空間にゆとりを持たせたつくりの内装。右の小部屋はワインセラーとなっており、ワインへに対する並々ならぬ気迫が伝わります。
ちなみにシェフが不在の際は店主のワンオペ営業となり、手のかからないツマミとサンドイッチを提供するお店になるそうな。こういう軽いノリにたまらない魅力を感じる私。
「まずはあったまってください」と、温かい生姜スープをお出し頂けました。今、パソコンが「お出汁頂けました」に変換し、それもアリかなと独りニヤニヤしています。
ラッテリア ベベ カマクラで既に食前酒を楽しんで来たため、さっそくボトルの白から始めます。ワインの値付けはリーズナブル。先日の豪雪の際には全品20%オフという試みもしていたようで、気前の良いお店です。
鎌倉野菜のサラダ。土地の力を感じる味覚であり、葉1枚1枚の味が濃い。内臓が浄化されるような気分です。
イチヂクのパンと全粒粉のパン。前者にはイチヂクが惜しみなく組み込まれており、イチヂクの自然な甘さを楽しむことができます。これは旨い。買ってお土産にしたいくらいだ。
魚料理はヒラスズキ。卵巣の存在(写真上)が異彩を放つ。身そのものの味わいは中くらいですが、卵の1粒1粒の密度が高くコッテリとした旨味が弾けます。白子のソテー(写真右下)も安定した美味しさであり、全体に塗された鶏卵ベースのソースも面白い。それにしても精巣だの卵巣だのと何だかいやらしい。
ところで緑色のゴワゴワした葉(写真上)はゴズィラーナ。ケールとカーボロネロの交配種であり、ちりめんキャベツのような味覚でした。ゴジラの皮膚に似た外観なのでゴズィラーナ。随分と脱力した命名である。
メインは豚肉。確か東北地方が産地のブランド豚だったような気がします。脂の甘さが目立つ個体であり、一方で、肉の色は濃い。コルヴェール(マガモ)に似た力強さがありました。
〆のゴハンが日本人には嬉しい。濃い湯気を放つコッテリとろとろのハヤシライスです。タマネギの甘味と牛肉の旨味を堪能できる逸品であり、これ単体でハヤシライス屋として立派に自立できるレベルです。
vins & cafeと冠しているだけあって、コーヒーも実に旨く、これ単体でコーヒーが自慢の喫茶店として立派に自立できるレベルです。
食事だけならこれだけ食べてひとり5,000円と、極めて費用対効果の高いお店です。全編通して素材に実直な調理であり外さない。ちなみに我々は食前酒と称してラッテリア ベベ カマクラで、たっぷりの作りたてチーズとピッツァを楽しんで来た後でのフルコースだったのですが、それでもスイスイと胃袋におさまるほどの美味しさがありました。良い店です。鎌倉観光の〆に是非どうぞ。
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