新大久保駅徒歩数分、イスラム横丁にあるマンションの2階、いかにも怪しげな美容室の隣です。
外観からはイスラム横丁らしさ溢れる食材屋。
まさにマンションの1室を改装した趣の、あっち系食材店なのですが、レジでたむろしている男たちから「ナニ？食事？」と声をかけられ静かに頷くと、写真左の秘密ののれんの奥へと案内されます。
のれんの奥には極彩色あふれる食堂が。「隠れ家」と言いつつ全然隠れていない飲食店が跋扈する中、これぞ正真正銘の隠れ家店でしょう。
妙に安い生ビールで喉を潤し人心地つけ、手近にあるメニューに手を伸ばす。聞こえて来るのは聞いたことのない言葉ばかり。日本人がひとりもいない空間です。異国情緒あふれるどころか異国である。
怪しげな日本語が乱舞するメニュー。千円強のカレープレートが主流であり、その他、おつまみセットなど。
アラカルトでの注文も可能。「ネパールらめん」のような片仮名と平仮名の混在が実にシュール。秩序に神経質な人間にとっては耐え難いメニュー構成でしょう。「炒め物」の欄に「のうみそ」とあることに漠然とした恐怖を感じます。
飲み物を注文すると、黙ってエビセンを置いて行く店主。便宜上「店主」と表現しましたが、当店は誰が店主か、もっと言うと、どこからどこまでが店員かの境界線が曖昧です。奥にいる「店主」に注文すると、思いがけず隣でメシくってた人が「リョウカイ！」と言ってきたり、さっきまでそこで働いていた人が何の脈絡も無く突然居なくなったり。いわゆる日本的な接客とは一線を画した変幻自在のオペレーションです。
チキンチョイラ。チョイラとは何かわからないまま怖いもの見たさで注文したのですが、肉をスパイスやハーブでマリネし野菜と共に炒めた料理のようですね。辛いというよりは様々なスパイスが巧みに調和している印象。ビールにピッタリ。
こちらはネパールのビール。リアルゴールドとのことで、うっかりするとコカコーラ系のエナジードリンクっぽいですが、れっきとしたビールです。やや甘く、べっこう飴のようなバリっとした風味が面白かった。
「炒め物の盛り合わせ」。何が含まれているか見当がつきませんが、少なくとも「炒め物」の欄に「のうみそ」が含まれていたのは確かです。レバーの臭みやホルモン的歯ごたえを感じたので、おそらく内臓系が主流なのでしょう。味付けは統一的なものの、様々な食材が楽しめるお得な一皿。
おや、テラス席があると思いのぞいてみると、布団と洗濯物が満艦飾。
以上、控えめに飲んで食べてひとりあたり1～2,000円程度。飲食店として純粋にリーズナブルですねえ。運用の面は日本人のそれとは全く異なりうろたえる瞬間が多いですが、それを含めて異文化コミュニケーションです。お店に色々言ったら融通がきく、というか融通が全てのようなお店なので、ちょっとした海外旅行を楽しむノリでどうぞ。
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私はヒールからスニーカーまでイケるクチです。三ツ星店もいいけど、場末の飲み屋街も魅力的。
おひとり様大歓迎の名酒場100軒を掲載。ひとり客の割合・男女比・ビールの値段などを「酔い処早見表」として整理されており読み易いです。紙媒体だと1,000円近くする本が、Kindleだとたった500円でお買い得！
