港鮨/大島(伊豆諸島)

伊豆大島の南端、波浮港(はぶみなと)。店から目と鼻の先の漁港に揚がった海産物を用いた鮨や磯料理が有名なお店です。元々は店主の父親が「西川寿司」という店名で営業していましたが、移転・改装を機に「港鮨」としたそうな。
裏砂漠を探検後、たまらなく空腹感を覚えたため、手近な地元料理のお店を検索して電話したのですが、なんと平日12:30時点で満席3組待ち。行けばいつでも入れるだろうと考えていた我々が甘かったです。空き次第ケータイに連絡を入れてくれるシステムなので、待ち時間は波浮散策を楽しむよろし。
私はお茶、連れはビール。 小さなジョッキがキュートです。
お酒を注文するとお通し(南蛮漬け?)もついてきました。
本題に入りましょう。まずは当店スペシャリテの「地魚のにぎり」。大島で獲れた旬の魚を使ったにぎりです。左上から時計回りにカンパチ、イサキ、キンメダイ、アジ、ナワキリ(カマスの一種)、タイ、トビウオ、マグロ、中心は赤イカです。

連れとふたりでシェアし、じゃんけんで勝った方から交代ばんこに食べていく方式を採用。当然に私の勝利から始まり、そう大きな波乱はなく堅実な試合運びを見せました。このプレートにお椀がついて1,700円というのはかなりの費用対効果です。
お椀は潮汁かなあ。鰹や昆布の風味はなく恐らく調味料は塩のみ。魚の風味のみがダイレクトに伝わって来、シンプルながら抜群に旨い。
べっこうずし。伊豆諸島の家庭料理として長く愛されてきたもので、白身魚を青唐辛子と醤油で魚を漬け込み、刺身が艶やかなべっこう色に染まることからその名が付けられたのだとか。温暖な島で生魚を美味しく保つための知恵から生まれた島スペシャリテです。

この日の魚はメジナとのことですが、これが、旨い。醤油に漬け込むことにより魚にネットリとした食感が生まれ、かつ、青唐辛子特有の清涼感をもたらす辛い。決して観光地の企画モノというわけではなく、素直に美味しい鮨でした。
数量限定の伊勢海老天丼。外洋に面した伊豆大島は溶岩の地形がつくる岩礁が多く、伊勢エビの生息に最適な場所。波浮港で水揚げされる伊勢海老は関東一円に出荷されているのです。
この天丼は伊勢海老を丸ごと1匹を用いた贅沢の極み。揚げの技術やゴハンの炊き加減こそ中くらいですが、やはり赤子の腕ほどの海老をムシャムシャと頬張る多幸感といったらない。
頭は海老汁で。伊勢海老の味噌や出汁がスープに溶け出し、まさに和風ブイヤベースといった趣きであり、本日一番のお皿です。
これだけ食べて2人で6,000円。都心では考えられない価格設定です。我々が滞在した小一時間で飛び込みの客がひっきりなしに訪れ、予約でいっぱいと知り肩を落として帰って行く。平日ランチでこの有様なのだから、週末は一体どうなってしまうのやら。必ず予約をしてから訪れましょう。東京の島に隠れた人気店アリ。おすすめです。


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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。

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