オフィス街の地下。席数は20程であり、その全てが埋まっていました。テーブルの間隔がそれほど広くないため、用途は限定されるかもしれません。
ペアリングは3種4,000円~。しかも1杯目はシャンパーニュということで中々リーズナブル。
最初の第一歩は西洋ワサビにホタテ。全体的に薄い味ながら深みがあり、アミューズとして最適。トッピングのチーズも旨味がきいてバッチグー。
ハマグリの出汁のムースにジュレに塩漬けのイクラ。前衛的な割烹料理もかくやという素材使いであり、外人にウケそうです。個人的にはもう少しパンチのある味付けのほうが好み。
ペアリングのワインはかなり気前よくドバドバ注いでくださいました。ただしコンパクトで平板な味覚であり、料理の質に比べると荷が重い。
ほうれん草と毛ガニの和え物に卵黄のソース。毛ガニの旨味に迫力があり美味。卵黄のソースも輪郭のある味わいであり私好み。一見和食のようですが、目を閉じて食べるときちんとフランス料理なのが面白い。
パンはフォカッチャ。フランス料理屋でフォカッチャを食べるのは珍しい。一般的なそれよりも外皮が屈強であり、こんなフォカッチャもあるんだという感想です。
左は無塩バターに右は梅バター。後者はありそうでない取り合わせであり、余韻にふんわりと残る梅の香りが好印象。
サンマにキノコが盛りだくさん。サンマの屈託のない味わいに様々なキノコの食感が加わり記憶に残る一皿です。ヨーグルトとバジルのソースも名脇役。
1,000円の追加料金で手に入れたスペシャリテ『日本橋フォアグラ ゴーフレット』。自家製のゴーフレットにフォアグラのテリーヌを乗せプラムのソースと柴漬けをトッピング。常識外れの組み合わせという意味では面白いですが、ピュアに味わうのであればラスのアレのほうが私は好き。加えて風呂敷に包まれた缶の中から恭しく取り出す演出はやや過剰に感じました。
魚はアイナメ。弾力のある食感、かつ、身の味が濃い。カボチャのソースも季節を感じさせる味わいで、私の心を上手く調律してくれました。
メインは豚肉。これまでの調理に比してこねくり回すことはなく、シンプルに素材の味を楽しむ一皿です。豚肉が、旨い。芽キャベツなどの付け合わせも上質であり、安定感のあるメインディッシュでした。
合わせるワインはコチラ。先の白と同様に、やはり料理に比べるとワインに凄みが欠ける印象です。
デザート1皿目はブランマンジェ。韃靼そば茶を用いた風味がノスタルジックで凄く良い。ゲランドの塩を全面に押し出したアイスと合わせて食べると極上の甘味。本日一番のお皿です。
メインのデザートは梨。コンポートにしたものにムースを被せ、キャラメル&チョコレートのアイスを添える。季節を感じつつもアイスクリームのわかり易い味わいでグイグイ押してくる。
フィナンシェはハチミツ風味なのかなあ。出来立てのアツアツで、ほんのりとジューシー。フィナンシェとして極めてレベルの高いひと口でした。
コーヒーは説明が難しいのですが、それほどタイプではありません。エスプレッソにすれば良かったかな。
以上、料理5,000円に1,000円のフォアグラをプラスし、4,000円のワインペアリングを付け、税サを加えてトータル1万円チョイです。うーん、素晴らしい費用対効果ですねえ。これだけ安定的な品々を10皿近く出してこの価格はちょっと他では真似できないでしょう。次回は夜に、シェフのフルパワーを楽しみにお邪魔したいと思います。
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