オリラジ藤森のオフの過ごし方を辿る静岡旅行

天ぷら業界においては予約が取れない五指に入るお店にお誘い頂き、そちらを軸に静岡に1泊しすると、奇しくもオリラジ藤森のオフと全く同じ過ごし方を辿ることになりました。

末廣鮨(すえひろすし)/清水
http://www.takemachelin.com/2018/11/suehiro.html
ミナミマグロにかけては日本でトップクラスに有名な鮨屋。数千本の中から最高のミナミマグロを築地に出荷される前に1本買い。詳細は別記事にて


■エストマーレ(ホテルアソシア静岡)/静岡駅
静岡駅近くのホテルのバーにて女子ふたりと待ち合わせ。当店を指定したのは私ですが、決して気取っているわけではなく、
飲み物2杯で1,000円+チャージ料300円=合計ひとりあたり1,300円という、常軌を逸したプランが開催されていたからです。私は生ビールとソル・クバーノで喉を潤す。
ワインクーラーを借り、彼女たちが東京から持参したワイン2本(ええやつです)をダッシュで冷やす。ワインショップから保冷剤を入れまくって新幹線に乗り、静岡に着いてからも追い冷やし。どうしてそこまでシャンパーニュに拘るの?お店で普通に生ビールと日本酒飲めば良くない?と問うと、「だって、シャンパーニュじゃないとアガらないじゃない?」と謎の説得力。
メインバー エストマーレ
関連ランキング:バー | 静岡駅新静岡駅日吉町駅


成生/新静岡
http://www.takemachelin.com/2018/11/naruse.html
今まったく会いに行けない天ぷら屋。何が何でも素材コンシャス。地産地消を徹底するミスター・テロワール。好き嫌いは別れるかもしれませんが、清濁併せ呑んで天ぷら業界の未来を指し示した、存在意義として極めて重要なお店です。詳細は別記事にて


清水港みなみ/静岡駅
http://www.takemachelin.com/2018/11/minami.html
見渡す限りのトロであり、まさにマグロの登呂遺跡である。都内であれば1万円超えは確実の丼を1,000円代で楽しめる滅茶苦茶なお店。静岡に来た際は是非どうぞ。オススメです。詳細は別記事にて


■サウナしきじ/静岡駅南口から4キロ
http://saunashikiji.jp/
サウナー(サウナ愛好家・ヲタク)の聖地「サウナしきじ」。芸能人の利用も多く、芸能界のサウナ番長、オリラジ藤森をして「1日オフがあれば『サウナしきじ』まで行く」と言わしめたカナンです。
私はサウナに別段興味は無いのですが、その業界のトップと言われると試したくなる程度の好奇心は持ち合わせています。静岡駅南口から10分ほどバスに乗り、下車したバス停から5〜6分歩いて到着。
古い時代の建物であり今とは異なるルールで建てられているため、現代では考えられない温度設定(120℃!)が可能とのこと。数分入っただけでメガネの温度がヤバくなって、慌てて取り外したレベルです(写真は公式ウェブサイトより)。
また、当館で利用される水は全て汲み上げ式の天然水。タオルの洗濯に至るまで全てフレッシュなウォーターであることが自慢だそうな(写真は公式ウェブサイトより)。
しかしながらサウナ業界に明るくない私としては、どのへんがサウナ的に凄いのか、いまいち良くわかりませんでした。休憩室は喫煙OKで紫煙で真っ白。仮眠室では大音量で時代劇が流れており、ガハハハと電話でトークするオッサン多数。天然水そのものは良いのかもしれませんが、客のマナーがちょっと無理でした。


