ソロピッツァ ナポレターナ/名駅(名古屋)

「ハンバーガーショップ・ラーメン店・牛丼店のようにお気軽にご利用下さい!」がコンセプトのナポリピッツァ屋。これはすごく正しいですね。ナポリでピッツァと言えばファストフードであり、決して気取った料理ではスピードが命。東京の何千円もするピッツァ業界に名古屋の地から一石を投じます。
しかしながら当店は早くて安いだけでなく、しっかりと美味しい。そもそもピザ窯がきちんとした薪窯。ナポリの名工が作成し、ナポリより遠路はるばる船でやってきた本格派です。
ピッツァイオーロたちには独自の認定制度を採用しており、皆がナポリ市のナポリピッツァ職人協会が発行する認定職人の免許を持っています。

また、小麦粉はナポリのほとんどの職人が好んで使うCAPUTO社の高級粉。チーズはナポリより週3回空輸直送する新鮮なモッツァレラ。さて、ここまで企業努力を重ねに重ね、気になるピッツァの価格は350円~。最高か。
マルゲリータは550円と、常軌を逸した価格設定です(チーズ少な目なら350円!!)。せっかくなので、私は最高級の水牛モッツァレッラを使用したマルゲリータを注文。それでも850円です。都内の気取ったピッツェリアであれば2,000円は超えることでしょう。

味は、変な表現ではありますが、普通に美味しいです。そもそもピッツァという食べ物は、ある一定レベルを超えると私にとってどれも似たりよったりの味わい。当店のそれは、その「似たりよったりゾーン」に充分に加入しています。

ちなみに水牛のモッツァレラとは恐らく「モッツァレラ・ディ・ブッファラ・カンパーニャ」なのですが、この「モッツァレラ・ディ・ブッファラ・カンパーニャ」はやみつきになる発音であり、この言葉を発するとすごくチーズが詳しい人に聞こえるチーズ名なのでオススメです(何が)。
調子に乗ってもう1枚。「ピッツァ・パシュクアーレ」という名のピッツァです。具材はフリアリエッリ、ソーセージ、プローヴォラ。価格は1,250円と、ようやく一般的なナポリピッツァの価格になってきました。

フリアリエッリとはイタリアの菜の花のような野菜で、ほろ苦く野沢菜のような風味が感じられます。ナポリ料理おなじみの食材でありナポリの風を感じられグッド。プローヴォラとはパスタフィラータタイプのチーズであり、モッツァレッラと同様にびよーんと伸びるチーズです。
ちなみにドルチェやサイドメニューはショーケースを直接確認し、注文することができます。ドリンクはピッツァ1枚につき50円引き。キンボという、これまたエスプレッソの聖地ナポリを代表するコーヒーメーカーの豆のエスプレッソがなんと200円。イタリアらしく立ち飲みであれば100円という奇跡に次ぐ奇跡。

大満足です。安い・早い・旨いという、ピッツァの美徳を凝縮したようなコンセプトのお店であり、費用対効果であれば日本トップは確実。ここまで安価なのに真っ当な味わいというのは敬服に値します。オススメ!
さて、帰りの新幹線は運悪く運転見合わせにぶち当たってしまいました。米原駅の信号が壊れてしまった模様。翌朝は東京にて大切な予定があったので、ちょっと焦ってしまいます。
「どうしてくれんどぅわあああ!ぐるぁああ!オレは翌朝用事ががるんだよぉおお!タクシー代とかホテル代とか出せ!絶対出せ!」と、近くの温厚そうなリーマンが激おこぷんぷん丸で駅員に詰め寄ります。その怒りっぷりは度を越していて滑稽ですらある。

不謹慎ですが、このような輩がひとりいるだけで、とても心が和みます。それまで乗客たちは私を含めて皆イライライライラしてたのですが、彼の登場をキッカケに「あのオッサン痛いなあ」「ああはならないでおこう」「駅員さんも仕事とは言え気の毒に」という空気感にガラりと変わりました。皆ニヤニヤと事の成り行きを見守り、不思議とフラストレーションが冷めていく。もしもこのやりとりがJR東海によるサクラだったとすると、極めて高度なクレーム処理と言えるでしょう。

それにしてもこのオッサンはタクシー代出せだのホテル代出せだの心が狭い。君は社会人のくせに「運送約款」すら知らないのか。逆にあんたは普段の生活において1分1秒でも遅刻したら、お店などに対してその分の逸失利益を支払っているのかと問いたい。JR東海も「約款に従って処理します。文句があるなら裁判でも何でもどうぞ。もう二度と当社をご利用いただかなくて結構です。我々もあなたをブラックリストに載せて新幹線に乗れないカラダにしてやります(キリ」ぐらい、毅然と言ってやればいいのに。

振り返ると売店で酒とツマミを買い込み、ホームに車座になって飲み会を始めるオジサンたちが。いいねえ、これが勝ち組だ。『トラブルは、映画のように片付ける』と宣言し、大停電の夜に新幹線の車内販売でお酒やツマミをどっさり購入し、乗り合わせた乗客と宴会を開催したのは西野亮廣であったか。

ちなみに私は座り込んでパソコンを開き、今まさにこの記事を書いています。ブロガーという人種は人生において生じるインシデントを全て笑えるネタに転換することができるので、精神衛生上まことに良いライフスタイルです。

23:04に運転再開のアナウンス。ただし信号機が修復したわけではなく、普段使用していない線路1本を上下線で共用し、人力で転轍機を動かしながら滞留車両を捌いて行くという曲芸に挑戦するとのこと。これがBCPだ。ちょっとしたドキュメンタリー映像にもできそうでワクワクします。

乗客たちのスタンディング・オベーションに迎えられながら数時間ぶりにホームに滑り込んで来る新幹線N700系電車。私が予約していた新幹線はこれよりも全然後のものだったのですが、諦めてホテルに泊まる組が多かったためか、座席は結構空いていました。適当に空いている席に座り、一夜限りの『ムーンライトのぞみ』で一路東京へ。

品川駅到着は3時間20分遅れの午前1時40分。最終の新幹線は5時間以上遅れ、東京駅に着いたのが翌朝5時過ぎとのこと。足が無くて帰れない人のために、始発まではいくつかの新幹線車両を開放し、「新幹線ホテル」として自由に寝泊りして良いとのこと。私は品川駅から港区のシェアサイクルで颯爽と自宅へ向かう。トラブルとは立ち向かうものではなく、味わうものである。


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