【関連記事】
- 地中海・エーゲ海クルーズ(プリンセス・クルーズ)
- 北欧クルーズ(プリンセス・クルーズ)
- クリスマスクルーズ(飛鳥Ⅱ)
- カリブ海クルーズ(ロイヤル・カリビアン)
- 小笠原諸島(おがさわら丸)
- パラオダイビングクルーズ(パラオスポート)
- 台湾・九州クルーズ(ぱしふぃっくびいなす)
- ハワイ4島クルーズ(ノルウェイジャン・クルーズライン)
- アラスカクルーズ(プリンセス・クルーズ)
- 千の風になってクルーズ(にっぽん丸)
- 横浜発釜山ショートクルーズ(プリンセス・クルーズ)
コペンハーゲンのOcean Quay Cruise Terminalへ。市街地からは少し離れておりタクシーで向かうのが一般的でしょう。が、我々は前泊していたホテルすぐそばのバス停から27番系統に乗り込み、十数分で難なくたどり着くことができました。
スーツケースの預け入れから手荷物検査、チェックインまでの流れが極めてスムーズです。乗船後も流れるようにドリンクパッケージの押し売りやエクスカージョンの申し込み会場へと案内され、このオペレーションレベルの高さは並大抵のものではない。
コスタ座礁事故から察するにイタリア船は運用が適当だろうと高をくくっていたのですが、考えを改めました。後から知ったのですが、MSCはイタリアの船会社で間違いないものの、本社はスイスに所在しており、裏で色々と仕切っているのはスイス人ではないかと邪推してしまう。全体を通してシステマティックで、エンタテインメントが盛りだくさんのクルーズ船というよりは、単なる動くホテルという印象であり、どこかそっけなく味気ない。
ところで、デンマークから出航するイタリア船であるためか、乗客の人種構成がこれまでにないほどバラバラなのが面白かったです。案内表示やアナウンスが常に6言語で対応されており、特定の人種が雰囲気を仕切っていることはなく、コスモポリタニズムを肌で感じる客船でした。
一方で、アメリカ人が少ないためか、乗客全体としてのテンションは控えめです。やはりアメリカ人のノリの良さは偉大である。エレベーターに乗っただけで何処から来ただの何をしただの赤の他人とどうでも良い話をし始め、イベントとなれば全力で取り組み、店員からの売り込みに対しても心を込めて雑談する。
アメリカ系の船であれば船内にアイススケート場やロッククライミング、人工の波を吹き出すサーフィン場などがあり毎日がお祭り騒ぎなのですが、当船の特徴的な設備は実用に耐えない小さなボーリング場と、寒さのため使用されていないウォータースライダーがあるのみでした。
プールやジムなどは他のクルーズ船と同等であるものの、
ライブラリーの蔵書が貧困層であるのが読書家の私としては悲しかった。
また、アメリカの船会社であれば船長やクルーズディレクターはスター扱いされており、彼らの個性がその航路における重要な要素であったりするのですが、当船については従業員の個性を前面に押し出したりすることは一切なく、良くも悪くも顔の見えない運航でした。これは好みの問題かもしれませんが、このような人間味の欠けた船旅には私としては愛着を持ちづらい。やはりクルーズ旅行という非日常の演出は、世界のエンタテインメントの覇権を握ったアメリカ人に任せるのが一番なのかもしれません。飲食店のレベルが低かったのが心外でした。
【関連記事】
美食の国イタリアの船であるため提供される食事は一級品であることを期待していたのですが、肉料理魚料理はおろかシンプルなパスタでさえもアメリカ船のそれには遠く及びませんでした。加えて有料レストランが死ぬほど不味いためそれに逃げるという選択肢もなく、毎晩毎晩決まりきった出来損ないのイタリア料理に接しなければならないのが苦しかったです。
気に食わないのが金儲けの気配が濃厚であること。ノルウェイジャンほどではありませんが、レストランで水道水は出すことはなく常にミネラルウォーターの購入を要求するなど、ことあるごとに別料金の何かを売りつけようとしてきます。「クルーズ旅行はオールインクルーシブ」という黄金律はどこへやら。
また、船内にVenchi(ヴェンキ)というイタリアの老舗チョコレートブランドのジェラート屋が入居しており、他所のショップであるため別料金となるのは構わないのですが、驚いたのはサービス料までを要求されること。スプーンですくってカップに盛り付けるだけで15%のサービス料です。サービス料を要求する立ち食いのアイスクリームショップなど、世界広しと言えどもここだけでしょう。
沿岸の街に寄港する際、一般的なクルーズ会社であれば「○○という港の△△という埠頭に接岸予定。市街地まで少し距離があるので、無料のシャトルバスを用意します」との案内があるはずなのに、MSCに限っては街の名称のみの案内に留まり(そんなことは申し込み時点で知っている)、何が何でもエクスカージョンに誘導しようとし、歩ける距離であっても有料のシャトルバスに乗せようとしてきます。
もちろん、MSCがここまでつるセコに金を稼がなければならないのは、当船が「カジュアル船」だからでしょう。ゲスト全員が思い切りドレスアップして食事に臨むクルーズ旅行の醍醐味「フォーマルナイト」は用意されていたのですが、きちんとタキシードを着込んでいたのは私ぐらいのもの。いい年したオッサンがTシャツ短パンでメインダイニングをウロウロしてしており、そういう民度の船なんだと理解した瞬間です。
現在私はプリンセス・クルーズ社のエリートクラス(常連)ステータスを保持しており、支払金額は他社と同等であってもプリンセスに乗ったほうが得することが多い。これまであれこれと浮気をしてきましたが、今後のクルーズ旅行については全てプリンセス・クルーズ社1択にしようと決意した船旅でした。
バルト海クルーズ目次
関連ランキング:オーベルジュ | コペンハーゲン