あまりいやらしい雰囲気にならないようにと奥渋の立ち飲みフレンチ、アヒルストアをチョイス。18時入店に限り着席可能な席を予約でき、その他は列に並んで空いた順に入店していくというシステムです。私は彼女より一足先の19:50に到着。私の前には3人グループの1組が既に並んでいました。
トータルで25分待ち、いよいよ入店というタイミングに連れが到着。私と過ごす時間を1秒でも長くするため病院からタクシーで駆けつけたとのこと。今夜はワンチャンあるかもしれません。
彼女はシードル、私はビールで乾杯。「今日はアフターピル祭りだったわ。春だからってみんな浮かれ過ぎ」食べログ4点を叩き出す超人気レストランで交わすには些かハードボイルドな話題ではありますが、女性の口から語られる下ネタほどゾクゾクするものは無い。
ウフマヨ。ウッフ(フランス語で卵の意)・マヨネーズの略であり、ビストロ料理の定番メニューです。半熟に茹でた卵を味付きマヨネーズで和えるだけのシンプルなものですが確実に旨い。
「アフターピルってのはね、中出しから72時間以内なら間に合うことが多いの。飲むと、ガシィィンって排卵がストップされる」なるほどアフターピルの存在は知っていましたが、そのようなメカニズムだったのですね。それにしても、排卵がどうのこうのと話しながら卵を食すのは実にシュールである。
立ち飲み屋にしては珍しくパンに一家言あるお店であり、複数種類のパンの中からバラ売りで注文していくスタイルです。いずれも200~300円といったところであり、我々はチャバタ(イタリア語でスリッパの意)を注文。ふわりと香る小麦の香りにもっちりと瑞々しい食感。これは旨い!当店はパン屋としてスピンオフしても大成することでしょう。
豚肉とグリーンペッパーのパテ。これは王道中の王道といった味覚。フランス料理の入門書からセロが取り出してきたような味わいです。
「彼氏同伴で来る患者も多いよ。『アフターピル飲んで、子供が産めないカラダになったりしませんくゎ!?』とか詰め寄られたりする」何と牽強付会な彼氏様。このような男は体面ばかりを重視するモテない男であり、権利は無くとも主張するタイプに他なりません。これ以上は、世間が、ゆるさないからな。
「あたしなんて、今年に入ってまだ一度もセックスしていないっていうのに」写真のワインをマンガのようにブーと噴き出してしまいました。「本当に好きな人とはそういうことする気にならないんだよね」彼女が何を考えているか全くわからない。私のことを好きであって欲しいという気持ちと、壊れてもいいおもちゃのように扱って欲しい気持ちが交錯する。
スープドポワソン。こちらも基本に忠実な味わいで美味。個人的には魚介の粒子が残るほどドロドロに荒々しいものがタイプなのですが、そこはまあ人それぞれでしょう。色気より食い気であることをアピールするため数十秒で完食。
「あれ?注文したのもう食べたっけ?もう一軒行くよね?」そうすることが最初から決まっていたかのように次の店へと移動を開始する彼女。
お会計は2人で5,000円を切るという仰天価格。そりゃあ人気が出るわけだ。1人で訪れている常連客が多いのも頷ける。私も近所にこんなお店があれば、通い詰めることでしょう。スーツ姿のリーマンなどはひとりもおらず、ちょっと独特な客層。アフターピル。奥渋の懐の深さを垣間見た1次会でした。
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション ←最高の夜をありがとう
- アピシウス ←東京最高峰のレストラン
- ナリサワ ←何度訪れても完璧
- ナベノイズム ←世界観がきちんとある
- SUGALABO ←料理だけなら一番好きかも
- エクアトゥール ←天才によって創られる唯一無二の料理
- ete(エテ) ←美食の行き着く先はお抱えの料理人
- レヴォ ←人里離れた場所にありながら、日本いや世界でもトップレベルのフランス料理店
- フロリレージュ ←間違いなく世界を狙える
- キャーヴ・ドゥ・ギャマン・エ・ハナレ ←世界を狙える日仏料理
- アラジン ←あの日あの時あの場所で何を食べたかの記憶がハッキリと残る料理
- Parc ←当店ほどまでに重みのある二ツ星は東京ではなかなか見当たらない