ぽん多本家(ぽんたほんけ)/御徒町

創業は明治38年。東京を代表する老舗洋食店「ぽん多」。トンカツの名店として取り沙汰されることが多いですが、あくまで当店は洋食店。メニューに記載されるのは「カツレツ」であり、それにロースやヒレなどの種類はございません。
「カツレツ」単品で2,700円と目を剥く価格設定であり、「カキフライ3,240円」「きすフライ3,740円」と、レストラン吾妻と並んで都内トップクラスの値付けでしょう。
注文を受けてから肉を叩き調味し粉を振り揚げ始めるので10分ほどの調理時間を要します。スタッフの方は空きスペースに適当に皿を置いていくだけであり、きちんとセッティングはしてくれませんでした。高級店にしては雑な対応と言えるでしょう。
高田馬場の成蔵に似た外観であり、衣は粒が大きく淡い色合いであり、低温でじっくり調理されたことが伺えます。表記にはありませんが肉はロース。ただし脂などはキレイに掃除されており、いわゆる脂の塊はありません。断面の色合いは均一であり、しっかりと火が通されているようです。
味は、うーん、普通です。脂を除去しすぎているきらいがありジューシーさに欠け、パサついた食感が気になります。豚肉独特の臭みも感じられ、これなら清澄なヒレ肉を用いれば良いじゃないかという気分になる。それなりには美味しいですが、単品で2,700円のメインディッシュとしては高すぎます。
また、卓上の調味料にもこだわりが感じらません。ソースこそスパイシーかつフルーティーで悪くないものの、塩やカラシは一般的なものであり、ケチャップはさすがに食欲を削ぐプレゼンテーションでしょう。
お椀は豚汁ではなく赤出汁。これは美味しいですね。濃厚でありながらクドくなく、雑味も無い。トンカツ定食業界においては最高品質レベルと言っても過言ではありません。
お漬物も素晴らしく、日本料理の名店で出されても充分耐えうるクオリティです。さすがにお椀・漬物・ライスのセットで540円を請求するだけのことはあります。
ライスは一般的な定食屋のものを中とし、いわゆる高級和食店のものを上とすれば、当店のそれは中の上。トンカツ屋としては美味しい部類に入りますが、540円という別料金を設定するのであればもう少し高みを目指せるような気がします。
お会計はカツレツとゴハンのセットで3,240円。うーん、割高。東京の洋食ならびにトンカツ文化を支えてきたという敬意から得点は高めに設定されているのかもしれませんが、フラットな気持ちで臨めば1,800円ぐらいに落ち着いて欲しいところ。行列は無くゲストはアラカン(アラウンド還暦)の方が殆どだったので、価格表など意に介さないオトナ向けのお店なのかもしれません。


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私は「とんかつ」という料理をそれほど好みません。だって、豚肉を脂で揚げるだけじゃないですか。それなのに、行列するは調理に時間がかかるわ結構効高価だわで、積極的に取り組もうとしないのです。したがって、私は物凄く「とんかつ」ならびに「とんかつ屋」について、検察官のようにシビアに評価しています。思い入れが無い分、信憑性は高いかもしれません。
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とんかつを「超一流の大衆料理」として、グルメ業界の重鎮たちがひたすら議論を重ねる本。よくもまあとんかつでこれだけ語れるなあと呆れます。ここに記された「殿堂入り」のお店はさすがに外しません。