昨年は熱海沖の初島、一昨年は伊豆諸島の新島を訪れ、新感覚のデートを提案し続けるタケマシュラン。2018年は日本唯一の砂漠を求め、伊豆諸島の大島へ向かいます。
■竹芝客船ターミナル
http://www.tptc.co.jp/terminal/guide/takeshiba
浜松町駅から東(東京タワーと反対方面)に徒歩7~8分、伊豆・小笠原諸島への玄関口として、またレストラン船などの発着場としても利用されている港です。土日や大型連休では終日観光客でごった返していますが、平日朝であればこんなにもガラガラ。
我々のジェット船は「セブンアイランド愛」。東海汽船は4隻のジェット船を保有しており、残りの3隻は「セブンアイランド虹」「セブンアイランド友」「セブンアイランド大漁」と、やんごとないネーミングセンスに痺れます。
ちなみに「ジェット船」または「ジェットフォイル船」とは、水中翼船のボーイング929のことであり、ジェットエンジンで海水を吹き出し、空気のかわりに海水から揚力(浮き上がる力)を得て飛ぶ「海のジェット機」です。
1分間にプール半分量の海水をぶっ放し、ホバークラフトよろしく水面のなめらかに滑っていきます(画像は東海汽船の公式webサイトより)。時速約80kmというとんでもないスピードで大海原を突き進んでいるのにもかかわらず、ほとんど揺れを感じません。揺れたとしても新幹線程度。船酔いの心配を解消した画期的な乗り物です。
テイクオフ、すなわち一定速度を出した後に船体を離水する瞬間は、立ち上がりやお手洗いなどはNG。その他の時間帯はお手洗いや自動販売機を自由に利用できます。着席時は常にシートベルトを締めることを望まれるなど、感覚は飛行機に近しい。
■岡田港
http://www.soumu.metro.tokyo.jp/11osima/harbor/minato_12okatakou.html
2時間弱で大島の岡田港に到着。おかだ、ではなく、おかた、です。客船が発着する港は大島に元町港と岡田港のふたつがあり、どちらに入港するかはその日の海況によってアドリブで決められます。最近は9割がた岡田港だそうです。
■モービルレンタカー
http://www.mobil-rentacar.com/contents1.html
伊豆大島は1周50~60kmと、その名の通り大きな島です。日帰り旅行者である我々は効率的に巡る必要があるため、車を借りることにしました。ネット予約などシャレたものは無く、店に電話し、日時と名前、電話番号だけを告げるという居酒屋のような予約システム。料金は半日借りて4,000円弱、ガソリン代は1,000円弱でした。島内には公共のバスがあることにはあるのですが、本数が少なく料金も決して安くはないので、車を借りてしまうほうが賢明でしょう。
■フルーツファクトリー大屋
https://tabelog.com/tokyo/A1331/A133101/13204722/
岡田港にあるスムージー屋。パッションフルーツやアシタバなど、大島の名産品を用いたスムージーや、大島牛乳を用いたラテなどが用意されています。
スムージーは1杯4~500円と立派な東京価格。それでも量はたっぷりとあり、もちろん芯のある味わいであるため満足度は高い。閉店時間が早いので、「帰りの船を待っている間に飲もうっと」作戦は通じない場合があるのでお気をつけて。
■泉津の切通し
https://oshima-navi.com/senzu/index.html
苔むした岩肌に巨木の根が張り付いたジブリなスポット。鬱蒼と繁る木々の間から差し込む陽光が神秘的。
場所はちょっとわかりづらく、グーグルマップなどに記された道路から一本山側の狭い通り(旧道)にあります。我々はどうしても見つけられず近場の土木作業員に尋ねたところ「そんなものは無い」に始まり「いや、ある、あっちだあっち」「おれも最近、観光客に教えられたよ」と皆さん作業の手を止めワイワイと賑やかに教えて下さいました。これが島の醍醐味である。
■裏砂漠
https://oshima-navi.com/urasabaku/
国土地理院が発行する地図に日本で唯一「砂漠」と表記された場所。「え?鳥取にデカいのあるじゃん?」と考えるのが普通ですが、あれは「砂丘」。風によって運ばれた砂が堆積してできた丘状の地形を指す言葉であり、厳密には「砂漠」とは定義が異なるらしいです。
それにしてもこの異世界感。この世の終わりとも思える光景が東京都に存在するのです。まさに360度を黒い砂で囲まれ、絶え間なく暴風が吹き荒れる終末の光景。ハワイの山々に雰囲気は似ていますが、ここが東京都なんだ品川ナンバーなんだ、というギャップが堪らなく好奇心を刺激する。
陽射しを遮るものは当然に何も無く暑さを覚悟していたのですが、海から迫り来る風が真夏だというのにぞっとするほど冷たい。ここまで異次元や地獄感を感じさせるスポットは東京、いや日本を見渡しても中々ありません。「タケマシュラン東京訪れるべきスポット101」に堂々のランクイン。
