「トマトすきやき」で名を馳せた三田ばさら。ミシュラン1ツ星。公式ウェブサイトの第一文に「三田ばさらは、滋味株式会社、小山裕久氏、東京青柳とは一切関係ありませんので、お間違えなきようご注意ください。」との注意書きがあり穏やかでない。何があったんや。
平日昼は予約ナシでもガラガラです。ランチメニューは千円代からあり、ミシュラン1ツ星和食としてはかなりリーズナブルなお店でしょう。
スペシャリテの「トマトすきやき」を楽しむことができる「トマトすきやき膳」を注文。レストランで和牛を100グラムも食べて2,500円とは直接材料比率がかなり高いと推測。
すき焼きと同時にお食事セットも運ばれてきます。注文してから数分での提供であり、ある意味ファストフードなミシュラン星付き店である。
和牛をめくるとゴッソリとトマトが見え隠れ。おそらく1人あたり丸々1個のトマトでしょう。スープ(?)からニンニクやバジルの香りが漂い、イタリア料理に日本の出汁と醤油を加えたような不思議な風味。
たっぷりと卵をつけて頂きます。うーん、ヘンなすき焼き。決して不味くはありませんが、手を叩いて褒め称えるほどでもありません。いわゆるすき焼きにニンニクとバジルとトマトをぶち込んだ味であり、今あなたが想像している味と大差ないでしょう。これは家でも作ることができそうだ。
ライスは普通。スープと一緒に食べると妙にしっくりくるのが可笑しくわろたにえん。
お漬物は味が薄く、すき焼きのコッテリした味わいに完全に負けています。これはゴハンと一緒に後から、というのではなく、最初に食べてしまったほうが良いかもしれません。
お椀は赤だし。すき焼きの濃さに負けない濃さ。ちょっと僕、喉が渇いてきちゃいました。
デザートかと思いきや、豆腐でした。すき焼きと赤だしの味わいにすっかり舌が麻痺してしまい、豆腐の滋味を味わうことなどもう無理です。これは食べる順番を誤った私の責任である。
今度こそデザート。黒糖のプリン。これは普通に美味しくコンビニスイーツのチョイ上といったところ。
ミシュラン1ツ星という勲章はあまりに荷が重いですが、2,500円でそこそこの和牛が楽しめるという意味ではそう悪く無いかもしれません。「この前トマトすき焼きってのを食べてさあ。これが、ミシュラン1ツ星なんだよ」と話題にできることを考えれば悪く無いディールでしょう。話のタネにどうぞ。
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和食は料理ジャンルとして突出して高いです。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの和食ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い和食なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
- かどわき/麻布十番 ←人生で一番の和食かも
- くろぎ/湯島 ←吉野川の天然鰻に悶絶。ただちょっと割高。
- 温味/すすきの ←旨い!多い!安い!完全無欠の三ツ星和食店。
- 龍吟/六本木 ←モダンスパニッシュとさえ感じる前衛的な和食。外人にオススメ。
- 御幸町 田がわ ←幸村卒業。近い将来、星獲得間違いなしのリーズナブルな和食。
- 祇園 又吉 ←雰囲気のある街並みに溶け込む費用対効果抜群のお店。
- たきや/麻布十番 ←龍吟を天ぷらにするとこうなるのではないか。
- えさき/青山 ←創作気味。ミシュラン三ツ星和食にしては圧倒的な安さ。
- 季節料理なかしま/白島(広島) ←同じくミシュラン三ツ星和食にしては圧倒的な安さ。
- 日本料理 幸庵 ←こちらも費用対効果が素晴らしい。ミシュラン三ツ星って実はお買い得?