見た限り客の全ては地元民であり、みなカジュアルな装いでおしゃべりに興じている雰囲気。席は8割方埋まっており、中々の人気店のようです。
グラスのシャンパーニュが8ユーロと、日本に比べると大変お得。やっぱり日本で飲むシャンパーニュってどう考えても高すぎると思います。
コースメニューもありましたが、せっかくなのでアルザスの郷土料理を「前菜+メイン」のアラカルト形式でお願いすることに。すると店員から、「え?そんなに注文するの?マジで多いけど大丈夫?」と真剣に止められました。どういうこと?「前菜+メイン」1皿づつって普通じゃない?
前菜にタルト・フランベ。アルザス地方の名物料理のひとつです。非常に薄いパン生地をフロマージュ・ブランなどのチーズもしくはクレームフレーシュ(サワークリームの一種)で覆い、薄くスライスした玉ねぎとベーコンをのせて焼いた、薄焼きピザに似た料理。これがシンプルながらすごく美味しい。マッシュルームの風味が濃く、ホワイトソース(?)の優しい味わいが後を引く美味しさ。
Kuhn風サラダ。ちょっと待て、これのどこがサラダだ。山盛りのザワークラウトの上に、オバケのように覆いかぶさるソーセージ。不味くはありませんが、これはちょっとやりすぎです。後の料理でザワークラウトが出るのだから、何かアドバイスしてくれてもいいものなのに。
先のサラダからヤバ系の兆しを感じたので、パンには手を付けず。
せっかくなので地元のリースリングをカラフェで。500ミリリットルで10ユーロちょい。酸味がメタメタに強くギョっとしましたが、この値段であれば文句は言えまい。
豚肩ロースが到着。うごご、なるほど冒頭に店員が「多すぎる」と言った理由がわかりました。筋肉質な成人男子の二の腕ほどの太さがあり、骨を除いたとしても300グラム近い可食部です。ザワークラウトもゲンコツ大ほどの大きさであり、卒倒しそうになる。
もうひとつのメインは「ザワークラウト+5つの肉」という雑な料理名だったのですが、なるほど二郎系のシュークルートでした。こちらも可食部換算で300グラム近く。先の豚肩ロースもそうですが、肉もキャベツも味が単調で数口食べると飽きてくる仕組みであり、決して不味いわけではありませんが、大蛇のような食欲をもってしてもウンザリする。
それにしてもどのような注文の仕方が正しかったのか。「前菜+メイン+デザート抜き」という注文方式で食べきれないというのであれば、メインだけを注文すべきだったのか。よくよく見ると、周りの地元民も皆、メインの半分近くを残しまくっています。うーん、さすがにもったいない。お店側はもう少し地球に優しくなるべきだと思うのだけれど。
「ミシュラン3ツ星を50年以上維持する3軒のレストランを巡る旅」目次
- vol.1~ストラスブール~
- vol.2~フランスの国技はストライキ~
- vol.3~コルマール~
- vol.4~ロアンヌ~
- vol.5~リヨン~
- Parc Disneyland(ディズニーランド・パーク)
- Parc Walt Disney Studios(ウォルト・ディズニー・スタジオ・パーク)
- 日本の男は皆ロリコン。フランスと日本のレストランを比較して抱いた違和感について。
「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。
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