「男におごられっぱなしの女は風俗嬢以下だ」刃物でも抜くように夫は言った。

親しくしている友人夫妻と3人で食事会。「男におごられっぱなしの女は風俗嬢以下だ」刃物でも抜くように夫は言った。

「まず誤解の無いように前置きなんだけど、俺は風俗嬢とかキャバ嬢とかを悪く言いたいわけじゃない。彼女たちは自分の性的な魅力と引き換えにお金を得ているプロフェッショナルだ。彼女たちが客におごってもらったり、小遣いをもらったりすることをとやかく言うつもりは全くない」ポリティカルコレクトネスにこだわる彼らしい前置きです。

「タチが悪いのは素人の女。高級店だの予約の取れない店だのをオッサン共にタカって、毎回毎回おごられっぱなし。そのくせ何もヤラせない。何なんだあいつらは!大して味もわかんねーくせに写真だけはしっかり撮って『今年3度目☆やっぱり和食は石かわさん☆』とかインスタに載せやがる。やっぱり、ってなんだよ!やっぱりって!」不倶戴天の敵を罵るように声を荒げる夫。

「あー、いるいるそういう女の子。痛いなーって思いながら、ついついインスタ見ちゃうんだよね。痛すぎて」と、妻。「あたしは絶対に自分で払うけどね。恋人でも何でもない男におごられるだなんて気持ち悪い。そもそも自分で払うことができない身の丈に合わないお店なんか行かないし」幸せとは欲しいものを手に入れることじゃなくて、今あるもので満足することなのよ、と彼女は小さく付け加えた。

「だいたい、そんな50代のギラついたオッサンとか、アラカン(アラウンド還暦。決して棺桶ではない)のジジイどもと食事に行ったって楽しくないし。そんなキモいオッサンと何時間も過ごすぐらいなら、マックで2〜3日バイトして2〜3万握りしめて、友達と良い店行ったほうが全然いい」

「まったく、すげえ根性してるよな。なに大人を手玉に取った気になってるんだよな。性根が腐ってる。お前らひとまわりもふたまわりも年下のガキに人間的な魅力を感じてるわけないだろ?ヤレるかどうかしか興味ないっつーの。いつか痛い目に遭わせて人生終わらせてやる」
彼の言動は極端ではありますが、正鵠を射ている部分もあります。確かに20代の女性が、客単価数万円のレストランの写真をホイホイSNSにアップできるのは違和感でしかない。彼女自身が大変な資産家であったり、鬼バリキャリで唸るほど金を稼いでいたり、芸能人やスポーツ選手など特殊なタレントを持った方であれば話が別ですが、若くて可愛い以外に取り得の無い女の子がそのような華々しい生活をしていたり、妙にオゴられ慣れたりしていると、やはり裏があると感じるのが普通でしょう。もちろん清廉潔白な女の子が殆どなのかもしれませんが、一部の心無い女たちがいるのも事実です。

彼のヤリ目100%のピュアな発言の是非はともかく、そのように考えている男性は一定層存在することは確かなので、自分の収入以上の店に出入りするのはリスクが大きい、ということを、若くて可愛い女の子たちはきちんと認識しておくべきでしょう。そのようなライフスタイルからは距離を置いたほうが色々と賢明。高級店に行った自慢は決して自慢になっておらず、自分の魅力を毀損しているだけなのです。

「それにさ、『女の子は化粧品とかネイルとかお洋服とか色々お金がかかるから、デート代は男が払って当然』って言い訳する子もいるけど、何かヘンだよね。それって男のためにやってることじゃなくて、自分のテンション上げるためにやってるだけなのに」さらにそのような女の子たちは、オッサンに対してメシを奢れだのモノを買えだの直接的なことは決して言わないことが多い。天性のおねだり上手というか、欲しいものを欲しいと言わないまま、結局は全てを手に入れるタイプなのである。

女性からの明確な要求の有無はさておき、仮に男性側がお金持ちであったとしても、毎回毎回理由もなくオゴらされ、大した感謝も受けないでいると、負の感情で心が満たされていくのは確かであり、いつかは心の堤防が決壊し、復讐という名の洪水が押し寄せる可能性は大いに有ります。復讐、と言うと語感が強いですが、思いもよらない危険な行動にハジけてしまうオッサンの話を、私は数多く聞いてきました。返報性の原理を欠いた人生はいつか必ずしっぺ返しが訪れる。

だいたい、若い女の子たちはなんでそんなに高い店に行きたいんですかね。きちんとしたお店に行ってすげえ年上のオッサンと2~3時間も過ごして疲れませんか?それだけ時間を過ごすと、同じ分だけ寿命が縮まっているということを覚悟できているのでしょうか。オッサンと過ごすその時間が、果たしてあなたの人生にどれだけの意味を持つことになるのか、きちんと考えるべきです。時間の使い方について無関心な若者が多すぎます。未来のある同世代の男とお金のかからないデートを楽しむほうが、よっぽど豊かな人生だと思うのだけれど。

どうしても高級店に行きたいのであれば、何とかお金を捻出して、3ヶ月に1度、恋人や友人と3万円の食事にワリカンで行く、これでいいじゃないですか。私にもう一度結婚する機会があるのであれば、私はこのように自立した大人の女の子と結ばれたい。貧乏はするものではなく味わうものである。月収20万だろうが500万だろうが自立していなければ大人ではない。

私の周りにはバチェラー・ジャパンのような男がゴロゴロとおり、それなりにキレイな女など選り取り見取りなのですが、「トロフィーワイフだなんてダサいじゃないですか。そんな女とツルんでると価値観を疑われる。ただの美人なんてありふれたもので、所詮は生まれつき備わったものか、金を出して買ったものでしかない」と、彼らは口を揃えます。

「○○さん(私の名)って、基本、デートはワリカンなんですよね。周りにいるの、ほんとすげえイイ女ばっかりですよね。俺もそういう自立した女と付き合いたい。もう、俺らの周りって、結婚に焦ったプチ金の亡者みたいなのしかいなくって嫌になっちゃいますよ。そこには依存心しか無い」さらに言うと、金に汚い女は嫉妬深い女でもあり、そのような性格がその他婚姻を継続し難い重大な事由になることも目に見えています。

「自分にとって大事なことだけにお金をかけて、ムダを嫌って、見栄を張らない。そんな女の子のほうがどれだけ魅力的かって、なんで気づいてくれないんですかね」なるほどタワマンに住んで高級車を乗り回す生活に憧れる人は明らかに減っており、どう生きるかが論点となっている。

「もうこんな不自由な社会はたくさんだ。自分を必要としてくれる人のために必要なだけ役にたって、時々うまいものを食えればそれでいい。マウンティングとか、嫉妬とか、そういう世界からは距離を置きたい」空は見上げるためにではなく、飛ぶためにある。空の高さは無限なのだから高さを目指すのは諦めて、自分の身の丈にある空を謳歌しましょう。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。