天丼 金子半之助/小川町

天ぷらめし金子半之助」が期待外れだったことにつき、すっかり毒気を抜かれた私。しかしながらタネの質で勝負するのではなく、天丼のタレをデロンデロンに浸してしまえばそれなりに美味しく感じるのではないかと思い、再チャレンジ。前回は「天ぷらめし」すなわち天ぷら定食の専門店ですが、今回は天丼の専門店です。
平日14時とピークタイムを過ぎているのにも関わらずカウンターは満席。たまたまテーブル席は空いていましたが、この後すぐに満員御礼。人気のほどが窺えます。
天ぷらめし金子半之助」においては最安値メニューを注文すべきだと主張しましたが、やはり今回で距離を置いてしまう可能性もあったので、一期一会、最高値の「松」を注文。
注文後5~6分で着丼。アリ?なんじゃコレ超うまそうじゃん。気のせいか「天ぷらめし」に比べるとそれぞれのタネが一回り大きく見え、アナゴに至っては倍以上の容積を誇るような気がします。色の濃いタレが上手く塗されており、実に食欲をそそる色合いです。
「松」のタネは穴子・海老2尾・いか・ししとう・海苔・卵。天ぷらの華である海老の美味しさはもちろんのこと、ビー玉サイズのイカをかき上げ状態に固めた意匠も面白い。ししとうと海苔については色合いのために入れられた感あり。圧巻は穴子。みかわ是山居を想起させるボリューム感に揚げの強さ。1,380円でここまでのクオリティを維持するミスター金子に拍手を送りたい。
ちょっと油っぽいかな、と気になり始めれば、タレとスパイスをぶちまけ舌を麻痺させるよろし。スパイスは「自家製醍醐味」と称し要するに七味なのですが、拘りが感じられる風味です。
〆は半熟状態の卵を割りほぐし白米と絡ませ、醍醐味を振り、タレを加え、後の半熟英雄である。白米の量は通常サイズでも充分におなかいっぱいになる大きさ。松村沙友里のような白米原理主義者でもない限り、100円追加の大盛りにする必要は無いでしょう。
素直に美味しかった。「天ぷらめし金子半之助」よりも同価格帯ながら数段レベルが上に感じました。「天ぷらめし」のよう食べ放題のツマミは無いものの(漬物はあり)、天ぷらそのものの質が圧倒的に高いような気がしました。繰り返しになりますが、1,380円でこのクオリティの高さは見事な費用対効果です。
ちなみに、仕出しの天重も提供しているとのこと(写真は公式ウェブサイトより)。イベントの弁当とか差し入れにコレ出したら人気者になるだろうな。


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てんぷら近藤の主人の技術を惜しみなく大公開。天ぷらは職人芸ではなくサイエンスだと唸ってしまうほど、理論的に記述された名著です。スペシャリテのさつまいもの天ぷらの揚げ方までしっかりと記述されています。季節ごとのタネも整理されており、家庭でも役立つでしょう。