「爛漫」というチキン南蛮の名店もすぐ近くにあり魅力的だったのですが、和食のフルコースを食べた後にはあまりにハードコア。したがって、軽くつまんで軽く飲むスタイルの鶏肉が良かろうと、当店をチョイス。食べログ百名店にも選出されている有名店です。
カウンター席を奥に抜けると座席が広がります。この雰囲気が実に良く、親戚の家やサークルの合宿に来たような和やかな空気に満ちており、地元の方が喫茶店のように使っているように見受けられました。22時を過ぎてはいますが泥酔客はおらず客層が良い。
生ビールを注文。メニュー表や価格表のようなものは一切ないお店なので値段は不明です。食べログで予習した情報を基に「ヤキとタタキをひとつづつ」と注文。
秒でキュウリが供されうろたえる。おそらくはお通しという位置づけなのでしょう。切って塩をふっただけの一皿であり、切って塩をふっただけの味わいです。
こちらも問答無用で提供されました。おそらくは鶏の出汁のスープ。悪くは無いのですが、ややパンチに欠けた味わいであり、お湯っぽいです。
「ヤキ」が到着。地鶏のモモ肉を焼いたものであり、骨からは肉がバラされた状態で提供されます。もちろん骨付きでのオーダーもOKで、通な方は食べ進める過程において「追い焼き」をお願いするそうな。
観光客の我々がまさに思い描いていた宮崎の地鶏焼であり、真っ黒なビジュアルに興味をそそられ、炭の香ばしい香りに食欲をそそられる。マガモのような歯ごたえと脂。何回もの咀嚼に耐えうる圧倒的な歯ごたえ。いつまでも浸出し続ける旨味。
柚子胡椒で味変。ちなみに柚子胡椒とは胡椒でも何でもなく、唐辛子を粗刻みにし、ユズの果皮と塩を入れて磨り潰し、熟成させたものです。結構塩味が強く、また、たっぷり用いるとタイ料理を食べた時のようなお腹ゴロゴロ感があります。入れすぎ注意!
「タタキ」。「ヤキ」の黒焦げになってない身にたっぷりのポン酢とネギがかかっており、いわゆる東京の人間が想像する「タタキ」とは少し異なる。冷製であるため「ヤキ」に比べると歯ごたえが際立ち、また、脂も主張も強くなるので、好みが別れるかもしれません。私は断然「ヤキ」のほうが好き。
ふたりでビールを1杯づつ、タタキと焼きをひとつづつ、席料を加えてトータル3,500円程度。ひとりあたり2,000円を切ります。これはいい。地元客が軽くカフェ使いする気持ちが少しだけわかりました。
その他のメニューは鶏の出汁茶漬けと白米しかなく、メニューが限られているためマジ食いは厳しいですが、2次会や0次会にはうってつけのお店。遅くまで営業しているようですし、宮崎観光後の「もう1軒」に是非どうぞ。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。