ちなみに港区お兄さんでありヒルズ族である山田は「中野なんて死んでも行かねえよ」とのことでした。中野区民よ、蜂起せよ。
だいにちからしゅぞう、と読みます。1962年の老舗であり、そのハコの大きさは圧巻の200席。14時から営業しており、中野における昼飲み拠点としても役立ちそうです。
予約はしていなかったのですが、運よく2階の座敷に通して貰えました。なるほどこのような個室があり、大騒ぎしても咎められることはない雰囲気なので、子連れの家族会などでも活躍しそうです。
「中野って、新宿からたった3駅で、直線距離だと4キロほどですよ?なのにどうしてこんなに田舎扱いされるんですかね。港区にバカにされるのは仕方ないとして、杉並の奴らにまで一段低く見られるのは絶対に許せない」苦虫を噛みつぶしたような表情で元港区民は語った。
大ジョッキが破格の750円。港区の居酒屋であれば同じ値段で半分の量でしょう。若干アクを感じる味覚でありサーバーのメンテナンスが行き届いておりませんが、この価格設定であれば無謬性を問うのは野暮というもの。
お通しはさつま揚げ(?)や野菜を軽く煮たものであり、若干のやっつけ仕事感のある料理。特筆すべき点は見当たりません。
「まあ、実際に、中野って何の取り得も無い町なんですよね。ある程度栄えてはいるけれど、とりとめがない。何でもあるけど何でもない。家を割安に買えたのが唯一の取り柄です」と自嘲的に語るミスター。
新鮮な生ガキが1個300円程度とスーパーで買うよりも安い。大衆居酒屋ではありますが中々の品質です。他にも旨そうな魚介系料理がメニュー表に踊る。中野に住むのも悪く無い。
というのも、例えば麻布十番の場合、フランス料理などのややこしい料理はそれなりの支払い金額になって仕方ないと納得しているのですが、それに釣られて切って焼いて出すだけの居酒屋までもが同価格帯で乱立しているのが納得できない。店も店だが行く客も客である。私も課題意識を抱えているのです。
例えばこのアンキモは1,000円程度なのですが、南麻布あら喜のそれの半額の値付けで倍の量、味は大差ありません。この価格差は地価のみを根拠としては説明がつかないでしょう。「港区は高くってオーケイそういう街だ」で私は片付けることができないのです。価値に応じた金額を支払いたい。そういう意味で、当店は極めてリーズナブルなお店と言って良いでしょう。
この日本酒も300ml入って800円かそこらです。旨い魚に安い酒。中野に住むのも悪く無い。
「まあ、環境というか、住民の質は明らかに十番あたりのほうが高いですね。特に外国人。港区の外国人はビシっとしたビジネスマンとその家族が殆どですが、中野には何をやっているのかよくわからない外国人がウロウロしています」
メインはアンコウ鍋。たっぷりの野菜にプルプルのゼラチン質が自慢のアンコウたちがブツ切りで飛び込んでいます。アンコウのエキスと濃厚な味噌が溶け合い、冬の寒さに感謝したくなるような心温まる味覚です。今夜は最低3軒は巡ると心に決めていたので断腸の思いで雑炊は諦めスープのみを飲みつくす。
「ま、そのうち十番に戻るかもしれないです。何たって子供たちの教育という観点では環境が素晴らしい。中野はやっぱり、、、」誇りと気恥ずかしさが入り混じる街。それはまるで故郷のような存在なのかもしれません。
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