■村松克っちゃん/新静岡
客のほとんどが常連ですが、一見の私を排他することなく気軽に輪に引き込んでいく。静岡に新しい家族が生まれた夜でした。詳細は別記事にて


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

村松克っちゃん/新静岡

友人に紹介されてお邪魔したお店。ネット上の情報は少ないですが、夜ともなれば常時満席という、地元民に愛されている居酒屋です。
テーブルは満卓。ひとり客なので何とかカウンター席に滑り込む。勝手がわからず戸惑っていると、近くの常連客より注文の仕方などご指導賜りました。空いているときは口頭での注文が基本ですが、混雑してくると紙に飲みたいもの・食べたいものを記して厨房に提出しておくと確実なようです。
セロリチーズ。セロリのおひたし(?)にたっぷりのマヨネーズと粉チーズを振りかけた、すぐできるツマミです。マヨネーズのわかり易い味わいにチーズの旨味と塩味が酒を呼ぶ。
自家製のポテトサラダ。おお、こいつは旨い。教科書通りのポテトサラダにジャガイモの旨さが響く。キャベツもフレッシュで、1分と要さずペロりと平らげてしまいました。
コロッケは80円。着席の居酒屋で100円を切るというメニューは初めてです。外皮はパリっと、内側はホクっとした由緒正しきコロッケであり、これで80円というのはまさにハイ・パフォーマー。
刺身3点盛り合わせ。これだけ入って1,200円。スーパーで刺身を買うよりも安くつくのではないか。さすがはマグロの本場・静岡。都心の高級割烹と同等の品質がそこにはありました。
冷酒は静岡の地酒「喜久醉」。スっと溶け込むような、流れるような酒躯体であり、あっと言う間にゴクゴクといってしまいます。かなりの量をダバダバと注いでいただき、それでいて460円という価格。
馬刺しは東京であれば5切れで2,000円近く取られることも多い中、当店では30スライスほどが皿一面に敷き詰められて750円と次元が異なり、もはや暗算で何倍お得か測れないレベルです。なんでも当店の出自は肉屋らしく、特殊なルートか何かがあるのかもしれません。
牛ホルモンは580円。このホルモンの質が非常に高く、都心の高級もつ鍋屋のそれを凌駕する味わいです。食欲をそそるタレの焦げた香りにパンチのある脂の旨味、後を引く歯ごたえ。うっかり白飯に手が伸びてしまいそうになる美食です。

お会計は4,000円と少し。しかしこれは大食漢の私がモリモリ食べた結果であり、一般的な善男善女がグループで飲み食いするのであれば、3,000円もあればお釣りが来ることでしょう。何なのこの費用対効果。最高かよ。

客のほとんどが常連のようで、「おうい!克っちゃん!」のように気軽に大将に声をかけて注文する様は見ていて気持ちが良い。客同士でもツマミや酒を融通しあい、まるでひとつの大きな家族の中で食事をしているようです。かといって一見の私を排他することもなく気軽に酒を酌み交わす。静岡に新しい家族が生まれた夜でした。


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関連ランキング:居酒屋 | 日吉町駅新静岡駅音羽町駅

リストランテ カッパス(Ristorante káppas)/表参道

ここのところお友達界隈でたいへん評判が良いお店。表参道駅から徒歩数分。シャレオツショップと住宅街が入り混じる表参道の裏路地へ。
奥に細長い造りのお店。個室もあればカーテンで間仕切りもできたりと、用途によって使い分けが良さそうです。

「イタリア全20州の郷土料理のスピリットをエレガントに表現いたします」と、物凄いコンセプト。イタリア料理一筋のシェフに加え、広尾「インカント」も関与しているそうです。
おまかせコースはもちろんのこと、プリフィクスもあればアラカルトもOK。つまり選択肢が1億通りほどありそうだったので、まずは泡を楽しみながら今夜の饗宴へと思いを馳せる。このあたりの話の進め方がヨーロッパ的でいいですね。
お通しはパルマ産(だっけ?)のハムをのせたフリットに、 ラルド・ディ・コロンナータ(背脂の生ハム)のフリット。字面に比して軽快な味覚であり、最初のオツマミとしてグッドです。
結局、プリフィクスコースに前菜をもう1皿追加してもらうことにしました。まずは鮮魚のマリネ。北海道のスズキをウイキョウと共に頂きます。フェンネルの香りはもとより柑橘系の使い方のセンスが素晴らしい。
パンはフォカッチャ、ならびに密度の高いパン。絶品!というわけではありませんが、食事を邪魔しないちょうどいい塩梅の存在感でした。

しかし、ここまでは良かったのですが、突然に皿出しが悪くなりました。入店して70分も経っているというのに未だ前菜その1です。大して混んでいるわけでもないのにどういうこっちゃ。
スタッフに進捗状況を尋ねると瞬で出てきました。私は心配性ではあるが小心者ではない。世の中言ったもの勝ちである。その後の皿出しのテンポも突如軽快となり、それはそれで他のテーブルが玉突き事故にあっているのではないかと気が気でならない。

