薄張りのグラスに行儀よく注がれた生ビールは550円。この手の焼鳥屋としては控えめな価格設定であり嬉しくなる。そうだビールはみんなのものだ。
お通し(?)としてお漬物が提出されます。まさに目の前で漬けられている自家製であり、大人のクセを湛えつつもサッパリとした味わい。立派な日本料理店で頂くそれと同レベルです。
さて当店は「鳥しき」よろしくお任せで注文しお腹がいっぱいになればストップするというシステムが主軸。苦手な食材、レアな火入れの可不可、絶対に食べたい串などを告げるなど、融通はいくらでも聞いてくれるスタイルです。
トップバッターはカシワ。鳥のモモの部分であり、赤子のゲンコツのような特大サイズで食べ応え抜群。適度な焦げの香りが食欲を刺激し、脂や肉汁などのジューシーなエキスで心が満たされます。
銀杏。肉が続くかと思いきや焦らされます。ホクホクと秋の味。
白玉(うずら)。私はうずらの卵をAmazon定期おトク便でキロ単位で注文するほどのウズラヴァー(今考えた)なので体温が2度アガる。プルプルと弾ける白身に歯を差し込むと、とろりとした黄身が流れ落ち美味そのもの。しかしこれ、どうやって調理するのかね。串で刺しているのに半熟という。
ハツモト。心臓の根本であり大動脈です。ギョっとする部位ですが想像以上に柔らかくサックリとした食感。クセなど全く感じられず、生前は血液サラサラ健康優良児であったことでしょう。
日本酒もいくつか頂きました。ワイングラスで飲んで900円前後と良心的な価格設定。そうだ日本酒はみんなのものだ。
血肝(レバー)。これはキョーイチクラスの美味しさですね。テロンテロンとプリンのような輝きを放ち、口に含むと舌の上で溶けていく。肝臓独特の鉄臭さやザラりとした食感は控えめであり、限りなく液体に近い個体という舌ざわり。
つくね。刻まれたナンコツがコリコリと響き、食感の変化を楽しみます。しかし私はつくねには卵黄という因襲的な人間でもあるため、プレーンに食べるには少しばかり物寂しい。
いも。指の先ほどのポツポツとしたお芋さんが仲良く串に行列しています。外皮の土臭い味わいと内側のホクホクとした食感の対比がファインプレーです。
せせり。鶏肉の首の部分です。引き締まってはいるものの脂もたっぷりという矛盾した存在。噛むほどに肉汁が溢れ出し、これぞ焼鳥といった美味しさでした。
ラスト1本には「ちょうちん」をリクエスト。ピンポン玉サイズの卵が大迫力。大口をあけて豪快に一口で加えます。ジュブリと弾けるピンポン玉に独特の旨味と歯ごたえを湛える卵管。本日一番のお皿であり、後のスタジオジュブリである。
「〆は『卵かけごはん』と『鶏スープ茶漬け』の両方が気になる…」と久々登場の菅野美穂。彼女とのデートは八丈島ぶりです。両方気になるのであれば、両方注文してしまえばよいのである。
「あたし、卵かけごはん大好きなんですよね。お母さんの手料理でも卵かけごはんが一番好き」それは料理ではなく素材であり、母への冒涜に他ならない。
こちらは鶏のスープのお茶漬け。舌がひっかかりそうなほど吸着力のあるコラーゲンであり、明日の美肌は約束された。とにかく鳥の味がコク、骨の髄まで楽しむとはまさにこのことでした。
食後は彼女と2019年の旅行計画について意見交換。「been」という訪問国をぬりぬりするアプリを教えてもらい、その場でキャッキャウフフとじゃれあいます。こういう瞬間が一番楽しい。デートで「オレこんな凄い仕事してるんだぜ」と語る男はバカである。
お会計はふたりで11,000円と爆安。ここのところ、ちょっとした焼鳥屋で飲み食いするとすぐにひとり10,000円を超えてしまうことが多く、そういったトレンドに違和感を覚えていたのですが、当店には焼鳥屋の本懐というべき極上の気軽さがあります。総本山に比べると予約は段違いに取りやすく、亀戸の奇跡と言っても過言ではありません。オススメ!
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。