「いい焼肉屋がある」と、地元民が予約しておいてくれたお店。肉のほとんどが石垣牛であり、八重山としては中々の高級店だが東京に比べると極めてリーズナブルとのこと。
店内は掘りごたつ形式。席と席の間隔にゆとりがあり、ちょっとした体育館のような開放感があります。観光客は我々だけであり、ほとんどが地元民、かつ、家族連れである印象。
オリオンビールで乾杯。サーバーのメンテナンスがイマイチなのか、酸味と苦味に妙なものを感じちょっとアレでした。次からは瓶にしよう。
地元の常連がオススメメニューを手早く注文してくれ、あっという間にテーブルが肉で埋め尽くされました。
地元民イチオシのハラミ。仕入れや何やらの関係で、この肉が登場するのは土曜の夜からとのこと。で、我々は土曜日の18:30にコレを注文したのですが、それで売り切れ。週に1時間のみの存在。幻のメニュー感半端ない。
味もグッド。健康的に肉の赤身が感じられ、噛みしめるたびに野性的な旨味が口腔内に溢れます。
厚切りタン（正式名称失念）。この厚切りっぷりは前代未聞。牛の舌の形状がわからなくなってしまうような、消しゴムのようなカットです。味はジューシー。タンは筋肉質な味覚であることが多いのですが、こちらは脂と肉汁を感じる味わいであり、今まで無いタンでした。
キムチの盛り合わせ。いずれも成城石井のキムチを超えてくる味覚でありレベルが高い。手前の白菜キムチが特に素晴らしく、単品でおかわりしたほどです。
生ビールがアレだったので、地元のクラフトビールをビンで頂きます。一般的なヴァイツェンタイプよりも全体的に濃く、太陽のような石垣島らしさ（なんやそれ）を感じました。
アカセン。牛の第4胃です。テラテラと脂が照っているのですが、見た目ほどホルモンホルモンしていません。食感がトリガイのようであり、長く口に留まる食べごたえでした。
裏メニュー（？）のニンニク醤油漬け。これが絶品。ニンニクの強烈な臭みはキレイに除外されており、その代わりに醤油の旨味が付与されており、酒のツマミに最適です。肉や酒やで少し塩気が足りないな、というときに少しかじって味覚を調整する。
ナムルセット。キムチ盛り合わせと同様に、こちらもきちんと美味しいです。サイドメニューが美味しい焼肉屋は信用できる。
網の中央にはマルチョウ。人差し指のようなヴィジュアルにギョっとし、小腸をぶった切ったものかと思い返し二度ギョっとします。筒の中に脂が留まり背徳的な脂でたっぷり。これはあからさまなホルモンであり、人によっては好みが別れるかもしれません。
こちらはデュンケル。コーヒーやキャラメルのような香りが支配的であり、思ったほどアルコールは高くありません。味もやはりキャラメルのような麦芽の風味が感じられ、やや甘い。食中酒としてはちょっとアレですが、ビールとしての完成度は高い。
こちらは豚肉。網に置いた瞬間に脂に火がつきファイヤーするという、危険度マックスな食材です。良い環境で育ったことがわかるクリアな味わいで、駅名で表現すれば清澄白河です。
奥からレバー、カルビ、キノコのバター焼き。レバーはイマイチ。それなりに臭みがある一方で、味わいに奥行きがあるかというと、そうでもありませんでした。カルビはベーシックな味わいで肉そのもののポテンシャルを感じられグッド。キノコのバター焼きは石垣とは関係ありませんが、王道中の王道といった味わいで素敵な箸休め。
マリンビール。その名に違わず、ヘレス・スタイルの爽やかなビールです。モルトがホップに勝っており、バランスが良く、良い意味で主張しない味わいでした。当店における食中酒という意味ではこれがベストかもしれません。
〆は石焼ビビンバか冷麺かということだったので、もちろん両方注文です。伝統的なジャパニーズ・石焼きビビンバであり心温まる味わい。
冷麺は盛岡スタイルではなく、ちょっと変わっています。透明のスープに真っ白で太い麺。魚介の出汁の風味が強く、満腹でもスルスルと胃袋に落ち着く味わいです。
パイナップルシャーベットでごちそうさまでした。
以上、死ぬほど飲み食いしてひとりあたり8〜10,000円程度。前述の通り、地方での焼肉という意味では絶対価格は高いですが、その肉質は東京の有名店で食べるそれと同等であり、それらをこの価格で食べることができると考えればリーズナブル。
やまもと程は予約困難でもないため（我々は当日予約）、観光客にも優しい。石垣島で石垣牛の思い出をつくりましょう。
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それほど焼肉は好きなジャンルではないのですが、行く機会は多いです。有名店で、良かった順に並べてみました。
そうそう、肉と言えばこの本に焼肉担当として私のコメントが載っています。私はコンテンポラリーフレンチやイノベーティブあたりが得意分野のつもりだったのですが、まあ、自分の評価よりも他人の評価が全てです。お時間のある方はご覧になってみて下さい。
