吾作(ごさく)/下高井戸

小柳津林太郎似のパイセンが常連の当店。彼のSNSで頻出しているお店であり、それを見かけるたびに行きたい行きたいと渇望し、ようやくお連れいただけることになりました。
下高井戸、吾作。吉田類の酒場放浪記でも取り上げられた創業30数年の老舗(画像は酒場放浪記公式ウェブサイトより)。店主は生まれも育ちも下高井戸。天井や壁一面に飾られた魚拓から大の釣りキチであることがうかがえ、定休日ごとに海に繰り出し、その釣果を極めてリーズナブルな価格で楽しめる名店です。
「16:30から予約入れといたから」との連絡があり、そんな時間に予約なんていらんやろとニヤニヤしていたのですが、私の考えが甘かった。開店と同時に店内は全て満席に(写真の空席は全て予約席)。客の年齢層はかなり高く、溢れ出る法事感。
「うおーっ、ハゲたなあ!」開口一番、林太郎がもうひとりのパイセンをハゲいじり。「20代の頃はあれだけ生意気だったのに、課長、子持ち、ハゲ、デブだなんて、まさにオッサンのテンプレートじゃねえかwww」のっけから林太郎の舌鋒は鋭く、安全地帯から眺めるハゲいじりは実にメシウマである。
挨拶代わりに供される刺身の盛りあわせ。カツオ、ヒラマサ、タイ、アジ、ボタンエビ、ヒラメ。都心のスーパーで買えば4,000円はしそうな豪勢な魚たちが当店では2千円代です。折り紙つきの新鮮さであり、見た目通り抜群に旨い。2018年わが心の刺身盛りダントツの1位です。
オーダーは常連の林太郎に全てお任せ。レバニラも山盛りのポーションながら500円程度です。極太モヤシのシャクシャクとした食感が食欲をそそる。
メンコロすなわちメンチカツとコロッケの盛り合わせ。ビっと高温で揚げられザクっとした食感がグッド。ノスタルジアを感じさせる味わいです。
肝ソースが絶品のイカの丸焼きは残念ながら入荷なし。変わりにイカのバター焼き。ゴロゴロと豪快にカットされたイカが、バターと醤油というズルすぎる組み合わせ。非常に香り高い一皿であり、我々の注文に誘われてか、他の客全員がこれを注文していました。
「おい、ハゲっちょ!美容院代がもったいねーから、もう、ボウズでいいじゃねえか!」ハゲは運命だがボウズは決断。「でも、これからは抜け続けるだけなので、毎日が常に最高の状態にあるということですね!」と、私からハゲましの言葉を贈るとぶたれました。
塩サバ。店主は男性ですがまさにおふくろの味であり、大量の大根おろしと共に酒を嗜む。
ドンペリならぬ「どんべり」。知る人ぞ知る青森のにごり酒。甘く濃醇な口当たりであるものの、余韻は意外にもキレイです。数量が限られているため、おひとりさま1杯限りの限定販売。
鶏ナンコツ。こちらも一口一口が大きめの消しゴムほどのサイズがあり食べ応え抜群。シンプルに塩味のみで、ゴリゴリと歯ごたえを楽しむ逸品。
塩辛とじゃがバターを同時注文し、卓上で新たな料理を創り上げる。じゃがいもの甘さ、バターのコク、塩辛の旨味が三位一体となって必然的な美味しさがそこにあります。
もう満腹もう食えねえと言いつつも気になるメニューは全て注文する主義。優しい味わいの肉豆腐。おしとやかな味付けがたっぷりの豆腐に染み渡り、罪悪感の無い味覚でした。
〆は塩やきそば。たっぷりのネギが爽快感を煽り、胃の空きスペースを全て埋め尽くす。

開店から5時間ひたすらに飲み食いして、お会計はひとりあたり5,000円でした。無茶苦茶かよ。この費用対効果の良さは都内でもトップクラスでしょう。ウォークイン(予約ナシ)で訪れ、肩を落としながら帰っていく常連たちを数十人目撃したため、遠くから訪れる際は必ず予約してから行きましょう。何度でも行きたい。超オススメ!


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