入店して唖然。どっちゃくそに騒がしい。牛角っぽいジャズがガンガンに鳴り響いており、それに負けじとランチオバサンが談笑する声は、賑やかを通り越して耳を圧するばかりである。
案内された座席も大戸屋のようなファミレス仕様であり違和感は拭えない。焼肉屋か何かの居抜きなのかなあ。
グラスのスパークリングで乾杯。ペタペタと甘くフラットの味わいで美味しくありません。
ちなみに当店はサービスにも一家言あるようで、「一流ホテルや、高級フレンチのコンシェルジュが、本当にサービスの心を知っているとお思いでしょうか?サービスとは、決して、流暢な言葉や、スマートな行動ではないとワンガーデンは考えます。心よりのサービス。それを理解しているからワンガーデンなのです」と、鼻息が荒い。
着席後、秒で提供される湯葉。これはまあ、湯葉ですね。餡が鋭角的にどぎつい調味でイマイチ。
茶碗蒸しはスーパーで売られているカップのそれ程度の味わいです。ウニが良くない。芳醇な海の風味に乏しく、それを補完するためか妙なスパイスが混ぜ込まれており、ヘンに辛い。「ナニコレ?ヘンな味」と、連れもご機嫌ナナメです。
夏野菜と鰻の味噌ピザ。これはジャンクな味わいで万人ウケするでしょう。野菜の味が中々に濃く、素直に美味しい。しかしながら鰻はどうしてこんなふうに使ってしまうのか意図がわかりかねる。
トウモロコシと豆乳のスープ。これは0点。ブランマンジェを固める前の液体のように メッタメタに甘く、食中に飲むものではありません。
お造りはアオリイカ、ヒラマサ、鯛の昆布〆。 アオリイカとヒラマサの味覚は上々なのですが、鯛の昆布〆がけしからん。なぜこんなもじゃもじゃコンブをまとわりつける必要があるのか理解に苦しむ。
「女性には大根でハートをあしらいました!」と自信満々のスタッフ。「聞いた?はぁとだって、m9(^Д^)プゲラ 」 サヨリのような女である。
熟成牛のたまねぎおろしソース。熟成感は微塵も感じられませんでしたが、肉そのものとしては結構イケます。ソースが人工的でハッキリとした味覚であり、解かり易く旨い。
鯛めし。見た目こそアレですが、恐ろしく生臭い。和食店において魚が生臭いというのは 重大かつ看過しえない問題。料理人とか、ホールスタッフとか、何も違和感を抱かないのかなあ。
生臭さはさておき、食べてしまえば味はそこそこイケます。量もたっぷりでありおなかいっぱい。
半分ほど食べ進めた後、出汁を注いでお茶漬け風に。美味しいのですが、どうもこの出汁が画一的な風味であり、残滓が舌に残るような印象を受けました。
デザートは左からクッキー&クリームアイスのぜんざい、モモのゼリー、抹茶ティラミス。いずれもシャトレーゼ級の味わいであり、酷く不味い。コンビニスイーツのほうがまだマシです。
あのスイーツありてこのコーヒーあり。こちらもファミレスの飲み放題コーヒーと同列の味覚です。何よりミルクがコーヒーフレッシュであるのが、料理店としての矜持を感じません。ちなみにコーヒーフレッシュとは、植物性油脂と水に乳化剤を加えクリーム状にした後、着色料及び香料で色合いや香りを調整したものです。
冒頭に記したとおり、あれだけ威勢の良い言葉を発していながら、てんでダメな料理でした。従業員はどう見てもプロフェッショナルというよりもアルバイトであり、皿出しのテンポも悪く、全体として不調法なサービスです。これでひとりあたり8,500円というのは軽く地獄。久しぶりに大きく外したランチでした。
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和食は料理ジャンルとして突出して高いです。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの和食ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い和食なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
- かどわき/麻布十番 ←人生で一番の和食かも
- くろぎ/湯島 ←吉野川の天然鰻に悶絶。ただちょっと割高。
- 温味/すすきの ←旨い!多い!安い!完全無欠の三ツ星和食店。
- 龍吟/六本木 ←モダンスパニッシュとさえ感じる前衛的な和食。外人にオススメ。
- 草喰 なかひがし/出町柳(京都) ←店名の通り草を食べる変わった和食。
- 田がわ/御幸町(京都) ←幸村卒業。近い将来、星獲得間違いなしのリーズナブルな和食。
- 又吉/祇園(京都) ←雰囲気のある街並みに溶け込む費用対効果抜群のお店。
- たきや/麻布十番 ←龍吟を天ぷらにするとこうなるのではないか。
- えさき/青山 ←創作気味。ミシュラン三ツ星和食にしては圧倒的な安さ。
- 季節料理なかしま/白島(広島) ←同じくミシュラン三ツ星和食にしては圧倒的な安さ。
- 日本料理 幸庵 ←こちらも費用対効果が素晴らしい。ミシュラン三ツ星って実はお買い得?