店舗の隣がガレージとなっており、臨時の待合室と化しています。軒先の記帳台で名前と人数を書いてからガレージで自由に待つというファミレススタイル。11時きっかりに記帳された通りの案内が始まります。
入ってすぐはテーブル席とカウンター。奥は小上がりとなっており、親戚のおばさんの家に遊びに来たかのような安定感がありました。
中々訪れる機会のないお店なので、最高値の料理をダブルで注文。まずは白焼きセットの特上。4,320円です。並だと鰻は2枚、特上だと3枚という仕様。照明が親戚の家の蛍光灯レベルなので写真がいまいちイケてません。
白焼き。おおお、これは美味しいですねえ。鹿児島は「うなぎの美鶴」を彷彿とさせる肉厚な鰻。酷く逞しい白身魚をガブっとするような弾力加減。脂もたっぷりジューシーで、東京や名古屋の鰻の名店なんかよりも余程満足度が高い。ちなみに鰻は清水町より仕入れているそうな。
ワサビは河津産の地産地消。懇意にしている生産者から安定的に供給されているようで、辛味よりも爽やかさが前に出てくるという風情。ごはんは程よい硬さに炊きあがっており私好み。量もたっぷり。
肝吸いは一般的な肝吸いでした。
付け合わせのこれは何でしょうか?細切りのダイコンをコールスローにしたようなものであり、ちょっと意図が掴めませんでした。
漬物もあまりパっとせず、鰻の大迫力を支えるには荷が重く感じます。
もうひとつの注文は特上のうな重。こちらも白焼きの特上セットと同じ4,320円。肝吸い、漬物、小鉢なども同じ仕様です。
何とも蠱惑的なビジュアル。当店は関東圏のうなぎ屋としては珍しく、炭火の直焼きで蒸さずに焼き上げる関西風の調理です。串は打たずに網で焼く。白焼き同様にバリっとした噛み応えであり、その奥行きにふんわりと柔らかな白身が感じられます。初代の頃から現在の4代目まで極秘裏に受け継がれているタレは醤油の辛味が強く甘さ控えめ。私のタイプです。
白焼きと同様にうな重も並だと鰻は2枚、特上だと3枚という仕様。しかしながら半分この約束で連れから渡されたお重のトップには鰻が1枚しか残されていない。てめえ、やりやりやがったな、と目を吊り上げると「良く見ろ、もう0.5枚はゴハンの中に隠れている」。このゴハンと鰻のバランスの悪さは嬉しい悲鳴。
何とも晴れがましい鰻料理でした。この店は、良い。個人的に関東風の鰻はあまり好みではなく、愛知以西のバリバリ焼魚状態の鰻を好む私としてはドンズバど真ん中の味わいでした。また、「名古屋うなぎランキング2017」という特集を組めたほど私はそれなりにそっち系の鰻を食べており、その中でもかなりの上位に位置付けることのできる味覚です。
持ち帰りもあればふるさと納税もありと、中々に商魂たくましい当店(写真は公式ウェブサイトより)。河津桜の時期はもちろん、夏の海水浴などでこの辺りにくる用事があるのであれば、わざわざ立ち寄る価値のあるお店です。オススメ!
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。