青山の裏路地に佇む秘密基地。アペロやラスの近くなのですが、1本脇道に逸れているので知っている人しか訪れることはないでしょう。この日は完全貸切だったので、子連れベビーカーもOK。
最初の一口は赤肉メロンに生ハム。メロンの凝縮感が物凄い。濃厚なメロンの甘味と生ハムの塩味が切磋琢MAXしてグッドです。
「プロポーズしました」との突然の告白に場が盛り上がる。式はいつやるのか、指輪はどうするのかと幸せなテーマでわちゃわちゃします。話題は婚約指輪の予算など具体的な方向にむかうのですが、「結局のところ、オレにとってはゼロ円だよね。親が払うから」
夏の味覚をそのまま盛りつけたような一皿。新札のように折り目正しく美しい。ズッキーニにミモザを載せアンチョビでアクセント。やはり美味というものは正確なものである。しっかりと燻製されたカツオや子持ちのシャコ、ウニなど多士済々であり、本日一番のお皿でした。
妙に旨い、と思ってエチケットを見ると、やはりミレジムでした。グレープフルーツやハチミツなどの濃密な香りに酸もミネラルもたっぷり。
ローストしたブロッコリーをスープに。これはビリっとホネホネが投影されるほど衝撃的な美味しさでした。ニンニクが結構効いているのか見た目よりもパンチのある味わい。ピスタチオオイルの風味も心地よい。
こちらはクリーミーな泡。やはり香りが豊かで熟成された果実が強く、トーストのようは柔らかい香りも滲み出ています。
パンが結構美味しい。複数種頂きましたがいずれも外すことがありません。
30年も熟成された傑作。エチケットの「果実酒」に歴史を感じます。全体的な空気がシンプルでない。泡こそは繊細な方向にむかっていますが、これはもう、ワインそのものとして完成された美味しさ。ドロっとした官能的な味覚に今日も私は幸せであった。
オマールはシンプルな調理で。美味しいのですがポーションがほんの数口であるため、もっと食べたいとフラストレーションが溜まってしまいました。料理1万円程度の予算で贅沢を言ってはイケマセンが。
一転してオーストラリアのスパークリングワイン。これはとても清澄な1杯ですね。とにかくクリアで食事の邪魔をしない味わいです。先のオマールにぴったりである。
魚はヒラマサ。乳の香りがプンプンただようクラシックなソースであり、私の好きなベクトルです。トマトのちょっとした酸味もアクセントとなりちょうど良い。
こちらはちょっとブショネ気味。少し時間を置くと(酔っ払うと?)割りあい飲めた気がするのですが、ポテンシャルは感じつつも残念なイケメンといったところでしょう。
メインは仔牛。クリアな肉質で豚肉や鶏肉を食べているかのような錯覚。そこにトリュフやジロールなどインパクトの強いキノコたちを合わせ、味覚に奥行きを持たせています。こちらのソースもクラシック志向であり、フランス料理のお手本といったところでしょう。
1ヶ月以上ぶりにブルゴーニュを飲んだ気がしましたが、やはり上質なピノは堪らなく旨いです。思った以上にタンニンがしっかりとしており男性的な味わいに感じました。
89と中々の古酒。歴史を感じさせる深みがあります。先のピノとどっちが好きかのアンケートを取るとキレイさっぱり2つに分かれました。やはり人の味覚には多様性が満ちている。私が「美味しくない」「好きじゃない」と言うとブチギレる料理人がたまにいますが、自分のスタンダードから外れる思考を残しておいたほうが楽しい人生になると思うのだけれど。
〆はディッサン。今年ワインエキスパートを受験するギャルは「3級」と即答できましたパチパチパチ。試験はもうすぐ。「最近、やっとイタリア20州を覚えることができました!」そんな装備で大丈夫か?
デザートはマスカルポーネのクレープ。シャインマスカットやパイナップルが彩りを添え唸るほどの美味。原宿あたりで売られているクレープとは全く別の食べ物と考えて良いでしょう。
デザートワインをあわせて心に安息をもたらします。デザートワインがある食事って、ものすごく豊かな気持ちになる。今夜もごちそうさまでした。
お茶菓子が印象的。左がタクアンでも食べるかのようサクサクポリポリコリコリと楽しい食感です。ボンボンもグっと来るカカオであり、最後の最後まで手抜きナシ。
現代的なセンスとクラシックな調理が交代ばんこで登場し、緩急のあるコース仕立てで良かったです。1万円ほどの予算でこのレベルなのだから、より高みをリクエストしたらどんなことになるのだろうと楽しみ。ワインリストを拝見させて頂きましたが、1万円を切るシャンパーニュが山ほどあったりとリーズナブルな値付け。今回は持ち込みでファイヤーしましたが、普通に訪れて飲み食いしても恐らく良い印象を持ったことでしょう。
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション ←最高の夜をありがとう
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン
- ナリサワ ←何度訪れても完璧
- ナベノイズム ←世界観がきちんとある
- SUGALABO ←料理だけなら一番好きかも
- エクアトゥール ←天才によって創られる唯一無二の料理
- ete(エテ) ←美食の行き着く先はお抱えの料理人
- レヴォ ←人里離れた場所にありながら、日本いや世界でもトップレベルのフランス料理店
- フロリレージュ ←間違いなく世界を狙える
- キャーヴ・ドゥ・ギャマン・エ・ハナレ ←世界を狙える日仏料理
- ティエリー マルクス ←料理の良さはもちろんのこと、ワインのペアリングが見事