アクセスについて。大島一周道路の東側に「月と砂漠ライン」という、引き返したくなるような細く狭い山道を車で駆け上がります。途中、「進入禁止」と路面に記されたゲートがありますが、鉄の意思を持って前へ進むと終点に駐車場があり、そこから徒歩10分。スコリアという細かい軽石のような火山岩を登るので、スニーカーなどの歩き易い靴で行きましょう。
ちなみに私が裏砂漠を知ったのは、最近発売されたこの本がキッカケ。他のガイドブックでは「裏砂漠はガイドなしで訪れるのは危険」のように保守的に記載されることが多いのですが、この本ではいの一番に紹介し「見逃し厳禁」とまで記載する、一歩踏み込んだ旅行本。写真がキレイで要所要所を押さえた解説もセンスが良い。オススメです。
私の写真や文章ではこの圧倒的なパワーは5分の1ほどしか伝えられません。今あなたが想像しているよりも段違いに畏怖すべき光景であり、これは実際に自分の足で立ってみないと理解できない世界です。伊豆大島を訪れた際には是非どうぞ。オススメです。■波浮港(はぶみなと)
https://oshima-navi.com/habu_port/index.html
伊豆大島の南端に位置する天然の良港。かつては風待ちの港として遠洋漁業の中継基地として栄え、漁船の乗組員や観光客の宴会で踊りを披露したのが「伊豆の踊り子」。そう、「伊豆の踊り子」の旅芸人たちは静岡県ではなく東京都出身のギャルなのです。
街にはかつての繁栄を物語るように、大正~明治期の木造家屋が建ち並びます。「伊豆の踊り子」たちがダンスを披露した旧港屋旅館や旧甚の丸邸、踊り子坂など、のんびり散策するにはうってつけのゆるふわスポット。
■港鮨
http://www.takemachelin.com/2018/07/minato.html
目と鼻の先の漁港に揚がった海産物を用いた鮨や磯料理が有名なお店。平日ランチで予約いっぱいという、東京都における隠れた人気鮨店です。獲れたばかりの伊勢海老を丸々1本用いた天丼が圧巻。詳細は別記事にて。
■バウムクーヘン
https://oshima-navi.com/geopark/stratum.html
島の南西、大島一周道路を建設する際に山を切り崩したところ、木目のような地層が偶然発見されました。
数百回に及ぶ三原山の噴火により、火山灰が積み重なって作り上げられたものであり、20,000年分の歴史を目で見ることができます。正式名称は「地層大切断面」らしいのですが、観光客は便宜上「バウムクーヘン」と呼んでいます。
■弘法浜
元町港から徒歩10分。島で最も人気のビーチであり、視界いっぱいに広がる真っ黒な砂が印象的。
無料の更衣室やシャワー、
休憩所なども完備されており、シートやパラソルなど不要なレベルです。
日本の夏の風物詩である海の家も元気に営業中。その他クレープスタンドや自動販売機など、東京湾岸のビーチに引けをとらない便利さです。
■元町浜の湯
https://oshima-navi.com/hotspring/index.html
弘法浜と元町港の中間地点にある温泉。三原山の噴火により湧き出した温泉を利用して造られた、水着着用の混浴露天風呂。1回300円と格安。
目前に太平洋を、背後に三原山を見渡す眺望はまさに絶景。夕陽を見ながら温泉につかるという天然の贅沢(写真は伊豆大島ナビより)。
ちなみに更衣室とシャワーも完備しているので、弘法浜で海水浴を楽しんだ後、水着のままで訪れ、ひとっ風呂浴びた後に平服に着替えることができるお便利機能つき。今回の旅行における隠れた名脇役でした。
■大島牛乳アイス
https://oshima-navi.com/gourmet/milk01.html
こちらは地元の牛乳を用た手作りアイスクリーム。伊豆大島島内のみの限定販売です。ミルクのコクはしっかりと感じられながらも甘すぎず、シャリっとした舌触りでさっぱりとしています。カンテサンスのメレンゲアイスにベクトルが同じ。お帰りの船を待つ際に是非どうぞ。ちなみに港の待合所の売店では310円でしたが、1歩外に出た商店では260円で売られています。これ豆な。
■16時55分、東京行き
7時に浜松町駅で待ち合わせ、7時35分の船で大島へ向かい、日中はたっぷり観光。16時55分の最終便で東京に戻る。こんなに充実したデートプランがあるか?我ながら見事な企画力である。「チョー!楽しかった!伊豆の他の島も全部行きたいな」私は静かに頷き、スマホを通じて手早く東海汽船の買い注文を(株主は乗船料が35%オフ!)。
帰りの船ではすっかり眠りこけていたのですが、羽田近くになると「おなかすいた」と、むくりと起き上がる前田亜美似の連れ。「餃子たべたい。あとビール」こういうところが彼女の良いところだ。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。