ちなみに後から気づいたのですが、一休のセール33%OFFとは、(コース・料理)4,276円 + (ドリンク)1,782円 = (合計)6,058円の元値から割り引かれて4,000円なだけ。一見すごい割引率ですが、フタを開けてみれば凡庸で少量なスパークリングワインが1杯無料になるだけです。マーケティングの魔術師である。
アミューズはタマネギ特集。マカロンに、エキスに、ピクルス。エキスが絶品。絞るとエグ味や渋味が生じてしまうため、ローストの際のポタポタ落ちてくるエキスをかき集めるのだそう。これはタマネギよりもタマネギ味であり、好きぬける甘味はスペクタクルさながら。先頭打者ホームランです。
前菜は帆立貝にカリフラワー。ホタテ由来の海の優しさがカリフラワーの滋味とシンクロ。中央の黄色のソースはエピスといって、様々な香辛料をミックスしたもの。ピリっとした芳香が食欲を刺激します。
パンは普通です。印象なし。
こちらはブロッコリーを用いた一皿。旨味の強いムースであり、ブロッコリーの青い味と溶け合って実に美味。
メインは10種類近くから選択できたのですが、その殆どが別途料金を要求するという客にとっては過酷なシステム。もちろん最終決定をするのはお客ではありますが、品の良い仕組みとは言えません。
私はアワビを選択。アワビのクニクニした食感の素晴らしさはもちろんのこと、肝のソースで仕立てたリゾットが突き抜ける旨さ。
「実は裏メニューがあるんですよ。もう、めっちゃくちゃ旨い」とスタッフが耳打ち。正直、またか、という印象です。しかしそう言われれば注文せざるをえないので鷹揚に頷く。
「裏メニュー」とはウニとサザエの冷製パスタですが。どこが裏やねん。たっぷりのウニとサザエがこの皿の美味しさを雄弁に語っており、れはどう考えても表であり主力選手です。ちなみに追加料金は驚きの1,800円。税抜3,600円のコース料理なのに、オマケの裏メニューの一口パスタに1,800円の追加料金を請求するのは感心しませんね。このような手口を基に食わされると美味しさも半減である。
デザートは多種多様に取り揃えられており、様々な味覚が楽しめて嬉しいですね。しかもそのひとつひとつのレベルがかなり高く、非常に満足できました。
お会計はふたりで22,000円でした。一休経由で予約を入れた時点では8,000円だったのですが、実に3倍の請求金額です。もちろん6,800円のワイン1本と、追加料金のメニューを指定したのは我々なのですが、どうにも腑に落ちず、客がなんとなくご機嫌ななめになってしまうメソッドです。こんなことから最初からひとり11,000円のお店に行くってば。料理は美味しいだけに色々と勿体無く、残念なお店でした。
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関西も食のレベルは高い。しかも東京に比べて1~2割物価が安く、予約も取りやすいので良いこと尽くめです。印象的だった有名店をまとめました。
- アニエルドール/阿波座 ←近年流行の奇抜なだけの料理とは一線を画す
- lumiere l'esprit k(リュミエールレスプリカ)/難波 ←何を食べているかはっきりと理解できるものが多く、素材が前面に出た実直な調理
- ハジメ/肥後橋 ←半額だったとしてもまだ納得いかない
- フジヤ1935/堺筋本町 ←これが苦痛で仕方が無かった
- ルポンドシエル/北浜 ←そのきっかけを与えてくれたお店となりました。おすすめです
- ラベ/西梅田 ←大好き、クラシックなフレンチ
- ユニッソンデクール/なにわ橋 ←現在は試行錯誤中
- カランドリエ/本町 ←この美味しさを維持したまま、突き抜ける何かを手にしたとき
- ピエール/大阪 ←笑っちゃうほど酷いオペレーション
- ラ・フェット ひらまつ 大阪/中之島 ←信頼できるお店です。大事な日に是非どうぞ
- リストランテ ル・ミディ ひらまつ/西梅田 ←ブラックスワン的な皿は無いものの、全てが及第点を超えている
- 弧柳/北新地 ←悪運に正当な客が付き合わないといけない仕組み
- とんかつマンジェ/八尾 ←6時間待ちですが、わが心のトンカツランキング、ダントツの1位です。
- 六覺燈/なんば ←客に対して、ここまであっけらかんと言い切れるのはすごい