気を取り直して前菜その2。ゴルゴンゾーラの風味が漂う白い食べ物です(料理名失念)。脊髄反射で旨いと知れるわかり易い料理で私好み。白眉はアンチョビ風味のソース。磯の香りとビビッドな酸味が記憶に残る。
タコのラグー。オレンジ色の強い卵黄をたっぷり用いたパスタが印象的。太麺原理主義者の私として堪らない一皿。欲を言えばもう少し量を。
サルシッチャとキノコのパスタ。先のパスタを凌駕するほどの麺の太さであり、小麦のギュギュギュっとした風味が堪りません。強めに調味されたキノコもグッド。種々の歯ごたえが食欲を刺激し、また、サルシッチャの迫力のある旨味が酒を呼ぶ。本日一番のお皿です。
メインはアグー豚。丁寧にローストした後に、スモークにて仕上げます。プンプンと香る燻製とのシンフォニーが魅力的。筋肉質ではあるものの嫌な硬さは全くなく、まさにムシャムシャと貪り喰ってしまう簡潔で平明な一皿。付け合わせの野菜も、思い切りの良い酸味の使い方がすごく良い。
泡のボトルが空いたのでグラスで赤を1杯。豚肉に合わせてスモーキーな香り。太陽をたっぷり浴びた凝縮感があり、これぞ赤ワインという味わいです。料理との合わせ方に凄くセンスを感じたので、冒頭からペアリングにしても良かったかもしれません。
デザートはクレマカタラナをチョイス。一般的に野暮ったい盛り付けになりがちな甘味ですが、当店のそれは何とも美しい。こんなにセンスの良いクレマカタラナは見たことがありません。味はクリーム(?)部分に比してカラメルの部分が多く、ビターで大人な味わい。
連れのデザートはパンナコッタ。ひと口交換こしましたが、これがまた絶品。この原材料は卵であると手に取るようにわかるほど卵の味が濃い。滑らかな口当たりも見事であり、パンナコッタ新時代の幕開けである。
食後のカフェにも遊び心が満載です。お腹いっぱい飲み食いして税サ込ひとり1.4万円ほど。これは驚天動地の費用対効果であり、私のイチオシのイタリアン、麻布十番「プリンチピオ」に食後感が近い。複雑なアイデンティティが求められる三つ星レストランの料理とは少し異なりますが、質実剛健でありながらどことなくハイカラという、私が好むど真ん中のレストランでした。途中のテンポの悪さは気になるところでしたが、そこは惚れた欲目であり、終わってみればそれほど不満は残りません。
特にパスタ料理が良かったですね。お店側も自信があるようで、旨そうなサンプルが百花繚乱。今度は昼にパスタだけ食べに来てみようっと。オススメです。


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近くのお店(表参道)
表参道ヒルズ(安藤忠雄)、トッズ表参道ビル(伊東豊雄)、コーチ表参道(OMA)、根津美術館(隈研吾)、ディオール表参道(SANAA)など、表参道の名建築34作品についての解説。第一線で活躍中の建築家が現代建築のエッセンスを平易な言葉で素人向けにレクチャーしてくれます。

