1階にも席はあるのですが、この日のランチでは調理場のみとして使用していました。メインは2階。結構な大箱で2階にバーカウンターもあり、宴会使いにも耐えれそうです。
隣のテーブルの50代のスーツ姿のオッサン2人が結構な音量で話しており、うるさいなあと、ひとたび意識が向いてしまうともう終わり、以後の会話は全て自動的に聞き耳を立ててしまいます。
会話の内容から推察するに2人は高校の同級生であり、片方は弁護士、もう片方は外資金融。超一流名門高校から東大に進学した秀才であり、初対面から自らの学歴をそれとなく披露し、食いついた者にはセンター試験の点数まで俎上にあげるタイプです。会社を辞めることを「卒業する」と表現しがちな人々でもある。
この日の数量限定品は「メカジキマグロのロースト」でした。サラダとスープ、ライスがついて1,000円ポッキリ。食べる前から大満足。
「あいつはチョーギンで」「タクギンじゃなかったっけ?」「○○は自動運転でテレビに出てて」「△△は□□を買収して」嫉妬と羨望が入り混じった複雑な声色で、同級生の噂話に華が咲きます。
はんぺん大のメカジキがデデンと鎮座。1,000円のランチにしては盛り付けに華があり食べ応えも充分。ソースのバター風味が強烈で、ちょっと好き嫌いが別れる味かもしれません。
「あの頃はやっぱ時代がおかしかったよな?」文脈から察するに、あの頃とは恐らくバブル全盛狂乱の時代を指すのでしょう。「何にもできねえクセに、文系の奴らが幅きかせてさ。官僚、銀行、証券、不動産。なんであんなに偉そうだったのかね」
「全くだよ。最近はAIやらGAFAやら再生医療やらで、理系のほうがスポットライトが当たってるけど、いいことだと思うよ。ようやく健全な社会になってきた」
サラダは量はそこそこあるのですが鮮度は欠けています。まあ、1,000円のランチのオマケのサラダはこんなもんでしょう。
「理系の同級生が活躍してて嬉しいよね。俺なんてもう、自分の器の小ささが自分でわかっちゃってるからさ、いかに余生を楽しむかしか考えてないよ」
スープが結構おいしい。出汁の味が強くトマトの風味もきいており、オマケではなく夜の前菜としてしっかり食べてみたいところ。
「オレもそう。ここまで来ると、人生楽しんだもん勝ちだよな。この前オヤジが死んだんだけど、死に際にさ、家族とあの時ああして楽しかったって話しかしなかったもんな。あんなに仕事人間だったオヤジがだぜ?」
ライスは可もなく不可もなく普通でした。
「80年生きるとしてさ、40年働くってのは明らかに長すぎだよな。死に物狂いで働いて、楽しかった思い出なんて何ひとつ残らない。誰かのせいにしてしまいたいけど、自分の顔しか思い浮かばない。こんなことなら最初っから楽しいことをだけを追求しておくべきだったよ」一呼吸おいて彼は言う。
「だから最近、アムウェイ始めてさ。お前もどう?」
1,000円のランチという意味では悪くない質および量です。繰り返しになりますが、あのニンニクパンチはちょっと好みが分かれる。ちなみにアムウェイが食べていた「豚肩ロースの西京漬け炭火焼き」が実に旨そうであり、150円の追加料金で1.5倍も肉増しもできるようなので、今度はそちらを試してみようかしらん。
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芝公園あたりは飲食店が少ない。その中でのお気に入りをご紹介。
- マンチズ バーガー シャック ←「あたしの人生で一番美味しいハンバーガーかもしれない」
- オデリスドドディーヌ ←大門駅すぐ、カジュアルで使い勝手の良いお店。でも料理はきちんと美味しい。
- レピフエドディーヌ ←ディーヌ系2号店。安定の費用対効果。
- レジャルダンデドディーヌ ←ディーヌ系3号店。ポーション控えめだけど一番雰囲気が大人。
- ナポリスタカ ←星型ピザは唯一無二の美味しさ。
- ル・パン・コティディアン ←雰囲気抜群。最高の立地。屋内屋外いずれも素敵。ただしトイレが死ぬほどダサい。
- ステラガーデン ←12時ピッタリに東京タワーの灯が消える瞬間を。
- タイ国専門食堂 ←費用対効果が抜群。オススメです。
- 洋食や シェ・ノブ ←日替わり一品メニュー40食一本勝負。
- 焼きそば専門店りょう ←とにかく麺が旨い。
- 味芳斎 ←唐辛子でガツンと直線的に攻める店