■船内ツアーw
今回の航海でまず面食らったのは、『旅行代理店による船内ツアー』です。代理店各社から船内で客の世話をする社員が派遣され、それぞれの社員がそれぞれの客の世話を行う日本(アジア?)独特の文化。船内の至るところに旗を持った添乗員が十数人のグループを引き連れて歩き回っている様は違和感しかありません。私のように1ミリも添乗員の世話にならない人種にとって、このようなコストを負担させられるのは堪ったものではない。
しかもこの代理店から派遣されてきた社員たちが結構カンジ悪くって、業界人同士で「この前ドコの乗った?」「ああ、○○(船の名前)、イマイチだった」などと、金を払って乗船しているゲストの前でクルーズ各社を論評しているのです。なんとデリカシーに欠けたプロ意識の薄い奴等!
以前は公式ウェブサイトで日程と航路と部屋のグレードを指定してクレジットカードで決済すれば予約完了だったのに、現在はいつ潰れるかもわからない業者に代金を数ヶ月前に銀行振込し、察しの悪い担当者と延々電話やメールでやり取りしなければならない屈辱。
私のように手のかからない客がこのようなコストを負担しなければならない事実にどうしても納得ができず、海外のVPNを経由して公式ウェブサイトに接続し、海外の嘘の住所を打ち込んで何とか直接予約しようど努力したのですが、わたしの力不足で中々うまくいかず、ついには海外在住の友人に代理で予約してもらおうかとも考えたのですが、「そこまで意地になって得るものは果たしてあるのか」と、ふと我にかえり、結局は今回も断腸の思いで日本の代理店を利用することとなったのです。ぐぬぬ。
このモヤモヤ感を何とか解決できる手段求ム。
■ほとんどが一見客
一見客が多いです。プリンセス・クルーズ社はゲストを乗船回数によって『ステータスなし(初乗船)→ゴールド(2〜3回)→ルビー(4〜5回)→プラチナ(6〜15回)→エリート(16回以上)』と区分して管理しており、嫌味のないマウンティングの仕組みです。ちなみに私は『プラチナ(6〜15回)』ですエッヘン。
各船室の部屋番号脇に、名前とステータスが記載されたプレートが掲げられているのですが、その殆どは『ステータスなし(初乗船)』であり、常連客は極めて少ない印象です。
飛鳥Ⅱなどの日本船は常連客がまことに多く、もはやその船に住んでいる域に達している方も少なくないので、ある意味ではサロン感に溢れ排他的な雰囲気。一見客にとっては疎外感を感じる場面が多々あります。
そういう意味で、今回のダイヤモンド・プリンセス号はクルーズ旅行入門編としては最適の船と言えるでしょう。
■船内でお金を使わない
外国人、特にアメリカ人は船内においてしょっちゅう飲み食いしています。それほどアルコールを必要としないシチュエーションであるのに、ことあるごとにバーに立ち寄りカクテルやワインを注文し、食中にはワインをガブガブと飲み、食後には有料のコーヒーを注文します。
他方、日本人からは「追加料金は意地でも払わない」という決意めいたものを感じることが多く、有料レストランや有料のアルコールは避けているように見受けられました。私もご多分に漏れず日本人であるので、追加の支払いは、たまにプールサイドで飲むビールと食中のワインぐらいであり、アメリカ人のように「毎日がカーニバル」のようなお金の使い方はとてもできません。
このように、日本人は船内にお金を落としていかないので、船会社としても利益を確保するために入り口の価格を統制する必要があり、結果として冒頭述べたような「日本人は代理店を経由せよ」のような施策に落ち着いたのかもしれません。
■プログラムに忠実
船上での生活においては、船会社が趣向を凝らして様々なイベントを開催してくれるのですが、外国人はそのようなイベントに見向きもせず、自分たちそれぞれの好きな時間を好きなように過ごしているような印象を受けます。
他方、日本人はプログラムを忠実にこなしていき、民族大移動よろしく重要なイベントを次から次へと渡り歩いていく。船会社としてもイベントを企画した甲斐があることでしょう(写真は大人気イベント『ラジオ体操』)。
例えば、海外航路であれば見向きもされないであろう、「プールサイドでのズンバ・フィットネス・プログラム」には200人近くの参加者が確認できました。日本人の私からしても、ノリが良いのか悪いのか評価に揺蕩う国民性です。いや、田代まさしをTime誌のPerson of the Yearダントツの1位に選出するあたり、悪ノリにかけては天下一品な人種なのでしょう。
『ダイヤモンド・プリンセス』目次
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