シクラメンテ(Siculamente)/上前津(名古屋)

cucina siciliana SicuLamente。食べログ3.92で銅メダルを受賞と(2018年4月)、名古屋でもトップクラスの人気を誇るシチリア料理店。
伊藤吉暢シェフは名古屋のレストランを経たのちに延べ3年をイタリアで修行。最後の1年半はシチリア島で過ごし、その経験が当店のベースになっている模様。
食事メニューやワインリストは無く、好みを伝えながら組み立てていくという芸風です。イタリア産のビールが多数取り揃えられており、ビール党も納得のラインナップ。せっかくなのでシチリアのビールで乾杯。
ツマミのグリッシーニには竹炭が練りこまれており真っ黒。ポンヌフのように頑丈な個体でありバリバリと結構な食べ応えです。
2種のサラミ。いずれもベーシックな味わいであり、塩気と旨味につられて酒が進みます。イチゴのアクセントが結構良い。
鳥取産の銀ザケ。透き通るような風味であり、独特のクセが一切無いのが興味深い。生のサーモンが苦手な方でも問題のない味覚でしょう。他方、あのセクシーで濃厚な香りが堪らない方にとっては物足りなく感じるかもしれません。
パンはタマネギ風味と黒ゴマ風味の2種。それ単体で説得力のある味わいではありませんが、これぐらいプレーンなほうが料理と併せて食べるにちょうど良い。
シラスと菜の花のパスタ。これは解かり易い味覚で美味しいですねえ。シラスの量がケチケチせずドバッと盛り付けられており、海の風味が実に豊か。本日一番のお皿です。
小鹿のリゾット。これはちょっとイマイチ。肉とコメのバランスが取れておらず、インパクトに欠けたコメをひたすら食べるという印象。小鹿はミンチにされ思い切り火が通っているので、ブラインドで食べれば鹿と気づけないのではあるまいか。
メインは鹿児島黒豚肩ロース。100~150グラム近くあり迫力満点。とてもキレイな味わいであり、脂身を食べても全くクドくありません。ある意味では扇情的な味覚とは言い難く、清廉潔白な肉料理でした。

「デザートかチーズをお選び頂けますが」とのことで、デザートは何か?と問うと、「それはお任せでやらせて頂いております」との回答。なにそれ超選び辛いじゃん。
おそるおそるデザートを選択すると、シチリアの伝統菓子カンノーロが出てきました。揚げた皮の中に甘みをつけたリコッタ・チーズを詰め込み、ピスタチオのアイスクリームを添えるという、平たく言うと私の大好物です。内部のリコッタチーズは岡山のチーズ農家で造られたこだわりの逸品。注文を受けてから皮にクリームを詰めるカンノーロ・エスプレッソ方式であり、クリームの柔らかさと皮のパリパリ感の対比を最大限に楽しむことができます。

ところで同じタイミングで入店したお隣のテーブルは、同じお任せコースを注文しているのに全く異なるデザート(パンナコッタ)が出されていました。ちょっとこれはどうでしょう。たしかにお任せコースではありますが、目に見える範囲の客にまるで違う料理を出すのはひっかかる。私はカンノーロで嬉しかったですが、逆の立場だと暴れていたかもしれません。
カフェの豆まで選択できるというこだわりよう。せっかくなので、シチリアのモレッティーニというものをエスプレッソで頂きました。酸味とコクのバランスが良く実に良く出来たエスプレッソである。
お茶菓子のフィナンシェとミルクチョコレートをつまんでごちそうさまでした。

コース料理は5,000円ポッキリと、この質と量を考えれば抜群の費用対効果。やはり名古屋は西洋料理がお買い得。一方で、背筋が伸びるほど記憶に残った料理はなく、全体として無難に美味しいという印象。次回は8,000円コースを選択し、シェフのフルパワーを味わってみたいと思います。


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