週末にお邪魔したためか、お隣の個室では町内会の集まり的な宴会が昼間から繰り広げられています。我々は2名での予約。それでもきちんと個室に通され、さらには椅子まで用意されており居心地が良かった。
注文は予約時にお願いしていた『ミニ会席』。作り置きできるものについては部屋に入った時点でテーブルに並べられていました。大規模温泉旅館での夕食のようで拍子抜けですが、工数の限られたランチタイムであれば切羽詰まった事情もあるのでしょう。
刺身はマグロ・ホタテ・ヒラメ。昨日の みなと食堂で食べたものに比べると段違いにレベルが高いです。もちろん支払額も異なるので一概には言えませんが、それでも当店のほうが食べログの点数が低いだなんて悪い冗談としか思えません。
ナスの煮浸し的な料理の内側にミンチ肉が詰め込まれ、仕上げに餡をかけたもの(給仕の方からの料理説明は一切無いため料理名は不明)。これが解かり易い味わいで実に旨い。はっきりとした味付けであり、これをツマミに日本酒なんて最高でしょう。車でしかアクセスできない立地がつらたん。
茶碗蒸し。唯一無二の傑作というわけではありませんが、エビがゴロゴロと転がっているような私好みの茶碗蒸し。
焼き物や揚げ物などが一堂に会したカゴ。ちょっと冷え冷えとした温度になっていたのが残念。できたてであれば、あと3割は美味しく頂けたことでしょう。その点、冷えた料理であることが前提である南蛮漬けは見事な味わい。
こちらは着席後に火をつけられた小鍋。シイタケの旨味がしみじみと溢れ、揚げだし豆腐(?)の皮目が吸った出汁もすごくいい。
山菜とタケノコしんじょうの天ぷら。こちらは入店後に調理を開始した揚げたてであり、ミニ会席の盛り上がりがぐっと高まる瞬間です。
食事はタケノコの炊き込みごはん。なのですが、ウニが気前良くゴロゴロと混ぜ合わされていることに気づき、三葉虫の化石でも見つけたかのような喜び方をしてしまう。こちらについても少し冷めてしまっていたのが口惜しい。
お漬物が少し変わっていて、最後に塩麹に漬けられているのかなあ。独特の甘味とコクが感じられ、中々お目にかかることのない名脇役に接した瞬間です。
デザートにリンゴのゼリーを頂きごちそうさまでした。
お会計は3,000円と、量ならびに質を考えれば破格の価格設定。5,000円であっても喜んで支払うほどのクオリティ。意識を失うほどの美味というわけではありませんが、この費用対効果は目を瞠るものがある。八戸を訪れた際には是非どうぞ。
関連記事
和食は料理ジャンルとして突出して高いです。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの和食ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い和食なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
- かどわき/麻布十番 ←人生で一番の和食かも
- くろぎ/湯島 ←吉野川の天然鰻に悶絶。ただちょっと割高。
- 温味/すすきの ←旨い!多い!安い!完全無欠の三ツ星和食店。
- 龍吟/六本木 ←モダンスパニッシュとさえ感じる前衛的な和食。外人にオススメ。
- 草喰 なかひがし/出町柳(京都) ←店名の通り草を食べる変わった和食。
- 田がわ/御幸町(京都) ←幸村卒業。近い将来、星獲得間違いなしのリーズナブルな和食。
- 又吉/祇園(京都) ←雰囲気のある街並みに溶け込む費用対効果抜群のお店。
- たきや/麻布十番 ←龍吟を天ぷらにするとこうなるのではないか。
- えさき/青山 ←創作気味。ミシュラン三ツ星和食にしては圧倒的な安さ。
- 季節料理なかしま/白島(広島) ←同じくミシュラン三ツ星和食にしては圧倒的な安さ。
- 日本料理 幸庵 ←こちらも費用対効果が素晴らしい。ミシュラン三ツ星って実はお買い得?