店内はカウンターが10席ほどにテーブルがふたつ、洞窟のような半個室がひとつと、それほど大きなお店ではありません(以上、写真は公式ウェブサイトより)。業界人ふうのゲストが多いですが、当日予約でもお邪魔することができ、その後もウォークイン(予約なし)の客も数組入れていたので、使い勝手が良さそうです。
食べログに「生小ビール一杯サービス」クーポンがついていたので(記事最下部リンク参照)おもむろに提示すると、本当に小というかローランペリエのグラスで出てきてマイルドな苦笑い。
お通しは冬春は500円、夏秋は350円と不思議な価格設定。さぞ季節のものが出てくるのかと思いきや、何でもないもずくでした。先ほどの小ビールもそうですが、色々とちぐはぐなセンスを感じます。
酢モツは600円強。2人でお邪魔したので2つの皿に分けてお出し頂けました。それなりに美味しいのですが、それにしても上品な量である。普段おにまるで大量の酢もつを摂取している身としては物足りなく感じてしまう。
生小ビールは5秒で乾燥してしまったので、ノーマルサイズの生ビールを注文。 生小ビールとまでは言いませんが、やはり量が少ない。酒も料理も、全般的にポーションの小さいお店のようです。
「これは絶対にオススメだから食べてくれ」と激しく推された『和牛ホルモンのから揚げ』。脂を油で揚げたものが旨いわけないだろう、と憮然とした表情で口に放り込むと、これが困ったことにメチャクチャ旨い。甘辛い濃厚なタレが味蕾を包みこみ、高温で揚げられた外皮をザクっと。そして内部からジュワリとこぼれ出る肉汁。ビールおかわり!ただしこれも2人で4粒と恐ろしく量が少ないのが難点。
博多料理屋らしく、串焼きも豊富です。コチラはセセリ。筋肉とも脂ともつかぬ猛々しい肉質がグッド。
こちらは唐揚げ。肉そのものは悪く無い味わいなのですが、いかんせん揚げ時間の頂点を過ぎてしまっており、皮目や衣に苦味が出てしまっているのが残念。ケンタッキーをもう2分揚げたような味覚です。
さてお待ちかね、スペシャリテの博多もつ鍋。スープは昆布と鰹の一番出汁、モツは宮崎・鹿児島産限定のものとのこと。いつ見てもこのビジュアルには単純ながら胸が熱くなる。
コチラが完成形。なるほど胸を張るだけあってモツの品質が高いような気がします。特筆すべきはつくね。モツ鍋としてはあまり一般的な具材ではありますが、これが主役を食ってしまいそうなレベルの高さ。豆腐は揚げだし豆腐であり、細やかな点で隠しきれないプロの香りが漂います。
これまでのツマミのポーションの小ささを巻き返さんとばかりに、モツ鍋の量はすごく多く爆モツです。2人前しか注文していないのに食べても食べてもモツが浮き上がって来、連れは途中でギブアップ。
満腹ではありますがスープに抗えない旨さがあるため、ちゃんぽん麺を投入せずにはいられません。連れは戦力外通告を受けていたので、ほとんど私ひとりで食べきりました。旨い。ナイスカロリーではありますが、これっぽっちも後悔はしていません。
私はモツ鍋についてそれほど詳しくなく蟻月ぐらいしか知らないのであれこれ批評することはできませんが、なるほど「東京でモツ鍋を食べるならココ!」と強く推されるだけあって素直に美味しかった。
お会計も飲んで食べてひとり6,000円程度と、西麻布で飲み食いすることを考えればお値打ちな部類でしょう。モツ鍋そのものはリーズナブルで、サイドメニューや酒が割高なことを考えると、あくまでモツ鍋を食べる店と割り切って捉えることが消費者としての最適化戦略なのかもしれません。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。