愛知県安城市では知らない人がいないほど有名なのに、名古屋まで足を伸ばせば誰も知らないという、局地戦闘機的なご当地グルメ『北京飯』をご存知ですか?
発祥のお店は新幹線の三河安城駅近くの『北京』という中華料理屋。中国の北京に由来があるかというとそうではなく、親戚が川崎で北京という名の中華料理屋を営んでいたので、同じにしたそうな。
さて当店『半熟堂』は、安城の『北京』と、その兄が経営する岡崎の『つけめん舎一輝』がコラボしたお店。双方のお店の人気メニューが一堂に会すという、三河地区B級グルメドリームチームです。
開店時間と同時に入店しましたが、数分もすれば全ての客席が埋まり、数名の待ち行列が生じていました。この日の客は全員が男性であり、そのいずれもが会社員風です。
2つのお店がドッキングしただけあって物凄いメニューの数です。その他、お得なランチセットなどもいくつかありました。私は『台湾北京飯DX(950円)』に、+300円で『半ラーメン』を注文。
注文後2~3分で『台湾北京飯DX』が着丼。『北京飯』は豚唐揚げ3枚、『北京飯DX』になると豚唐揚げ6枚、『台湾』がつくと、少々の辛味が効いたミンチ肉とネギが付きます。それにしても台湾なのか北京なのか、驚くべきネーミングセンスである。
豚肉は脂身の少ない内モモ肉。それをケンタッキーフライドチキンのカーネルクリスピーのような厚い衣で揚げ置きします。厨房の中には豚唐揚げがチョモランマのようにうず高く積み上げられており見物です。
肉そのものの脂は強くないのですが、いかんせん揚げ油を吸った衣が胃腸に響きますね。DXはちょっとやりすぎたかもしれません。というか、店内でDXを注文していたのは、私の目の届く範囲では私だけでした。
唐揚げの下には天津飯のような玉子焼きがライスを覆っています。トロトロの半熟でなく、カチカチに火が通っているのが惜しい。ここはひとつ、一般的なカツ丼のようにトロトロに仕上げて欲しいところです。つまるところ北京飯とは家庭料理の延長であり、今あなたが想像している味と大差ありません。
他方、オマケの『半ラーメン』は結構旨い。スープにカツオの旨味が凝縮されており、ビビッドな塩気と品良く香る醤油の香り。チャーシューの仕上がりも上々であり、先の豚唐揚げよりも余程レベルが高いです。ただし全体的に味が濃いので、好みは分かれるかも。
麺は細身ながらもバネのような弾力があり、トレーナーAYAのような存在を感じさせます。
『北京飯』は「名物にうまいものなし」を地で行くような味覚ではありましたが、半ラーメンに可能性を見出したランチでした。よくよく見渡すと他の客は皆、麺料理を注文しています。どうやらこの辺りは『台湾まぜそば』なるものもご当地グルメとしてミンチされているようなので、次回はそれを注文してみよう。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。