カウンターが6席のみと小さな店内。しかしながらテイクアウトやデリバリも人気のようで、イートインでない客がひっきりなしに訪れるという、商売上手な業態です。
ベースは1,000円の「ひき肉ライス(大盛無料)」にスープが付き、トッピングをつけていくとその分値段が上がっていくというシステム。
まずはスープ。おそらく鶏肉系のスープですが、オマケレベルの味わい。量がたっぷりあってアツアツなのは良かったです。
メインディッシュが到着。ライスを大盛にして頂き、「メンチの王様」をトッピング。1,800円です。
カレーソース的位置づけのものは、麻婆豆腐のようなトロミのある餡。鶏のスープをベースとして様々なスパイスが練りこまれており、加えてたっぷりの鶏ひき肉も。東南アジアの旨い食堂のような味わいで、押しの強い中毒性があります。
卓上には「春巻きの皮フライ」と「特製にんにくダレ」が。前者は文字通りのものであり食感に変化を加える役割。後者はニンニクだけでなくアンチョビのような塩気や旨味が感じられ、ニンニクフレーバーの強いバーニャカウダソースのようで美味しい。
「メンチの王様」は文句なしに旨いですね。黒毛和牛を用いたミート矢澤直伝の味わいであり、800円の追加料金であっても納得の美味しさ。切れ目を入れた瞬間に溢れ出るエキスの量は一見の価値あり。
ライスの外観はチキンライスのようではありますが、ケチャップの味はせず、代わりにスープや各種スパイスの風味が前面に出ています。大盛りにすると1合近い量がありますが、あっさりパクパク食べ進めることができました。
見ると、素材は全て出自のはっきりしたやんごとなききわにあるものばかり。なるほど確かに旨いのですが、このファストフードな雰囲気で1,800円というのはカジュアルに何度も訪れるのも躊躇するし、気軽に人にオススメするのも難しい。メンチカツを恭しく盛り付け、ライスとソースも凝ったカレー屋のように出せば、それなりの納得感は出るのかもしれません。美味しいのですが、用途が限られるお店のように感じました。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。