訪問する前日の13時頃、私は『鮨さいとう』において世界最高峰の鮨を堪能していたのですが、まさにクライマックスという時にブルブルブルブル携帯が鳴りやまない。もちろん相手にせずに放っておいたのですが、鮨に対する意識が瞬断されたのは確かです。
食後に折り返し連絡すると、ここブラッスリー ハルナからの電話でした。電話口では最初から「ご予約のお時間が過ぎておりますが」と喧嘩腰。へ?予約って明日でしょ?念のため一休からのメールをもう一度確認すると、やはり私の認識が正しい。改めてお店に電話を入れその旨を伝えると、「えー?本当ですかぁ?」と何から目線だよ。相手にするのも面倒なので、明日証拠の予約票をお見せしますから、と言い残し静かに電話を切る。
翌日、もう違うお店に変えちゃおうかなあと思いつつも、約束は約束。予定通りにお店に向かいます。白金高輪駅徒歩数分。桜田通りから1本折れた道沿い1F、オレキス(OREXIS)の斜向かいあたりに位置します。
お店に入ると昨日は手違いでスミマセンでしたの一言ぐらいあるかと思いきや特に何もありません。念のため、昨日はジャンジャカ電話がかかってきたけど大丈夫ですか?これが予約票のメールですよとスタッフに確認すると、「ああ、こちらの手違いでした、スンマセン」と、特に謝るでもなく実にふてぶてしい態度です。
乾杯はプランに付帯するスパークリングワイン。まあ、プランに付帯するスパークリングワイン味です。プランに付帯するスパークリングワインとはこういう味である。
アミューズに左下はムール貝。スタッフはモンサンミッシェル産だと胸を張るのですが、妙な生臭さや砂が残っており美味しくない。右上はフランにモロヘイヤのソース。コンセプトは悪くないのですが調味が弱くボンヤリとした印象です。
前菜はカルパッチョでしょうか。スーパーの刺身と大差ない味わいで8,079円のコース料理の前菜としては心もとない。
乾杯のスパークリングワインの量が少なかったので、ワインリストから追加のボトルをもう1本。酒屋で1,000円程度で売られているものが3,800円。ワインの値付けは良くありません。
カボチャの冷製スープでしょうか。量が少なくスプーンですくえないレベルです。成城石井で売られているレトルトのスープ以下の味わいであり、思わず溜息がでました。
魚は何だっけなあ。個体そのものの味わいは悪く無いのですが、コンビニのシャケ弁のシャケ程度のサイズであり、食べ応えがありません。「Wメイン」の一角を担う料理がこれだと先が思いやられます。「メインw」の誤記かもしれません。
パンは普通です。これまたスーパーのパン売り場にあるフランスパンと同程度の味覚でした。
「Wメイン」のもう片方はフランス産の鴨肉。これは中々美味しいですね。筋肉質ながら肌理の細かい口当たりであり、シンプルな味付けも肉の良さを上手く引き出しています。
デザートは何かよくわからないスプーン1口のものが出てきました。不味くはありませんが、量が少なすぎます。フランス人であれば暴れ狂うことでしょう。
コーヒーを飲んでごちそうさまでした。…へ?もう終わり?8,079円の全8品のコース料理がもう終わり?ランチで8,079円という結構な金額を取る割に結果がこうではあまりにも貧弱です。
私の中で8千円前後のランチとは「ローブ(東麻布)」「ラリューン(東麻布)」「タクミ(六本木)」「ル スプートニク(六本木)」「アルシミスト(白金)」「アラジン(広尾)」「メイ(五反田)」「La Palme d'Or(カンヌ)」あたりのレベルを当然に期待するのですが、当店のそれはロイヤルホスト以上、俺のフレンチ以下のクオリティです。すぐご近所のラシェット・ブランシュなんて、正真正銘のフランス料理をビシっと出して、ディナーで6,500円だというのに。
写真を確認すると、そもそも8品も提供されていない。お店に確認すると、アミューズのこの1皿は、2品載っているので2品としてカウントする、とのことでした。しかしそのカウント方式だとロブションなどでは1晩で100品をゆうに超えてしまうし、
ツシミに至っては1皿で60品を超えてしまうではないか。
品数はどうあれ、8,079円のコース料理としてもあまりに粗末が過ぎると思い、改めて一休のサイトを確認すると、そこには恐るべき表記が。
【元値内訳】
(コース・料理)3,024円 + (ドリンク)735円 + (その他)4,320円 = (合計)8,079円
これは料理の質がどうのこうの言う以前の問題です。このような客を欺く姿勢は絶対に許せない。冒頭の予約の取り違いや客を疑うような態度を含め、ビジネスパーソンの姿勢として私史上最低です。店の関係者の子供の受験が1点足りずに不合格となりますように。
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白金高輪は粒揃いの佳店が多いです。ちょっと不便な立地も良いんでしょうね、若い子たちを寄せ付けることが無くて。
- ラシェット・ブランシュ ←食べ物だけで6,500円というミラクル。
- 酒肆ガランス ←前回の記事が大反響。
- キャーヴ・ドゥ・ギャマン・エ・ハナレ ←2016年上半期に最も衝撃を受けた店。
- ロッツォシチリア ←客のレベルが高い。味は確かでサービスも軽快。
- タランテッラ ダ ルイジ ←ピッツァだけでなく他の料理も素晴らしい。
- アルシミスト ←あんなブーダン初めて見た!
- ラ クープ ドール ←手堅いフレンチ。酒安し。
- コートドール ←ギョっとするほど古典的。
- 金竜山 ←言わずと知れた日本焼肉界の最高峰。
- 鈴木屋 ←オチ?ネタ?いえいえB級グルメも旨いんです。
- ブラッスリー ハルナ ←史上最低のお店。二重価格表示にお気をつけて。
「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。