千手観音は実際には腕を42本しか持っていない理由を知っているか?

ここのところ毎月京都に来ています。東京の和食は割高なので、東京でお邪魔する飲食店はなるたけ欧米系のレストランとし、日本料理は京都で楽しむようにしています。

ところで、「上ル」「下ル」「西入ル」「東入ル」のような、京都独特の地名表記の解読方法をご存知ですか?それぞれ「あがる」「さがる」「にしいる」「ひがしいる」と読み、北へ向かうことを「上ル」、南へ向かうことを「下ル」と理解します。東西は読んだままの意です。

たとえば後述のレストラン「オルト(ORTO)」の住所は「京都府京都市中京区衣棚通三条下ル三条町337−2」とまるで暗号のようですが、これは「衣棚通と三条の交差点を南に行くと三条町ってのがあって、そこらへん」という意味です。Nの住所表記とコンセプトは同じです。

普通の旅行者はタクシーの運転手に「烏丸通りを北へ、四条との交差点を右折」などのように告げますが、「烏丸通り上ル、四条東入ル」のように言えるようになると、あなたはいっぱしの京都かぶれです。私はまだその域に達していません。


■オルト(ORTO)/烏丸御池
http://www.takemachelin.com/2018/03/orto.html
京都にイノベーティブ系を食べるのもなあ、と気は進んでいなかったのですが、実に見事なレストランでした。お会計は飲んで食べて1.7万円弱。東京であれば倍請求されてもおかしくありません。詳細は別記事にて。


■三十三間堂/京阪七条
http://sanjusangendo.jp/
日本一大きな歴史的木像建造物は東大寺大仏殿。三十三間堂は日本一長い歴史的木像建造物。1164年に後白河上皇が発願し、平清盛が寄進して創建したその建物は南北に120メートルと世界でも類稀な長さです。
しかし何と言っても一番の見所は安置された1,000体以上の仏像(写真は公式ウェブサイトより)。言葉を失うとはまさにこのことであり、思わず見入ってしまいました。なのですが、よくよく見ると仏像にはホコリが積もり放題であり、まるでダメな主婦が管理する家庭を見ているようでもありました。
それから、千手観音って手が千本あるわけではなく、実際には42本なのですね(写真は公式ウェブサイトより)。合掌している2本以外の40本で、それぞれ天国から地獄までの25の世界を救うので25×40=1,000とのこと。何だかこじつけだよなあ。宗教とは難解だ。


■地主神社/清水五条
http://www.jishujinja.or.jp/
清水寺に隣接する神社。縁結びの神さまとして有名ですが、本来は神社や寺院が建立される際に、その土地の地主神を祀るために建立される神社全般を指す名詞とのことです。


■清水寺/清水五条
http://www.kiyomizudera.or.jp/
きよぶたで有名な清水寺。絶賛修復工事中であり、「このような姿を見ることができるのは珍しい!ラッキー!」と捉えるか、「まともな姿を見ることができず残念」と捉えるかは貴方次第です。


■レンタル着物
飲食店の流れを変えたインスタグラムですが、旅行のスタイルにも変革が。着物を身につけた旅行者がとにかく多く、視界には必ず1組は着物姿の女性がいます。このような時流に乗ってパパパとレンタル着物屋を出店できる商才って凄いなあ。


■祇園 にし/祇園四条
http://www.takemachelin.com/2018/03/nishi.html
ビール2杯に日本酒を半合飲み、お土産に釜飯まで詰めてもらってひとりあたり7,800円。京都最高か。祇園最高か。銀座であれば3倍とられてもおかしくないクオリティです。詳細は別記事にて。


■平安神宮/東山
http://www.heianjingu.or.jp/
明治維新によって衰退した京都の町おこし事業として建設された神社。1895年オープンと歴史は浅く、ミーハーな私にとってはちょっと物足りない観光地でした。


■銀閣寺/出町柳
http://www.shokoku-ji.jp/g_about.html
正式名称は東山慈照寺。室町幕府8代将軍足利義政によって造営された山荘東山殿を起原とし、義政の没後、臨済宗の寺院となり義政の法号慈照院にちなんで慈照寺と名付けられました。渋い別荘です。金閣に比べるとゴージャスさには欠けるけど、隠遁生活を送るならこういう家。義政センスいいなあ。


■ワールドコーヒーショップ/出町柳
https://tabelog.com/kyoto/A2601/A260302/26002050/
銀閣寺を参拝してから草喰なかひがしへ、というのが京都東山シルバーコースとして有名ですが(今考えた)、草喰なかひがしは18時オープンであり銀閣寺は17時クローズであるため空白が生まれます。銀閣の周囲のカフェは殆どが17時で閉店するため、知らない人はコーヒー難民となることでしょう。
その難民をサルベージするのがワールドコーヒーショップ白川本店。大箱で入れないことはまずなく、wifiもあればコーヒーも旨く、おかわり値引きありと、時間つぶしの優等生のようなお店です。


■草喰 なかひがし/出町柳
http://www.takemachelin.com/2018/03/naka.html
ミシュラン2ツ星。京都、いや日本で最も予約の取りづらい和食店のひとつ。店名の通り、中東久雄シェフが畑や山野で採取した季節の恵みを愉しむ、ちょっと変わった日本料理店です。詳細は別記事にて。


上記の飲食店ならびに観光地は全て徒歩で巡ったため、1日に約3万歩も歩くことになりました。歩くのが好き。私がタクシーの運ちゃんに「烏丸通り上ル、四条東入ル」と告げる日はいつになることやら。



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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。