真冬の道東で流氷を追いかけて vol2

2日目は移動の多い日。まずは阿寒湖から北上し、海にぶつかるとひたすら東へ向かって羅臼町へ。次に羅臼町からU字型(知床横断道路は冬季通行止め)に移動してウトロ地区へ。トータルで300km近いドライブとなります。


■知床食堂/羅臼町
https://www.takemachelin.com/2019/03/shiretoko.html
三色丼で名を馳せた店。イクラ・ウニ・カニと見栄えは良いのですが味はそれなりであり、この程度の海鮮丼であれば、ある程度の都会であればどこでも食べることができるでしょう。やはり最高の食材は築地に売られていってしまうのか。詳細は別記事にて


■ワシ観察/羅臼町
http://www.e-shiretoko.com/
北方領土に最も近い町、羅臼。当サイトのお客様にとっては羅臼昆布やスケソウダラ、ブドウエビなど海産物の印象が強いかもしれませんが、写真家にとっては「鷲」を撮るためだけに来る町でもあります。
漁師が操舵する船でいざ出港。ちなみに知床半島の西側は流氷が多すぎて冬季は完全に漁がクローズとなりますが、東側の羅臼においてはちょいちょいスケソウダラ漁が行われるため、そのおこぼれを狙って(ワシは眼と頭が良い)ワシたちが集まります。

「俺、ソビエトに拿捕されたことあるんだよね。45日間、色丹島に拘留されてさ。巡視船いしかりに迎えに来てもらったなあ」と、述懐する船長。「国後島ってのは沖縄本島よりも大きいわけ。択捉島はその倍。タダでくれてやるには勿体無いと思うんだよね」
スタッフがエサを撒き始めると、ワシたちがギュンギュン山から降りてきます。羅臼はオオワシとオジロワシをダブルで観ることができる世界でも珍しい地域。加えてオオワシは地球上に5,000羽程度しかおらず、今日はそのうちの5羽ほどを確認することができました。
それにしてもコンデジでは限界がありますね。みんなバズーカみたいなカメラを持ってきており、準備の段階で勝負あり。私が風景・動物写真を撮るのをやめ、ポートレートばかりになったのもそれが理由。機材と時間にコストをかけるよりも、初対面の女の子と10分で仲良くなって自然な笑顔を引き出すほうが得意なのでした。


■知床第一ホテル/ウトロ
https://www.takemachelin.com/2019/03/daiichi.html
知床半島に西側にある5ツ星ホテル(ホテル業界の星の基準って謎)。夕食はバイキング形式であり、まあ、食べ放題は食べ放題味。見るべきものはありません。その割にカニはまあまあのクオリティだったので、中盤から後半にかけてはひたすらカニを食べ日本酒を飲んでいました。「あなた、グダグダ文句ばっかり言ってるけど、この空間の誰よりもカニ食べてるわよ」とは妻の談。詳細は別記事にて


■流氷ウォーク/ウトロ
https://kamuiwakka.jp/driftice/
ここから3日目。4:40起床でドライスーツに着替え、ホテルから車で10分ほどの港へ。流氷どころか港が完全に氷で閉ざされており幻想的。世界史におけるロシア南下政策の根拠として「不凍港を欲した」が挙げられますが、なるほどこんな港ばっかしだったらいい加減まともな港が欲しくなるわな。
ドライスーツを着込んでいるので、水に落ちてもへいちゃらです。私はダイブマスターのくせにドライスーツを着たことが無いという夏季限定リゾート型ダイバーであるため、なんとドライスーツを着るのはこれが人生で初めてでした(写真はガイド)。
「クリオネがいる」とのことで、氷の裂け目から海水に素手を突っ込み、防水カメラで接写する若者。クリオネなんかよりも彼の手が凍傷になってしまわないかと気が気でない。「彼は漁師だから大丈夫なんですよ」とはリーダークラスのガイドの説明。いやいや漁師とかそういう問題じゃないでしょう。恐るべき職業差別である。


■網走流氷観光砕氷船 おーろら/網走
https://www.ms-aurora.com/
網走へと移動。今回の旅の目玉である流氷破砕船への乗船です。温暖化なのか何なのか、年々流氷を観測できる日が減りつつあり、ついに来たかと思えば翌朝にはいなくなってしまうことも多いそうです。「10年連続で網走に来ているのに1度も見れたことがない」という観光客も。ちなみに我々が訪れた前日、流氷を観測することができず、ハラハラドキドキとした心持ちで港へと向かいます。
流氷発見。港にまでは到達していなかったものの、十数分も航行を続ければバッチリ観測することができました。上質なメレンゲが海を覆っているようであり実に美味しそう。誰か流氷をイメージしたスイーツを考案してください。


■流氷物語号/網走
https://www.jrhokkaido.co.jp/travel/ryuhyo/index.html
冬限定でオホーツク海沿岸を走る観光列車「流氷物語号」。以前は木製の長椅子や石炭のダルマストーブを配置したレトロな「流氷ノロッコ号」が運行されていましたが、ディーゼル機関の老朽化により引退。2017年より「流氷物語号」が出発進行。
途中のオホーツク海に面する北浜駅は、「流氷の見える駅」として人気を博しています。それにしても中国人が多い。最果ての地の何にもない駅舎にまで良く来るなあ、と不思議に思い色々調べていると、それもそのはず、きちんとした理由がありました。
中国で北海道ブームを巻き起こしたきっかけとなる大ヒット映画「非誠勿擾(邦題:狙った恋の落とし方。)」のロケ地だったのです。時代を先取りした婚活映画であり、撮影地である道東の魅力を上手く伝えられている作品とのこと。アマプラでやってくれないかなあ。

■入丸水産/網走
https://www.takemachelin.com/2019/03/irimaru.html
観光客向けの水産業者「入丸水産」。その土産物屋に併設された飲食店がココ「北の味処 入丸」。これだけの量のカニを食べて1,200円というのは中々リーズナブルです。詳細は別記事にて


■博物館網走監獄/網走
https://www.kangoku.jp/
明治以来、網走市と深く関わりを持っていた網走刑務所。その旧建造物を保存公開する博物館がコチラ。敷地面積は約東京ドーム3.5個分に相当と広大です。

「網走刑務所」というと極悪人の巣窟と印象が強いですが、それは囚人を労働力として使役させて北海道の防衛と開拓を進める政策を執った明治期の話であり、現在は執行刑期10年以下の受刑者の短期収容を目的とする刑事施設と芸風を変えているそうです。
目玉は「五翼放射状平屋舎房」。様式美とも言える美しい建築物であり、刑務所の施設としては日本国内最古、木造の行刑建築としては世界最古。その他、現在の網走刑務所での収容者の食事を再現した食堂などもあります(1食800円前後)。
これは現在の網走刑務所の相部屋なのですが、布団カバーのセンスが半端ないですね。どこでこんなもん売っとるんや。
中央のカバーは辛うじてピエールエルメのイスパハンですが、両サイドのそれは「おにぎりせんべい」の柄に完全に一致しています。


■北斗/釧路空港
https://www.takemachelin.com/2019/03/hokuto.html
釧路空港は航空会社やカード会社のラウンジがなく、早めに到着すると居場所に困る空港ですが、このレストランは当たりですね。食事の美味しさ、安さ、意外性を含めて今回の旅行で最も満足度の高い食事でした。詳細は別記事にて

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。