「じゃあ、ランチは?」と珍しく食い下がる彼女。朝から花見開始までは僕ひとりで場所取りしてるから、その間で良ければ、という形に話がまとまりました。
花見は多摩川台公園でするのが結構好きなのですが、今年は芝公園で開催することにしました。赤いピンが立っている場所が我々のベースキャンプです。桜はもちろんのこと、東京タワーも望むことができ、地面は平坦、コンビニ・トイレ至近という理想的な環境です。
土曜日の8:30でこんな感じ。居心地のよいスペースは8割方埋まっているという印象です。我々は6畳ほどのレジャーシートだったので何とか隙間に入り込むことができましたが、日揮のように広大なスペースを要する場合はもっと早くに来たほうが良さそうです。
設営完了。ここからはひたすら堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ビ難キヲ忍ブ待ち時間。冒頭の彼女が到着するのは4時間後、お花見メンバーが到着するのは実に6時間後である。
厚手のストレッチマットを敷き、ごろりと寝転ぶ。 視界を埋め尽くすのは桜と青空のみであり、春の陽気をひとり占め。周りを見渡すと、私のように気の弱そうなパシリのいじめられっ子たちが、それぞれひとりぼっちに場所取りしています。君たちとは仲良くできそうだ。
桜+東京タワーという抜群の風景であるため、多くの外国人観光客が熱心に写真を撮っています。例えばこのアジア系カップル。彼女が彼氏に構図などを事細かに指示し、落ちた桜の花びらを拾わせ、その花びらの塊をふわりと中空に放たせ、その一瞬を逃さずフレームに収めさせ『東京タワーに見とれていると、ふと桜が舞った』という状況の、平たく言うとやらせ写真を都合10分以上撮り続けていました。
トラブル発生。少し離れた場所で30歳前後の男たちが言い争いをしています。どうやらレジャーシートを敷いて場所取りをしていたつもりだったが、そのシートが風で飛んだか片付けられたかしてしまい、その場所に別の団体が新たなレジャーシートを広げて座り込んでしまったようです。平和な世界に突如舞い降りる世界最終戦争。普段は温厚そうな会社員風のヤサ男が唐突に沸点に達する。やはりヒトのDNAには『領土を獲得せよ、しかもできるだけ広く』という指令がプリインストールされているのでしょう。
ちなみにお隣のサイトは4畳半ほどであり、場所取り係はおらずブルーシートを敷いただけだけの無人作戦。そのため「なあ、あそこのシート、捨ててしまっていいんじゃね?」「片付けちゃってさ、『え?最初からシートなんてなかったですよ?』とかトボければいいんじゃね?」のような会話がそこかしこから聞こえて来るため穏やかじゃない。
我々の隣でそんなトラブル起こされてはたまらんと、風でシートがめくれるたびに私がお隣のシートをピシっと広げ直し、手頃な石を見つけてはフチに置いてあげたりして差し上げました。どうかお隣がノリの良いギャルの団体でありますように。
11時を過ぎたころから断続的に大型バスが横付けされ、大量の観光客を吐き出して行きます。おそらく『日帰り東京名所巡り』的なバスツアーの団体なのでしょう、持参した弁当を広げて芝公園でランチタイムを楽しむようです。
が、ここでも「ここのシート、無人だから勝手に使わせてもらいましょうか」「そうよねあたしたち30分ぐらいで退散するし」のような極めて合理的かつ傍若無人なオバサンが大量発生。みんないい度胸してるよなあ。
そのほか、意図的なのか何も考えていないのか、無人のレジャーシートの上を土足でズカズカと踏み荒らしていく輩が結構多いです。くわえタバコのオッサンがママチャリでお隣のシートの上を走り抜けて行ったりもしました。しかも何故か買い物カゴの中には謎の花束が。
このように、無人での場所取りはトラブルのもとなので控えましょうね。基本的にはツーマンセルでの行動で、トイレは交代で行くことをオススメします。私すごく当たり前のこと言ってるあるね。
正午を少し過ぎて冒頭の女の子が到着しました。ロゼで乾杯し、本題である相談事に耳を傾ける。「彼氏ができたの!もう、好きすぎて、逆に彼にウザく思われないか不安で不安で…」お疲れ様です俺。ここから皆が到着するまでの2時間、ひたすらノロケ話を聞かされました。堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ビ難キヲ忍ブ。
三三五五と仲間が集まって参りました。花より団子とは良く言ったもので、やはり会が始まれば桜の花など眼中に入りません。「ニコタマのライズで買ってきた」というローストビーフが悶絶するほど美味しかったです。
「ほんとはね、今日は彼とお花見デートのはずだったの。でも突然彼から『やっぱり日曜日にしてもらってもいい?』ってドタキャンされちゃって…」それはドタキャンではなくリスケだ。っていうか相談はもう聞いたんだからお前早く帰れよ。
それにしても花見とは実にうるさい飲み会ですね。 飲食店と違って声量を注意する仕組みが無いため、声の大きさを競い合うかのように、どのグループも大音声をがなりたて合います。しまいには3つ隣のグループが品のないコール飲みを始めやがり、まことにやかましい。しかもそのコールの内容を全て自分が知悉しているのが嫌になる。恐らく彼らは低脳未熟大学の後輩であろう。
「ごめんね~、家にハーフボトルしかなかった~」とシャトー・ディケムを差し出す26歳。今日はエイプリールフールじゃないはずだ、と確認すると「ホントは90が好きなんだけど、今日は99で許してね」と片目をつぶる彼女。まさに清澄な蜜といった味覚であり、やはりこれを凌ぐ貴腐ワインは存在しないでしょう。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。