LCCは低コストを実現するため少ない人員で運用する必要があり、預入荷物がある乗客は1時間前にチェックイン締め切りがルールです。そのため余裕を見て100分前にカウンターに到着したのですが、何この長蛇の列?
これがLCCか。私はLCCを多用していると言ってもその全ては台湾や香港などの短距離短期間の旅行においてであり、荷物は全て手荷物として持ち込み、チェックインはウェブで済ませ空港ではスマホのバーコードを読み込ませているだけでした。なるほど荷物を預け入れるなどややこしいオペレーションを要求するとなると、価格に転嫁されるだけでなく、空港での待ち時間にも反映されるのか。
「1時間前に締め切るって書いてるけど、大丈夫か?大丈夫なのか?」と地上係員に詰め寄る外国人。「大丈夫も何も、順番にやってますから」と不機嫌を極限まで煮詰めたような顔で返すスタッフ。定刻50分前になりようやく「ケアンズ行きのかた〜」と特別レーンが導入され優先的な処理へと移行。私も何とかスーツケースを託し搭乗券を得たのですが、その搭乗券には「19:30までに搭乗口にお越し下さい」との表記。おい、これが発券されたの、19:40やぞ。
夕食はフードコートでお好み焼きを食べると3日前から決めていたのに、とにかく時間がないためコンビニでおにぎりを調達するに留めます。2人以上のグループであれば交代ばんこに並んで両替に行ったりローソンに行ったりトイレに行ったりと色々できたかもしれませんが、私はひとりなのである(妻は日本航空様のご利用で数日遅れで現地合流)。
とにかく低コストが至上命題であるLCC。チェックインカウンターと搭乗ゲートでの登場人物も同じ。なるほど彼女たちも彼女たちで、チェックインカウンターの作業をあらかた切り上げればダッシュでこちらに向かっているのか。客もスタッフもみんなイライラしてる。常に急き立てられてるから忘れ物しそう。
スクランブル交差点のような混乱が延々と続き、それでも何とか定時運行にこぎつけた地上係員たちに拍手。それにしても、こんなギリギリの運用を毎日繰り返しているのかと思うと頭がクラクラする。豆腐メンタルの私であれば3日でプシってしまうに違いない。
乗ってしまえば意外に快適。バニラエアよりも幾分スペースが広いような気がしました。そういえば「機内手荷物は7kgまでで、それを超えると追加料金ですよ?当日追加だと高いですよ?いま手続きすれば割安ですよ?」という勧誘メールが連日届いていたのですが、けっきょく搭乗口での手荷物計量はありませんでした。
水やコーヒーまで有料のLCCなので期待はしていませんでしたが、やはり機内エンタテインメントも有料でした。これについては深夜フライトで眠りこける予定だったので全く問題なし。預入荷物別料金もそうですが、個人的にはこういうバラ売り形式は明朗会計で結構好き。「トイレ有料」「立ち乗り」「ワンマン操縦」を目指すライアンエアーの主張もありよりのありと支持するつもりです。
数ヶ月前にチケットを取ったので、どのような予約をしたのかすっかり忘れていたのですが、「○○さーん」とCAからファーストネームで名前を呼ばれ、「ご予約のサンドイッチでーす」と軽やかに食事が手渡されました。これが結構美味しくて、そこらのコンビニよりもレベルが高い。また、多くの食事や飲み物はギャレーで準備してから軽快に持ってくる仕組みであり、ワゴンをガラガラ引いて通路を塞ぐということもないため、機内がごちゃつくこともなく居心地が良かったです。
こちらは帰りの飛行機で注文した豆とファラフェルのサラダ。これなんて、成城石井で680円で売り出しても問題ないレベルであり、これが10ASD(約800円)でオーダーできることを考えれば、むしろお買い得とも言えます。FSCエコノミークラスの、凝った割に美味しくない機内食は何なんだ。あんなややこしいクセに不味い食事をまごつきながら出すぐらいなら、コンビニのサンドイッチやおにぎりを配ったほうが全員が幸せになれるのではなかろうか。
サンドイッチの後はひたすら睡眠。けっきょく7時間のフライトで1度しかお手洗いにいかないという深い睡眠を獲得することができました。座席は狭く抱っこ紐もNGなので乳幼児はゼロ。フライト中に泣き叫ぶお子様や、それ以上に大きな声で子供を叱りまくる常識を欠いた親などもいないため(家族連れがうるさいのはたいてい母親と祖母だ)、ある意味静かで客層は良いです。朝食も当然付帯しないのですが、朝食の準備ために安眠が妨げられるということもないため逆に快適。
チェックイン手続きから搭乗にかけては肝を冷やしましたが、やはり乗ってしまえば何とかなってしまうのがLCC。極限にまで切り詰めた業務効率を鑑みると、CAや地上職のレベルはFSCのそれよりも断然高く感じました。
それでもやはりロングフライトや僻地へのLCC利用は欠航などが生じた際のダメージが大きすぎるので、また利用するかと問われれば、残念ながら答えはノーです。究極コスパな状態が未来永劫続くわけがなく、いつかはミスに遭遇するに違いなく、その場合はひどい結果がもたらされることでしょう。今後のLCC利用は短中距離ならびにJALやANAなど何かあった際の代替手段がたくさんある場合に留めることに決めました。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。