PATH(パス)/代々木公園

2015年12月オープンの新しいお店。代々木公園駅から徒歩数分の立地であり、このあたり旨そうなお店がたくさん並んでいます。
お店は共同経営なのかなあ?新宿「キュイジーヌ [s] ミッシェル・トロワグロ」の同僚ふたりが2枚看板として腕をふるいます。パティシエはトロワグロの本店でシェフ・パティシエまで昇りつめた凄腕だそうな。
コース料理は6,800円にアルコールのペアリングは5,200円。料理に比してペアリングがそれなりの価格なので内容を問うと、だらしない姿勢で首を傾けながら覇気なく適当に説明する店員。1万円を超える単価の接客としてはプロ意識に欠けています。
最初のペアリングはビールでした。どのようなビールなのかと問うと、店員はカウンターの奥に引っ込みタブレットで調査を開始し暫く戻って来ない。ペアリングとして推奨するのであればきちんと把握しておくべきでしょう。「何あの子?接客しながらポリポリ首掻いちゃってさ。友達じゃないんだから」と、私の連れもお冠。
カリっとした土台に秋刀魚と茄子を並べたもの。トッピングはレモンピールの塩麴漬けです。旨い。強い秋刀魚の旨味に茄子の秋の香り。生地の食感も変化があって楽しく、何枚でも食べたくなる味わいです。
パンも中々の味わい。なるほどビストロというよりも寧ろパン主体の朝食屋として名を馳せただけありレベルが高かった。
根セロリのムースにウニと乗せる。ソースは焦がしタマネギ。ソースが素晴らしいですね。オニオングラタンスープの局部を煮詰めたような味わいであり、シンプルながらも迫力のある味わいでした。
ワインはイタリアものから。が、料理には全く合わない。あれだけ芳醇でコクのある料理なのに何故こんなにもザキっと尖った、刺々しい風味を合わせるのか疑問。
海老だけを用いたスープドポワソン(ビスク?)。たっぷりのバターでソテーしたホウレンソウやトマト、マッシュルーム、ムール貝が加わります。スープそのものの味わいは良いのですが、ムール貝の臭みが強くてアウト。トマトの酸味も強すぎであり、糸の切れたタコのようにまとまりのない味わいでした。
モンテプルチアーノで造ったロゼ。良く言えばチャーミング、悪く言えばイチゴキャンディのようにペタペタな味わい。ペアリングという観点においては、どう考えても海老の強い旨味には合わないと思うのだけれど。
魚はヒラメ。ソースはホエーとバターです。が、美味しくありません。嘘だろというほどバターの風味が強く、その割に酸味も強いという複雑怪奇に練り上げられた味覚。ヒラメそのものの質も凡庸でした。
やや甘味の残るドイツのリースリング。先の酸味にも寄り添い、これは悪くない合わせ方です。
メインは鹿児島県産「さつま福永牛」。肌理が細かく肉の味が濃いのですが、それでいてサッパリともしているという、アプリオリな味わいです。ただ、盛り付けが寂しいなあ。せっかくの美しい断面なのに、まるで王国を失った国王のように淋しげでもありました。
ワインはロワールのマルベック。思いきりどす黒い赤であり、野性味を通り越して牛舎のような香りがします。あれだけ繊細な肉にどうしてこのようなメガトン級をぶつけてくるのか理解に苦しむ。
デザート1皿目はメロンのアイス(?)。メロンの皮に敷き詰められた生地との組み合わせが良いですね。アブサンを用いたカクテルと共にセンスを感じる1皿でした。
デザート2皿目はパリブレストの当店風。これはどっちゃくそ美味しいですね。外観ならびに砕く際の触感、口に含んだ食感、程よい甘味を湛えた生地とソースなどなど、スイーツとしてヒャクパー完成しています。本日ダントツで一番のお皿でした。
ペアリングのワインはポート。こちらも先のマルベックと同様に、合わせて飲むには主張が強すぎます。先にデザートを平らげたのち、食後酒としてのんびり飲むのが良いでしょう。
小菓子も少量ながらレベルが高い。なるほどトロワグロの本店でシェフ・パティシエまで昇りつめたという経歴は伊達ではない。
他方、コーヒーは薄っぺらい味わいで全然美味しくありません。あり?ここ、カフェ的なベクトルでコーヒーが売りでもなかったんじゃなかったけな?
お会計はひとり1.3万円。料理は全般的にバターと酸味が強く、どの皿も似たような味付けであり、特徴的ではあるものの特長はありません。ペアリングは私の好みとはかけ離れており、変化球でストライクゾーンをギリギリ狙って全部外しているという印象。接客態度の悪さならびに商品知識の無さについては既に述べた。中くらいの料理・イマイチなペアリング・チープな接客という意味で、非常に割高に感じた夜でした。
それでも店内は予約でいっぱい。席が空けばすぐにフリーのアラカルト客で埋まるという具合に商売は繁盛しています。この代々木的ダウナー系空気感がウケているのかなあ。客層は均質化しており、無印良品の店員のような雰囲気を湛えたオーガニックな男女が多いという印象です。地味ハロウィンで「PATHの店員と客」に仮装したらウケそう。

「やっぱりこの辺りはカフェの街ね」と、麻布十番在住の外資系アパレルPR担当の港区女子は意地悪そうに語る。確かに食べログの口コミは105件のうち夜の口コミは27件のみであり(2018年11月)、やはりここは昼のお店なのかもしれません。接客やアルコールに期待するのではなく、「夜までやってるカフェ」程度の期待値で来るとちょうど良いでしょう。


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