サラベス(Sarabeth’s)/東京駅

「次の仕事までに4時間空いたんだけど、軽く食事かお茶でもどう?」と芸能人様よりお達し。15:30と中途半端な時間でしたが、忙しい彼女と会える機会は限られており、何より私が無限に暇なのである。
サラベス(Sarabeth’s)の東京店へ。「New York Magazine」では“NYの朝食の女王”と賞賛され、レストラン格付けガイド「Zagat」では“ニューヨークNo.1デザートレストラン”にも選出されたことがあります。
東京駅八重洲口すぐと好立地なのですが割に空いており激しく穴場。日本上陸時の凄惨な混雑状況とは隔世の感があります。ゲストの大半、というか、私以外は全員が女性でした。
アフタヌーンティーセットを注文。グランドメニューからフードとドリンクを注文すれば秒で2,000円を超えるところ、こちらのセットであれば飲み物はおかわりOKで軽食もついて1,800円とお得です。

「いい感じのヒトがいるんだけど、サラリーマンなの。どう思う?」バツイチの彼女は眉間に皺を寄せながら言う。どうって、サラリーマン、最高じゃないか。中途半端な芸能人が中途半端な成金と付き合うことほど痛いものはない。一般の人、しかもお堅い会社員とだなんて、逆にキミの株が上がると思うけどね。
「そうかなあ。あたしの周りの子たちからは『え~、もっと他にお金持ちいるでしょ~w』って、ちょっとバカにされちゃうんだよね」男をATMとしか考えない女たちと、女をトロフィーとしか考えない男たち。この業界の面々は皆ギガゾンビのように自分勝手である。そういう価値観に毒されていたからキミは結婚に失敗したんだぞ、と私は冷静に指摘する。
サンドイッチやラップサンドなど腹にたまる食事も含まれていました。パンは注文後にトーストされ、ラップサンドにはトロっとチーズが溶けている。お仕着せの軽食と思いきや、意外に手が込んており結構美味しい。

「あれは、お金に目がくらんじゃったの」私は彼女のこういう素直なところが大好きだ。「反省してる。本当に見る目がなかった。どうしてもっと早く気づかせてくれないかなあ。あなたはいつも手遅れになってから登場するんだから」
上段にはチーズケーキにパウンドケーキ(?)、スコーンにクッキー、プリンです。有名パティスリーのレベルには達してはいませんが、値段を考えればかなり美味しい部類に入るでしょう。とりわけ濃厚なプリンが心に残りました。

「盛大に離婚したわけじゃないから、知らない人も多いでしょ?どうやってみんなに知ってもらおうっかなあ」知るかよ有名人ぶりやがって。年賀状に『家族がひとり減りました』とでも書いて何人かに送れば、勝手にSNSで拡散されるんじゃないの?

ちなみに芸能人に年賀状を出すと結構な確率で返って来ますこれ豆な。もちろん本人が手配するわけではなく事務所のスタッフか誰かが対応しているのですが、因襲的な芸能界だからこそファンへの心温まる対応も残っているのだ。
飲み物は好きなものを好きなだけ。私はコーヒー1杯にお茶3杯も飲んでしまい、おなかタプンタプンやで。

「そろそろ行かなきゃ。ありがとね急な誘いなのに」あたしが誘ったんだから、と、手早くお会計を済ませて店を出る彼女。時間を取り戻すことは出来ないが、振り返ることは出来る。いつか彼女に誠実な家族がひとり増えますように。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

サラベス 東京店
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