厨房とダイニングがシームレスに繋がる面白い空間。ダイニング側はグランドハイアット東京のチャペルのようなインテリア。木の優しい風合いが印象的です。
ランチコースは6,000円のみ。うすい豆とブランマンジェから始まります。青い風味と旨味のあるブランマンジェに舌鼓。スプーンに盛られたうすい豆は冷凍状態だったのですが、これは意図がよくわかりませんでした。
竹炭を練り込んだアメリカンドッグ。中にはスパイシーなチョリソが入っています。面白い試みではありますが、目を閉じて食べればコンビニのアメリカンドッグと味は大差ありません。
アミューズ、続く。こちらはラムのコロッケ。ううん、ラムはクセが強いですね。私はラムが好きで食べ慣れているほうですが、思わず眉をひそめてしまう。苦手な方には厳しい一口かもしれません。
スペシャリテの生のエノキ茸。エノキ茸特有の香りがあたりに漂います。なるほど確かにエノキ茸業界においては極めてレベルの高い味覚ですが、やはりエノキ茸はしょせんはエノキ茸なので印象に残らず。衣をつけて揚げたタケノコも美味しいのですが、高級な日本料理屋のそれと比べると中くらいの味覚です。
こちらはサバ。フランボワーズのビネガーでマリネしており、フランボワーズのソースと共に目を瞠る美味しさです。サバの質がいい。オレンジ風味のイクラも興味深い味わいであり、本日一番のお皿でした。
お野菜がたくさん。当店のシェフはミッシェル・ブラスに関係があるのか、彼の本が飾ってあったり、壁にサインが書かれたりしています。なるほどこの皿も彼のガルグイユを想起させる外形。中央はカダイフにウズラの卵。鳥の巣をイメージしているのか、81のアレに良く似ています。ソースはアーモンド風味で濃厚。わかりやすい味わい。
タマネギのスープに伝助穴子のフリット。シンプルに美味しいのですが、ゆうべのジュエンヌのタマネギのスープに悶絶したばかりなので少々影が霞む。タマネギのコクと甘味に凝縮感が少し物足りなく感じました。
主題はスズキ。付け合せに山菜。ソースはヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)主体です。ソースは悪くないのですが、魚が美味しくないですね。パサパサとした食感で瑞々しさを書いており、風味そのものも飛んでしまっているように感じました。山菜も意図的なのかカラカラに枯れてしまっており料理として寂しい。
ここにきてパンが登場。ピンクペッパーとブラックペッパーがたっぷり練り込まれています。生地そのものは大概ですが、スパイスの豊かさを片手に先のスズキと一緒に食べると新たな味覚を形成します。これは良いアイデアですね。パンを含めてトータルの料理です。
メインは兵庫県のブランド豚(名前は失念)のロースト。うーん、これも凡庸。豚肉は脂っぽく、ペドロ・ヒメネスのソースも甘ったるく、最後に食べるにはかなりクドい。付け合せのニョッキを揚げたものは美味しかったです。
豚肉にはハーブとスパイスが練り込まれたパン。これはイマイチ。パサパサとした食感に先の魚のパンほどのマリアージュも感じられませんでした。
デザートは賑やかなプレゼンテーション。熟したメロンの果肉の甘さにライム風味のメレンゲが良いアクセント。ピスタチオの濃厚なアイスも美味。
小菓子は6時と7時と9時の3つです。特大のプレートではありますが、中央付近にある塊はお茶用の砂糖でした。
彩り豊かでイマドキなプレゼンテーションが続きますが、強く心に残った料理はありませんでした。どれもそれなりに美味しいのですが、酒を飲んで税サ込で1万円前後のランチのレベルには達していません。
また、料理を出すテンポが恐ろしく悪いです。皿を出すインターバルが30分を超えたかと思えば次は5分だったりと、客数に対してオペレーションに余裕がないように感じられました。サービスの隊長のような方はさすがの客あしらいでしたが、彼を除いての全般的なサービス力は中の下であり物いわぬ歯車のような対応です。テーブルウォッチングがなっておらず、ボソボソと聞き取りにくかったり、察しが悪く気が利かなかったりと課題が多かった。
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