーニュの中でも最高級のうちのひとつ。一口飲んだだけでそれとわかる厚みのある風味が特長的。グラスで1杯5,000円なんてザラの世界なのにそれがフリーフローだなんて。
ところで、ここはファーストクラスラウンジでありながら飲食店としてのサービスレベルは大変低いですね。ワインの知識やその価値について疎いのか、俺のフレンチ的な注ぎ方をするので驚きました。
前菜にはクラブケーキとエビのコンビネーション的な料理を選択。これが、旨い。素材に忠実で甲殻類の旨味がひしひしと伝わってきます。一見雑に見えたソースの散らし方が美味しさと共にジャクソン・ポロックのように見えてくる不思議。
ニューヨークの旅はステーキの旅でもあるので、メインディッシュは当然にステーキを注文。
おおー、結構おいしいじゃないか!ピータールーガー系の熟成牛高温調理系とはまた違った芸風であり、いわゆる普通の調理のステーキですが、肉の質がかなり良くとても満足しました。肉そのものが旨いので塩コショウだけでも味わってみたかったな。アメリカ人は、どんな料理にも似たようなソースをなみなみと注ぐその精神を、今一度再考したほうが良いと思います。
ステーキの品質に敬意を表し、カリフォルニアはマイナー・ファミリーのカベルネを。アメリカらしい直感的なボリューム感に高いアルコール度数。それでいて下品にならないのが不思議。先のステーキと共に見事なマリアージュでした。
デザートは恒例に死ぬほど甘い。どうしてアメリカのデザートはこうなんだ。他の料理に比べて甘味だけが圧倒的に出遅れているような気がしますこの国は。
食後はダイニングを出てラウンジ内を探検。こちらはビジネスクラスエリアです。客層はどうあれ人が多い。やはりファーストクラスのダイニングに比べると騒がしく感じます。
ビュッフェゾーン。日系のビジネスクラスラウンジに比べると豪華であり、中堅ホテルの朝食ビュッフェほどに見えます。
仕事向けの作業場も用意されていました。ファーストクラス客向けのダイニングはあくまでダイニングなので、コンセントなどは敷設されておらず、がっつり作業したい場合はコチラに移動しましょう。
搭乗前にひとっ風呂浴びます。シャワーブースはビジネス・ファースト共用であり、ビジネス向けとしては実にセンスの良い誂えです。今まで訪れた航空系のシャワーブースの中では一番カッコイイ。
搭乗時刻が近づいてきたので機体へと移動。JALの時のようにファーストとその他で入り口は分けられていませんでした。しかしながら入って左奥がファーストクラスゾーンなので、他のクラスのゲストと動線は交錯しません。
いよいよ搭乗。私にあてがわれたスペースはコチラ。寝具がイスの上のドンと置かれており、セルフで上の棚に移動させなければなりません。
割り当てられる窓は3つと、日系エアラインのファーストと同等の広さです。テレビ画面はそれほど大きくはありません。
コンセントやUSBの口、各種コントローラーが一箇所にまとまっていて使いやすい。ヘッドフォンに対する拘りが物凄くて、「絶対に持って帰るな」「着陸数十分前には回収する」など、ファーストクラス客を泥棒のように扱うのが印象的でした。
ウェルカムドリンクは恐らくシャンパーニュではなく何でもないスパークリングワインだと思います。グラスに対する拘りも無いようです。
安定飛行に入るとテーブルを作ってくれ食事が始まるのですが、その内容は全然ダメですね。日本のファミレスのほうが料理もサービスも余程対応が良く、まさにハコだけうわべだけという印象。
よせば良いのにスープにはココナッツやスパイスでアジアの風を吹かせてきます。成城石井のレトルトのそれのほうが断然美味しい。
サラダというか、これは葉っぱでしょう。しかもシナシナに萎れた乾燥した葉っぱ。日本のコンビニのサラダのほうがレベルは高い。
メインにはラムを選びましたがインド風の妙な味付けをしてきます。もっとオーガニックに行こうぜ。
デザートはシンプルに「ハーゲンダッツ」と記載されているものを選んだのですが、また余計なソースを並々注いできます。死ぬほど甘く完食不可。陸上のダイニングでしっかりと食べ、機上では何も口にせずひたすら眠りこけるのが勝ちパターンなのでしょう。
トイレでパジャマに着替えます。壁紙や棚にちょっくら工夫が入っており、トイレに鍵っては他エアラインのファーストに比べると立派に映りました。
他方、アメニティは最低レベル。ヌメ皮のポーチのみ使い勝手良く日本に連れて帰ることに。
ハコは広く寝具も上質であったため、快眠は約束されます。ただし夜中に水を飲もうとギャレーを訪れても、ふたりのCAは座り込んでクチャクチャとどうでもいいパンを食べており、私の手伝いをしようともしません。サイゼリヤでももう少しマシな対応は約束されるでしょう。
6時間も飛べばロンドンの街が見えてきました。寝具の片づけは乗客のセルフ形式であり、他の乗客も全く疑問を持つことなくテキパキと手慣れたものだったので、アメリカン航空のファーストクラスとはこういうものなのかもしれません。ハコだけ立派でサービスレベルは日系のエコノミークラス以下。東横インに泊まるつもりでどうぞ。
手際が悪くとにかく時間がかかることで悪名高いヒースロー空港のイミグレーションにつき、ファストトラックが用意されるのは嬉しかった。普通に行けば1~2時間待ちはザラですが、今回は降機から税関を抜けるまで10分もかかりませんでした。
オマケ。ヒースロー空港にあるアメリカン航空のアライバルラウンジ。朝7時に空港が着き、観光地は未だオープンしていないでしょうから、コチラで時間をつぶしました。
ランチに良いお店を予約しておいたので朝食はパスするのですが、アライバルラウンジの割には結構しっかりとした食事が用意されています。アラカルトで卵料理なども注文できます。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。
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