Rataskaevu 16/タリン(エストニア)

ラタスカエヴ16(Rataskaevu 16)。エストニアの首都タリンでダントツの人気を誇るレストラン。昼夜共にテーブルは予約でいっぱいで、当然に予約を入れておくべきなのですが、当日席もいくつか用意してあるとのこと。それでもその日の混雑状況は読めないので、必ず予約してから訪れましょう。
古き良きヨーロッパの建物に北欧テイストの調度品。決して華美ではありませんが、センスの良さが感じられます。
酒が安い。地元のビールを飲んで1,000円もしません。エストニアはバルト海沿岸の国々の中で相対的に物価が安いと言われていますが、当店の値付けは東京のそれに比べても安く感じます。
アミューズならびにパンが最初に供されます。右のアミューズはカリカリとした食感の土台にニンニクの効いたペーストがグッド。左の黒パンは蒸しパンのような食感であり食べ応えがなく、個人的にあまり好きではない。
私の前菜はフライパンで焼いたニシン。ニシンはエストニアの国魚(?)とのことでウェイターも胸を張り、なるほど旨味が上手く凝縮されており日本酒が欲しくなる味わい。他方、ソースはもう一歩。カッテージチーズなどを取り入れ工夫はしているのですが、どうしてもニシンの味わいの強さに負けてしまっています。
妻はアヒルのタルタル。少し味見させてもらいましたが、これは別に普通ですね。肉に深みがなく、中途半端に火の通った生焼けを食べたという印象。
私が注文したスープは「トマトと白アスパラガス」。しかしながら白アスパラガスの風味は微塵も感じられず、妙に酸味の強いガスパチョを温製で食べたという記憶しかありません。コリアンダーの風味やハバネロの辛味も意図が不明でした。
妻のスープはキノコとトナカイのスープ。「ポール・ボキューズの『Soupe aux truffes noires V.G.E. / Plat créé pour l'Élysée en 1975』にベクトルが近い」と、生意気な女である。
私のメインはトナカイのロースト。肉は200グラム近くありかなりのボリュームです。しかしながら味はイマイチ。ジビエ風味と言えばジビエ風味なのですが、質の悪いシカを食べたような嫌な後味が舌に残り美味しくない。肉汁も抜けきっており、シーチキンのような食感にもげんなりする。
妻のメインは豚肉。先のトナカイでも感じましたが、当店の芸風なのか仕入れの問題なのか、どうも火入れの頂点が完全に過ぎており、肉汁や脂が抜けきってガスガスとした食感です。沖縄の居酒屋で出て来る作り置きラフテーのような味わいでした。
タリンひいてはエストニアを代表するレストランと期待に胸を膨らませながらお邪魔したのですが、日本の一般的なビストロ、もっと言えば、俺のフレンチのようなチェーン店よりもレベルが低いです。不味くはないが、決して旨くもない。

まあ、ハコは立派でサービス陣は感じが良く、酒を1杯飲んで税サ込4〜5,000円で済むことを考えれば、観光地のランチとしては悪くないのかもしれません。エストニアの頂点を知るという話のタネにどうぞ。


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