「ローマのワイン食堂」がコンセプトなだけあり、リーズナブルなワインが勢ぞろい。まずはグラスのスプマンテで乾杯。800円です。
「カレシと別れちゃったんだよね。やっぱデブはだめだわ」のっけから差別主義的な発言。周囲に肥満体はいないかと背筋が凍る。
本日の前菜がホワイトボードにかかれており、その中から3つまたは5つを選択できる仕組みです。前者は900円、後者は1,500円と明朗会計。私はホタルイカのスモークにドライトマトのオイル漬け、牡蠣のスモークをチョイス。
ホタルイカのスモークは燻製の良い香りと旨味の凝縮感がグッド。ドライトマトは自家製らしく、ドライと言えども瑞々しさが残っているようにも感じ、こんなに美味しいドライトマトにお目にかかることは珍しい。牡蠣のスモークも素晴らしい。ホタルイカに比べると一口一口が大きく食べごたえがあり、牡蠣が苦手な方でもきっと愛することができるでしょう。
「白ワイン飲み比べ」を注文するとこの3本。いずれも100~120mlほど注がれ、3杯で1,200円と恐るべき価格設定。ガヴィなんてこの値段で大丈夫なのかしら。ボトルワインもいくつかあるのですが、当店は「飲み比べ」がお買い得であり、また、楽しいことでしょう。
「デブな人間ってさ、自分に甘いクセに、他人には厳しいよね。あのデブ、しょっちゅうあたしのこと『太った?』『シワ増えた?』とか言ってくるわけ。ひょっとしてギャグなのかなあって放っておいたんだけど、どうやら本気で他人のこと品評しているみたい」すごくよくわかる。デブは自分のことを棚に上げつつ人の体型にはうるさくて、ブスはすぐに「あの女優は整形だから」とか言うものである。
「イタリア風オムレツ」を注文すると、思いもよらない料理が出てきました。私が想像していたのはキッシュやトルティージャに似たものだったのですが、当店のそれはソースの中に炒り玉子に近い状態。これが、絶品。質の高い卵にちょうど良い火の通り具合。脇を固めるソース陣は、ゴルゴンゾーラ主体のコクのある味覚であり、一口食べるともう一口が止まらない仕様です。世の中には知らない料理が沢山ある。
「一緒にディズニーに行ったことがあるんだけど、テーマパークでずっと食われちゃたまらんと思って、外で牛丼食わせてから入園したわけ。でも、焼け石に水ってこういうことを言うのね。特盛だったのに」まるで飲み会前の大学生のように入念な事前準備である。
パンはシンプルなものがひとつ。味は中くらい。パン代を別途取るのであれば、もう少しのクオリティを求めたい。
「あたしがポップコーン買ったら『ちょっともらっていい?』とかいいながら、ほとんど食べちゃうわけ。最後なんてカップを片手で持ってザーって口に流し込むの。ありゃあデブというよりも病気だわ」でもさ、テーマパークで食べるモノって雰囲気だけで、本質的には美味しくないよね?そんなに食指が動くかなあ。
「そこなのよ。デブは食べたくて食べているわけじゃなくて、そこに食べものがあるから食べているだけなの。鼻クソですら好んで食べていたタイプね」映画で見る殺し屋のような冷笑を浮かべながら彼女は言った。
「タコのラザーニャ」。タコをラグー(煮込み)状態にしたものをホワイトソースと共にパスタに挟み込みオーブンで焼き上げます。
「イタリア風オムレツ」と同じくソースがたっぷりと注がれており、ラグーといいつつも原型を留めたタコがゴロゴロ。とにかく旨味が強く、先のガヴィにピッタリである。これはパスタ料理としての側面がある一方で、魚介系のメインディッシュとしても成立しています。
「あたしが買ったポップコーンなのにって、さすがに抗議したわけ。そしたら逆ギレして帰っちゃったの。ディズニーにあたしひとりを置いて」うーん、これはカロリーの問題ではなく、もはや精神に変調をきたしていると評価せざるを得ない。
最近は糖尿病患者向けに、糖質を尿として排出する便利な薬が出回っており、それを生活習慣病患者にも配れば良いと思っていたのですが、このデブのようにデブは基本的にマインドセットがデブなので、変えるべきは食事ではなく精神構造の変革、もっというと、痩せることについての動機を見つけさせるのが重要なのかもしれません。
これだけ飲み食いしてひとり6,000円と少し。リーズナブルですねえ。同じ量と質を都心で楽しめば10,000円近く取られてもおかしくない。これだからセレブタウン・藤沢のレストラン巡りはやめられない。次回は本場仕込のカルボナーラを楽しみたい。グァンチャーレなんて自家製なんだから。
「その『動機』を見つけさせることが、あたしにはできなかったみたい」キミと離れ離れになることが、充分に動機たりうると思うのだけれど。人はその最中にいるときは幸せだってことに気づけないものなんだなあ。
関連記事
藤沢駅前はチェーン店だらけで一見すると美食不毛の地に見えますが、真面目に探せば佳店がチラホラ。特に欧米系の料理がリーズナブル。都心と同程度のクオリティで3割引といったところ。ランチであればさらにお得!
- 日本料理 幸庵(こうあん)
- 割烹 清風
- 旬鮮炭火焼 獺祭(だっさい)
- ビストロ・ラ・シャンブル(bistro la chambre)
- 遊心(ゆうしん)
- 来酒(キッシュ)
- バンコーニ デイ ガッティ(Banconi dei Gatti)
- グリーチネ (GLICINE)
- セラフィーノ
- バレーナ(BALENA)
- grano(グラーノ)
- ピッツェリア チェッポ(pizzeria ceppo)
- ハルクッチィ(harukucchii)
- 8LOUNGE(エイトラウンジ)
- すい庵
- ラーメン二郎 湘南藤沢店
- 富貴堂(ふうきどう)