筋肉食堂/六本木

引き続き連れのダイエット計画を支援する優しい私。今夜は高タンパク・低糖質・低脂肪・低カロリーにこだわったアスリート御用達のレストラン、筋肉食堂へ。こういうわけのわからない飲食店が普通に存在するのが東京の凄さである。店主はトレーナーでありトータルワークアウト出身。当ブログで「~出身」と書く際に、スポーツクラブ名を書いたのは初めてです。
意外にも店内はオシャレなカフェ風(写真は公式ウェブサイトより)。しかしながら至るところにダンベルなどの筋トレグッズが転がっており、店員も妙にガタイが良い。客も店員も皆、例外なく背筋が伸びており、私も身の引き締まる思いである。

「付き合ってくれてありがとね」長い髪をふわりとなびかせ、品の良い笑顔を湛える連れ。加えて彼女の肩幅は広く大きく、発達した広背筋が健康的に美しい。

「ゆうべどうしても我慢できなくなって、『塩バターキャラメルシナモンクレープ』っていう地獄みたいなスイーツをUberEatsで注文しちゃったわけ。もう、死にたい」やはり人間、極端なダイエットに挑戦するとそのバックラッシュも凄まじい。
ウェルカムドリンクはプロテイン。シャレなのかマジなのか判断に困る1杯です。

メニューを開くと、「パワーアップ」「エブリデイ」「ダイエット」の3カテゴリに分かれており、それぞれの目的にあった料理が提案されます。メニューひとつひとつにカロリーやたんぱく質・脂質・糖質が記載されているのはさすがの一言。
セットメニューを選択したため、サラダ・スープ・玄米が付随します。このサラダが結構美味しくて、決してオマケというわけではなく、量を増やせばグランドメニューと称しても遜色ないレベルです。

『塩バターキャラメルシナモンクレープ』は確かに死んだほうがいいね。伴走者として冷たく言い放つ私。ちなみにこの日の私は朝食は抜き、昼はサラダのみ、夕方にプールで2キロ泳いできたばかり。移動は全て徒歩で、既に1万歩を超えています。
スープも美味。牛スジをミキサーにかけて伸ばしたスープとのことで、たっぷりのミートに肉由来の旨味がたっぷりと詰まっており、そんじょそこらの西洋料理店のスープよりも全然美味しい。

「何それ、、、女のあたしのほうがカロリーを摂ってて、しかも運動していないわけ?もう、死にたい」彼女を絶望の淵へと追い立てる私。ちなみに隣のテーブルのカップルは、どこどこのプロテインがどうのこうのと、タンパク質談義に花が咲いていました。
私は「ミックスステーキメニュー」から「鶏モモ肉 200g + 鶏ムネ肉 200g」をチョイス。一見するにとんでもないボリュームですが、質が良く脂が控えめな部位であるため、ヒョイヒョイと胃袋に収まっていきます。

素材のおかげなのか調理技術なのか、パサパサと硬くなりがちな鶏肉がシットリ・ふんわり・ジューシーに仕上がっており、並の焼鳥屋では歯が立たないほどの美味しさです。
メインのソースはネギ塩だれ。みじん切りされたネギが気前良く組み込まれており、ネギサラダさながらの青い味。

痩せたいなら、まず、朝食を抜いてみたら?「3食しっかり食べましょう」だなんて、何の根拠も無い嘘だからね、と、何の根拠もなく自信たっぷりに説く私。

それから、自炊なんてやめて全部外食にしなよ。日本人は家庭料理に宗教めいた憧れを持っている人が多いけど、本気で美味しいと思って食べてるわけ?
その他、様々な調味料やソースも用意されており、400グラムという肉塊を食べきるにあたって、飽きた瞬間は一切ありませんでした。

これは『バレンタインに手作りチョコだけは勘弁して欲しい』で主張したことに類するのですが、スーパーの特売品で作った素人の料理なんて不味くて当たり前です。1+1が3にも4にもなるとは寝言であり、1+1は絶対に2です。それでも何とか食べた気にさせるためには量で誤魔化すしかなく、結果として無駄なカロリーばかり飲み込んでしまう。こんなことなら最初から高級レストランで上質な食事を決められた量だけ摂るほうが遥かに身体に良いでしょう。
ライスは玄米か白米かを選択できるのですが、ここは当然に玄米を。玄米特有のボソボソとした食感は軽減されており、楽しく美味しく完食です。

「どうしてもお腹がすいて発狂しそうになったらどうするの?」縋るような眼差しで私を見つめる彼女。まず、そのUberEatsは今すぐアンインストールすることだ。で、どうしても我慢できなくなったら僕に電話するといい。一緒にハイボールでも2~3杯飲めば落ち着くよ。空腹感など所詮は精神的なものだから。

どうしても甘いものが食べたいのであれば、有名ショコラティエの1粒500円はするボンボンショコラに限定する。あの手のショコラは2粒も食べれば心が満たされるものであり、決してバクバクと食べるものではない。1枚100円の板チョコやスナック菓子なんか買うから量を食べないと満足できないのです。
「またヘンな色ものレストランができたな」が第一印象だったのですが、どの料理も普通に美味しく、飲食店としてピュアに評価したとしてもかなりレベルが高いお店です。

また、店員のハキハキした態度もいいですね。すべての作業をテキパキとこなし、気持ちの良い笑顔に安定感のある皿さばき。退店時は「ありがとうございましたぁああ!」と、部室から先輩を送り出す後輩たちさながらに、盛大に見送られます。就活で体育会系が有利な理由が直感的に理解できた一夜でした。
帰りはヒルズに新しくオープンしたスーパーに寄ってみる。上質な食物が積み上げられた魅惑の一室であり、彼女の瞳が爛々と輝き始める。

「コレならダイエット中でもそう悪く無いよね?悪く無いよね?」私に言い訳しながら買い物カゴに燻製の玉子を2パック放り込む彼女。買わなければ0キロカロリーだぞ、と冷静に指摘する私。ツタヤで解散し自宅に戻ると彼女からのメッセージ。
彼女の道のりは長く険しい。


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六本木は難しい街です。おっと思えるリーズナブルな店から、高くてギラギラしてるだけのハリボテのようなお店も多い。私が好きなお店は下記の通りです。
レストランの在り方に迫るというよりは、六本木の今にクローズアップした特集。ラグジュアリーで儚い夜の街へと誘うガイドブック。紙媒体は売り切れちゃうのでお早めに。