夕食までにはまだ時間があったので、食前酒でも飲もうという運びに。そういえば鎌倉にはモノホンのチーズ工房があったはず。不安になるほど舗装されていない裏路地を抜けながらその店を目指します。
ラッテリア ベベ カマクラ。チーズ工房を併設したナポリピッツァのお店。オーナーは鎌倉在住の山崎ブラザーズ。兄の健太郎はナポリでピッツァを学び、弟の大志郎はプーリア(フレッシュチーズの名産地)でチーズ作りを学びました。
併設のチーズ工房で毎日生産されるフレッシュなチーズたち。フレッシュチーズはその名の通り鮮度が命。究極の地産地消であり、ここまでチーズの品質に拘ることのできるピッツェリアは日本広しと言えどもここぐらいではなかろうか。
和の趣きが感じられる店内。料亭を改装したお店だそうで、和の空気も感じることのできる良いとこ取りのインテリア。ちなみに土日は凄惨な混雑状況で行列必至なのですが、平日であれば予約ナシでもすぐに入れます。
ピッツァにはビール、と心に決めているので国産クラフトビールのコエドを注文。確か小売でも300~400円するものであり、お店で700円で飲めるのは中々にリーズナブル。
ブッラータとトマトのマリネ、生ハム添え。この皿が1,600円で食べることができるとは、まさに奇跡である。一般的にブッラータってイタリアから空輸するしかなくて、運賃やら関税やらが諸々高くついて、日本の消費者に届く頃にはかなり高額になっているんですよね。これと同じ料理を都心で食べれば4,000円取られても文句は言えない。私の知る限り、日本で最も安価にブッラータを楽しめるお店です。
ちなみにブッラータとは、モッツァレラチーズにクリームが練りこまれたような感じのフレッシュチーズであり、私の最も好きなチーズのひとつです。新鮮なチーズと濃厚なクリームが相俟って見事な調和を醸し出す。醍醐味は生地が凝縮した巾着の結び目。シコシコキュムキュムとした歯ごたえの後にジュワリと滲み出るミルクの旨味の洪水。このとき私は絶頂に達しました。
店名を冠したピッツァ『BeBè(ベベ)』。ストラッチャテッラにルッコラ、トマト、生ハムが贅沢にトッピングされています。
ストラッチャテッラ(stracciatella)とはいわゆるストレッチ(引き裂く)の意味であり、先のブッラータの中身の部分にあたります。イタリアのジェラートでは割に定番なフレーバーでもあります。ヨーグルトとモッツァレッラの合いの子のような食感であり、ジューシーなミルクの風味が唸るほど美味しい。ちなみに当店のチーズづくりに用いる生乳は、横浜市戸塚区の小野ファームから毎朝搾りたてのものを届けてもらい、保存料などの添加物を一切使用していないとのこと。
あ、「食前酒でも飲もう」というコンセプトだったのいすっごい食べちゃった。このあとのフランス料理、きちんと食べれるかしらん。
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- タランテッラ ダ ルイジ/白金高輪 ←前菜含めた総合力という意味では一番好き。
- ナポリスタカ/神谷町 ←東京タワー真下という立地に星型のピッツアというオリジナリティ。
- エンボカ/代々木上原 ←ヨーロッパを頻繁に出張する方も唸る丁寧な作りこみ。
- サヴォイ/麻布十番 ←まるで蕎麦屋。2種のみのピッツァを15分で掻き込んで駆け抜ける爽快感。
- SAVOY とまととちーず店/麻布十番 ←サヴォイのピッツァを腰を据えて楽しめる店。
- ピッツエリア ファッブリカ トクマル/元住吉 ←郊外でもキラりと光るリーズナブルなピッツェリア。