サービスが素晴らしいですね。リッツ、シャングリラ、ランガムそしてフォーシーズンズと立て続けにラグジュアリーホテルの中華を食べ比べて来ましたが、当店がダントツでレベルが高い。オープン前のミーティングはしっかりやってたし、私に関わった全スタッフが皆、私の名前を覚えていました。これは中々できそうでできないことあるよ。
お茶はプーアルを選択。飲茶ランチは無理に酒を無理に注文する必要がなく、堂々とお茶で済ませることができるのがいいですね。だって、飲茶ですから、的な。コースは「エグゼクティブセットランチ」という名の飲茶コースを注文。料理だけでで1万円を超え、他のホテルよりやや高い価格設定です。
やはりトップバッターはエビの餃子にエビカニシュウマイ。中華飲茶連盟か何かで定められているのか、この組み合わせはどこの飲茶も同じですね。何なら鼎點1968のようなカジュアルな飲茶ともそう大差ない味覚であり、色々と考えてしまいました。
やはりタレは3種。ただし当店のそれはそこまでスパイシーなものではなく、むしろ油の奥行きが感じられる調味料として最上のものに思えました。
エビと野菜の春巻き。素材は当然として、揚げの技術が素晴らしいですねえ。べたつきなどは一切なくサラっと軽い。揚げ物であるくせに恐らく私の皮脂よりも油分は少ないのではなかろうか。さすがにこういう料理になってくると、鼎點1968のようなカジュアルな飲茶とはレベルが違うことを思い知らされます。
本日のスープは「フィッシュスープ」と聞こえたのですが、小豆の風味が支配的であり、どちらかというと鶏肉に近い風味を感じたような気がします。味そのものを取ってみても、日本のそこらのラーメン屋のスープのほうが美味しく思えてしまう。
ところで「タケマシュランもラーメンとか食べるんですね」と言われることがたまにあるのですが、何をおっしゃる良くできたラーメン店のスープは3ツ星店のスープとして出したとしても同等かそれ以上を誇りますよ。ラーメンを下賤な食べ物と思うこと勿れ。もちろんラーメン屋はラーメンという単一のメニューに戦力を集中投下しているので、当然の帰結とも言えます。
ここで3種盛り。手前はクラゲをマリネして炙ったものなのですが、それほど下味が付いておらず、一方で生臭さが感じられ、タレつけて無理やり押し込むレベルです。チャーシューも調味が薄く、やはりタレをつけてようやく土俵に立てるといった状況。奥は「ポークのハンド」という表現をしていましたが、恐らくは豚足のことでしょう。コチラは意外にサッパリとして美味しい。パプリカのサワーソースと共に心地よく頂きました。海老のソテー。他店と同様にシンプルな調理なのですが、サヤインゲンやギンナンなどの具材が豊富なのが印象的。セロリの風味が強すぎるきらいがあり、海老の味わいを寄り切ってしまっているのが気になりました。
炭水化物は米か麺を選択できるのですが私は前者を。チャーハンをハスの葉で巻いてからさらに蒸したものでしょうか。あまり蒸す必要性を感じられず、どことなく調味がボヤけたような気もします。チキンヌードルにすれば良かった。
デザートはやはり杏仁豆腐風味の温かいスープ。なのですが、コチラは同じ3ツ星飲茶の唐閣(T'ang Court)よりもレベルが断然高く感じました。米で出来た団子の中にはいっている、こしあんのようなペーストも素晴らしい。このような味覚にあまり経験が無いという意味で、本日一番のお皿です。
小菓子はフランス料理とはまた異なるスタイルで興味深くはあるものの、味わいは普通でした。ゼリーの食感がぎこちない。やはりスイーツというジャンルにおいてフランスに勝てる国はありません。
色々と書きましたが、総合力という意味では香港における飲茶で私的ナンバーワンのお店です。もちろん他店に比べると1.3~1.4倍の価格設定であり、それだけを支払う価値があるのかと問われると回答に窮するのですが、後悔することは絶対にないお店でしょう。大切な会合やキメの食事に是非どうぞ。
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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
- ナポレオンフィッシュ/麻布十番 ←東京の10,000円以下の中華だとダントツ好き
- 倶楽湾(クラワン)/田町 ←あの水煮牛肉の美味しさは確か
- 味覚/虎ノ門 ←世界一辛い麻婆豆腐
- 飄香/麻布十番 ←十番のランチではトップクラス
- チャイニーズレストラン直城/高輪台 ←空間の居心地の良さや総体的な美味しさには価値がある
- 紫玉蘭/麻布十番 ←税込800円は神のなせる業
- Mott 32(卅二公館)/中環(香港) ←この中華料理はちょっと東京には無い
- Lung King Heen(龍景軒)/中環(香港) ←総合力という意味では香港における飲茶で私的ナンバーワン
- 蓮香居(Lin Heung Kui)/上環 ←好きなものを好きなだけ食べているのにも関わらず、ひとりあたり1,000円と少しという驚異の費用対効果
- 唐閣(T'ang Court)/尖沙咀(香港) ←3ツ星の料理がこの価格帯で楽しめるのは実にリーズナブル
- Shang Palace(香宮)/尖沙咀(香港) ←ミシュラン星付きの飲茶でこの値段ならまあまあ
- 杭州酒家(Hong Zhou Restaurant)/湾仔 ←1杯3,000円の蟹味噌あんかけ麺
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