おにまる/麻布十番


グルメ仲間のお誕生日祝い。ここのところ22時を過ぎてからお酒だけ飲みに行くという喫茶店のような使い方ばかりしていたので、早い時間に予約を入れてお邪魔するのは新鮮な気分。
お通しのひじき煮にて饗宴のはじまりはじまり。「ご招待ありがと。お店のチョイス、最高ね。ここのところ誕生会が続いてて、連チャンでフォークとナイフのお店だったから、心あたたまるわ」
酢モツ。ここの注文率100%の料理。こういう料理は家庭では絶対に作ることができないので、ついつい注文してしまいます。
「たしか〇〇くん(私のファーストネーム)との出会いは、あたしからのナンパなんだよね。何かのパーティで見かけて、翌日別の飲み屋でも偶然見かけて、酔った勢いで声かけちゃったんだ」既婚者が既婚者をナンパする。厳しい戒律の宗教国家であれば銃殺刑にもなりかねない出会いである。
こちらは初めて注文する料理。「ちくわサラダ」という熊本名物の、ちくわにポテトサラダを詰めて天ぷらにしたものは存じ上げておりますが、生のピーマンにポテトサラダを詰めてトマトと生ハムをトッピングするのは斬新。シャクシャクとしたピーマンの噛み応えが後を引く料理です。
サンマは私の最も好きな魚のひとつです。うまいうまいと喜んで食べていると、「世界一のサンマ料理は外苑前の『いち太』にあるって、知ってた?」と、挑戦的な笑みを浮かべる彼女。お店の存在はもちろん存じ上げていましたが、スペシャリテが私の好物だったとは。次回のデートが決まった瞬間でした。
「どうして〇〇くんがそんなにモテるのか、一度、真剣に考えてみたんだけど」長く豊かな髪をかき上げながら彼女は言う。「こだわりが無いところじゃないかなあ。男の人って一度デートすると、がっついてくるのが殆どだけど、〇〇くんはある程度放っておくじゃない?だからついつい気になっちゃって、女の子のほうから誘っちゃうのかもしれない」まるでブーティコールね、と彼女は自嘲気味に笑う。
久しぶりに注文しましたが、やはり旨いさつま揚げ。どこまでも軽く柔らかい。練り物は魚が由来ということを忘れてしまいそうな加工品ですが、当店のそれはきちんと海の豊かさを感じ取ることができます。
串焼きはササミにワサビから。透明感のある肉質が綺麗な日本酒にピッタリです。
確かに私は女の子をガンガンに口説いたりすることはまずありません(そもそも既婚者だ)。だって、片想いの人を振り向かせるのって至難の業じゃないですか?一方で、私のことを好きな人を私が好きになるのは実に容易い。いずれにせよ両想いになるのであれば、後者にリソースを割くほうが手っ取り早いと思うのだけれど。
ワイン好きの彼女のために、ジュブシャンを1本持ち込ませて頂きました。

「それに、何事にものめり込まないから、トラブルが起きにくいよね。口が堅いのも女の子にとっては評価ポイント」私は善行は報われないことを知っており、物事の大半を諦めているため、何かに執着することは少なく、結果としてトラブルに発展することが無いのかもしれません。『口が堅い』は、半分芸能人の「好きな男性のタイプは、口が堅い人」との発言を参考にさせて頂いております。男女関係は「二番目にお待ちのお客様」程度が最も長続きするのだ。
「たまたま白レバーが入ったから」と、大将が特別に白レバーのパテを配慮して下さいました。誤解なきよう記しておくと、当店は九州料理屋です。
何度食べてもこちらのハツはこれぞという傑作。普段は日本酒で頂くのですが、やはり赤ワインと合わせて食べると絶頂に達します。
ハラミ串。日本ではハラミは横隔膜であり内臓という扱いですが、フランスではあまり内臓扱いされていないような気がします。そもそも内臓の定義とは?内臓と言われても直感的にそうとは接することができない肉々しい逸品。
こちらも注文率100%のチキン南蛮。サクサクとした歯ざわりにジンワリと柔らかい鶏の身。たっぷりの野菜も嬉しい。

持ち込んだボトルが空になり、「もう少しワインを飲みたいな」とのことだったので、もし良ければと私のグラスを差し出す。ただしそれは間接キスになりますよ、との注釈をつけて。職場であればセクハラ認定間違いなしのキモい発言。
店が空いてきたので手間のかかるチャンポンを注文。ぐうの音も出ないほど旨い。特にスープ。野菜もたっぷりで罪悪感が薄いのも良い。

「知ってた?不倫の決め手って、セックスしたかどうかなんだよ。逆に言うと、あたしたちが毎日手をつないでデートしてキスしてたとしても、法的にはお咎めなし」彼女は意味ありげな笑みを浮かべる。「そろそろ敬語で話すの、やめて欲しいんだけどな」

『あるポイントを超えると危険の度合いは変わらない』と言ったのは欧米の政治家だったか。秋の夜長はこれからだ。


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  • 2018年10月 ←「どうしてそんなにモテるのか、一度、真剣に考えてみたんだけど」
  • 2018年8月 ←タケマシュランは女性の婚期を遅らせる有害図書だ
  • 2018年7月 ←彼女は根っからのキャバ嬢気質に溢れている
  • 2018年4月 ←久しぶりにじっくり料理に向き合いました
  • 2018年1月 ←身代金要求1兆円パーティ
  • 2017年11月 ←2017年タケマシュランお誕生日パーティ
  • 2017年11月 ←あたしって、すごく顔は整ってるじゃないですか。いるだけでとっても絵になると思うんだけどな」
  • 2017年10月 ←再び既婚者という身分を隠して独身女性と遊ぶ男たち
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東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。Kindleだとスマホで読めるので便利です。

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