SMOKEHOUSE(スモークハウス)/原宿

「人と人との繋がり、出会いの場を創りたい」という、超うさん臭いコンセプトの会社を営むパイセンより、「飲もうよ。お互いひとりづつ連れて来るってのはどう?」との連絡。すぐさま彼の業態にまあまあ近い商売の女の子に声をかけ、店を手配する。
原宿はキャットストリート中央部(以上、写真は公式ウェブサイトより)。ラルフローレン隣のビル2F。クラフトビールとBBQ料理を堪能できるレストラン。みんな大好きT.Y. Harbor Brewery系列です。
予約時間に到着すると、予想通り誰もいませんでした。私の連れは数分遅れの美人だから宥恕するとして、冒頭のパイセンに至っては30分遅刻、かつ、同伴者にはドタキャンされるという体たらくです。察しの良い店員は私の胸中を推し量り、複雑な笑顔でドリンクメニューをそっと手渡す。
「お待たせ」太陽のような笑顔を向けながらそっと私の肩に手をかける彼女。均一にこんがりとやけた素肌はスタイルを含めて安室奈美恵調。「明日は旦那の誕生日で、0時には家に帰ってたいから、今夜はあんまり調子に乗らないでね」と、褐色のシンデレラはやんわりと釘を刺す。
スモークハウスナチョス。BBQ風に味付けされた肉にチェダーチーズ、グァカモーレ、パクチー、サワークリーム、サルサソースなど、ビールを誘う味覚が百花繚乱。Planet Hollywoodの手抜きナチョスとは一線を画す出来栄えです。
「遅くなって申し訳ない!」とパイセン社長が登場。初めまして彼女はこれこれこういう人で、という定番の紹介を行っている途中、私はうっかりソースをシャツの袖にこぼしてしまう。彼女は手早く炭酸水とナプキンを数枚持ってくるよう店員に求め、ナプキンを袖下に挟み込み、炭酸水を含ませ、私の腕を取ってトントントントンと長時間染み抜きにプレイを見せつける。これはパイセン社長に対する新手のマウンティングである。
ジャンボオニオンリング。一般的なそれではありますが、素朴で地味に旨い。ソースは付け合せのものの他、卓上に4種置かれており、調味の自由度が広いです。
「ずいぶん親しそうだけど、こいつのブログの、他の女の子と遊びまくってる記事を読んで、どう思ってるわけ?」パイセンは至極当然な疑問を彼女に投げかける。

「そりゃあ、ムカつきますよ。でも、あたしは誰にも負けない自信があるから大丈夫。あたしが絶対に一番だから」あの、僕、一応、既婚者なんだけど。
自家製ソーセージとスモークベーコン。ソーセージの味覚は市販品のそれと大差ありませんでしたが、ベーコンが旨かった。スモークされた香りが食欲を誘い、肉の凝縮感と脂身の締まり具合がちょうど良い。
「スミマセン、遅くなって」ドタキャンの代打として、パイセンの会社の従業員が遅れて到着。切れ長の目が印象的で、スト2の春麗ような外観です。桁違いに肌が綺麗であり、聞くと齢は25歳。今夜も楽しくなりそうだ。
ブリスケット(牛バラ)はシーチキンのように柔らかく、人肌程度の温度帯に定められており、ありそうでない味覚でした。これ単体で味わうというよりは、IPAやアンバーエールなどコクの深いビールとのマリアージュを楽しむツマミです。
ブラッディ・マリー (ウォッカをベースとするトマト・ジュースを用いたカクテル)が豪快。セロリが丸々突き刺さっており、西海岸あたりのブランチで好まれそうなプレゼンテーションです。

社長が春麗に、彼女の第一印象を問う。「すごく美人、息を呑むほどに。加えて凄く仕事ができそう」それじゃ、こいつは?と私に視線を促すと、「うーん、ミステリアス。ちょっとまだ掴めません」
鶏卵の燻製でしょうか?卵黄はくり抜かれ何かと共にソースと化しており、それらを空いた穴に注入し盛り付ける。白身の外側がやや硬く、グラデーションのある歯ごたえであり、面白い一皿です。
ミステリアス、そのとおり。私はje ne sais quoi(不思議な魅力)に溢れており、ただ黙っているだけでみんながチヤホヤしてくれるという、実に便利で得する雰囲気を身に纏っているのです。目に見えないエネルギーに溢れおり、目に見える効果を持っているタケマシュラン。
本日のスペシャルBBQプレート、ということでラムチョップです。先日クリスタで見かけたそれと外観が酷似しており、恐らく同じ仕入先なのでしょう。一般的なものよりはサイズがひとまわり大きく食べ応え抜群。肉の旨味と脂の甘味が調和し、本日一番のお皿です。付け合せのキヌアサラダも地味に旨い。
その後は面目躍如、私がいかに素晴らしい人間かとの話題で盛り上がり賞賛の雨あられ、俺のほうが仲良いもんいいえあたしのほうが親密ですよと引っ張りだこ。ずいぶんと私得な飲み会でした。


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